今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

成長とは、考え方×情熱×能力#128

(写真:空への憧憬) 思惑 三葉ロボテク、ロボットコンテストに参加する3つのブースをバックに簡易なステージが作られ、マイクスタンドが置かれた。 ステージの目の前の観客席には、今日の主賓である高齢者とその介護家族、そして、三葉ロボテクと東大寺グ…

成長とは、考え方×情熱×能力#127

(写真:御園座ver.2) カウントダウン 「嬢ちゃん、そろそろ始まるぞ〜!」会場前方から、前田町が呼びかける。「はあい!いま、行きます!」「かよちゃん!」「はい。」「頑張って!」佐山清美が、歌陽子に向けて親指を立てて拳を突き出した。「はい!行…

成長とは、考え方×情熱×能力#126

(写真:サカエ路上) 上司と父と (そうか!梨田さんだから、ピア(洋ナシ)か。)歌陽子は、マダム・ピアについて、自分の中で勝手に納得した。「あの、せっかく早く来られたんですから、もっと真ん中の方が良くないですか?」歌陽子は気づかって声をかけ…

成長とは、考え方×情熱×能力#125

(写真:猫カン) マダム ピア 時刻は昼の1時近くになり、少しずつ今日の主賓である高齢者たちが集まってきた。 高齢者のうち、半分くらいは要介護者である。介護施設の職員に付き添われている人もあれば、家族に車椅子を押されている人もいる。自分で呼吸…

成長とは、考え方×情熱×能力#124

今日学んだこと (写真:金華の城) 腹減り ぐうっ。「ん?」「あ・・・。」それは、歌陽子のお腹から聞こえた小さな音。「あれ、歌陽子さん、食べて来なかったんですか?」「だって、寝坊して、遅刻して、皆さんを待たせている身で食事なんて。」「律儀です…

成長とは、考え方×情熱×能力#123

(写真:空の火照り その2) ランチタイム 「このへん何もないだろ。だから、お前が来たら買い出しに行かせようと思っていたんだ。」「はあ・・・、パシリかよ。」思わず歌陽子の口から、らしくない言葉がボソッと漏れた。「ん?」「え?」「お前、今なんて…

成長とは、考え方×情熱×能力#122

(写真:空の火照り その1) 天邪鬼 「見てよ、オリヴァー、これ。あのジジイ、本気で殴りやがって。」宙は、前田町に殴られたところを見せて、オリヴァー相手に毒づいていた。「ああ、それはディザスターだったね。」顔をコンピューターに向けたまま、オリ…

成長とは、考え方×情熱×能力#121

(写真:透きとおる花弁) 遅参 「すげえ、Sクラスのベンツだ。」その場におよそ似つかわしくない重厚な黒塗りの車両が、ホールの玄関に乗り入れた。 ホールの職員がそれを見て目を丸くする。その後方のドアが開いて、華奢な足がのぞいた。「安希子さん、無…

成長とは、考え方×情熱×能力#120

(写真:オレンジ・サンセット) 歌陽子の見栄 「安希子さん、お願〜い。力を貸して!」歌陽子は自室の前の手すりから、下に向かって大きな声で呼びかけた。だが、期待した返答は一向に返らなかった。(あれ、いないのかな・・・。)それで、もう一回、「安…

成長とは、考え方×情熱×能力#119

(写真:桶狭間のくれは(紅葉)その2) 寝坊 「え?」一瞬、状況が分からなかった。 なぜ、電話の向こうの野田平はそんなに怒っているのだろう?「あの、野田平さん?」「カヨ、お前、時間を見やがれ!」「え、時間?」耳に当てたスマホを離して、画面を見…

成長とは、考え方×情熱×能力#118

(写真:桶狭間のくれは(紅葉)その1) 姉弟の夜 さっきまで、歌陽子が楽しんで食べていた、安希子特製のサラダの味が変質してしまった。バリバリと無遠慮にポテトチップスを頬張り、口の端からカケラを飛ばしている弟に、歌陽子の神経は逆なでされた。「…

成長とは、考え方×情熱×能力#117

(写真:ピンクミルフィーユ) 至福のリビング いつの間にか、社長と言い合う形になって、歌陽子気まずく重い気分を抱えて帰宅した。グゥッ。お腹だけは、気分に関係なく減るものらしい。そう言えばこの時間まで、何かを口に入れる余裕は全くなかった。 それ…

成長とは、考え方×情熱×能力#116

(写真:青に橙) 意地対意地 ホールから外に姿を現した前田町と野田平の二人、そこに歌陽子が合流した。「おう、カヨ、遅いじゃねえか。お前がグズグズしているから、だいたい俺らで片付けちまったぜ。」「す、すいません。帰りの道が混んでて。」「嬢ちゃ…

成長とは、考え方×情熱×能力#115

(写真:紅葉の吉崎 その5) ジジイ夜話 「そろそろ、閉館時間ですけど。」時刻は21時に近くになり、ホールの管理スタッフが声をかけて回っている。「ふう、何とか、形になりやがった。」前田町が満足気に言う。「しかしよお、なんだか、俺らのブースだけ…

成長とは、考え方×情熱×能力#114

(写真:紅葉の吉崎 その4) 情念 「オリヴァー、あんな年寄りたちに勝つ自信がないの?」「いや、そんな意味じゃない。僕のテクノロジーが、あんなアナログなロボットに負けるはずがない。だけど、グレートと思った。」「ふうん。」「ソラ、ドンウォーリー…

