今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

拙速をもって尊しとなす

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(写真:沿線、早朝)

もう、25年度も前、当時勤めていた会社で、会社の規模に対して少し大きめの開発案件を受注したことがあります。
しかも、納期が極端に短かったので