成長とは、考え方×情熱×能力#113

(写真:紅葉の吉崎 その3) 鬼と妖怪 「おーい、おめえら、面白いヤツ連れて来たぜ。」「バァカ、のでえら、嬢ちゃん呼びにやったのに、おめえまで余分なことやっててどうすんでえ。もう、時間がねえんだぜ。」「前田の、そう固えこと言うなよ。それより、…

成長とは、考え方×情熱×能力#112

(写真:紅葉の吉崎 その2) ミスター下世話 (きゃーっ!野田平さん!)よりに寄って、決してこんなところを見つかってはいけない相手に見つかってしまった。慌てた歌陽子は、「オリヴァーさん、オリヴァーさん、すぐにどこか行ってください!」と声を落と…

成長とは、考え方×情熱×能力#111

(写真:紅葉の吉崎 その1) 愚人の会話 「え?」と足を止め、振り返るオリヴァー。「ワンモア、アゲイン。」流れでつい口にしたことをもう一回繰り返せと言う。分かってやっているなら、オリヴァーはかなりの小悪党である。「い、いえ、なんでもないです。…

成長とは、考え方×情熱×能力#110

(写真:北潟湖にかかる雲) 気の利くオリヴァー 「やあ、カヨコ、危ないところだったね。」オリヴァーは手に、下に転がった大切な機材を持っている。「ほら、カヨコ。」オリヴァーは、歌陽子に機材を手渡した。「あ、有難うございます。」少し硬い表情で、…

成長とは、考え方×情熱×能力#109

(写真:輝き) 電源タップ 「まあ、野田平くん、こんなか細い娘さんばかりに無理を言わないで、少しは手伝ったらどうですか?」優しい日登美は厳しい野田平から歌陽子をかばった。そして、自ら台車の機材をドンドンおろし始める。 野田平と前田町は、それを…

成長とは、考え方×情熱×能力#108

(写真:色づく頃の思い出 その2) ジジイたちの逆襲 「なんだ、東大寺課長、これから準備か?あまり始らないから、すっかり棄権かと思ったぞ。」その時、ホールの入り口から強面の人物が声をかけてきた。 開発部の川内部長である。 そして、歌陽子の上司で…

成長とは、考え方×情熱×能力#107

(写真:色づく頃の思い出 その1) 搬入 「おい、何してやがんだ!早くしろ!お前、ホントにグズだなあ。」「ちょ、ちょっと、待ってください。少しは手伝ってくださいよお。」怒鳴りながらズンズンホールに向かう通路を歩いていく野田平と、必死で機材を満…

成長とは、考え方×情熱×能力#106

(写真:夜陰) 前夜 それから、約1カ月間。 歌陽子の日常は割と平穏に過ぎた。先代老人は、富士山麓の農場に帰り、桜井希美と松浦由香里は、後期試験のため留学先に戻った。 そして、年始からの雑務に忙殺された克徳や志鶴とは家でもあまりしゃべる機会は…

成長とは、考え方×情熱×能力#105

(写真:陽だまり列車) 強敵 「厄介な相手って、どう厄介なんでえ?」「そうですね。一言で言えば、オリヴァー・チャンは、人工知能分野の第一人者です。シリコンバレーにいた時は、その研究で知らないものはありませんでした。」「つまり、本物の自立駆動…

成長とは、考え方×情熱×能力#104

(写真:ひまわり揺れて) 報告 「カヨ、お前、大丈夫か?なんか、無茶苦茶疲れてねえか?」「あ、あははははは。」「お、おい、ついに壊れやがったか。」「はひ、たいじょうぶれふ。」大勢の人間が絡んで大騒ぎした、あのバースデイパーティの、昨日の今日。…

成長とは、考え方×情熱×能力#103

(写真:枯れ木の賑わい その2) また会う日まで 「おっ!」「わっ!」「おじいさま!避けて!」克徳の肩越しに、踊り場から下の空間にダイブした歌陽子。下の先代に激突すれば、大惨事である。 身をかがめ落下しながら歌陽子は必死に声を出した。慌てて身…

成長とは、考え方×情熱×能力#102

(写真:枯れ木の賑わい その1) 父子対決 ざわさわと周りが騒ぎ始めた。「あの・・・、お父様。恥ずかしいです。降ろして下さい。」父親の肩に軽々と担がれて、スカートの中が見えないように必死で裾を 押さえる歌陽子。「お前は黙ってなさい。」「だって…

成長とは、考え方×情熱×能力#101

(写真:シティ・ハンター) 火中の花 「東大寺さん、大変だ。」すこし遅れて姿を現した東大寺家現当主、東大寺克徳と妻志鶴に、危急を知らせる客があった。「どうか、落ち着いてください。何がありました?」「何がって・・・、先代さんとお嬢さんが、あの…

成長とは、考え方×情熱×能力#100

(写真:宵のテレビ塔 その3) 火の女王 「それでは、まずわしの言う通りするのじゃぞ。」「はい。」歌陽子は一抹の不安を感じたが、先代を信じて素直に従った。「まずの、靴を脱ぐんじゃ。そうストッキングもじゃ。」「おじいさま、ちょっと、それは・・・…

成長とは、考え方×情熱×能力#99

(写真:宵のテレビ塔 その2) 歌陽子とルビー 「歌陽子、お前にはもう一つ渡したいものがあるんじゃよ。」そう言って、東大寺家先代老人は小箱を取り出して、歌陽子に手渡した。「おじいさま、これは?」「わしも老い先短い身じゃ。何か形に残るもんが良い…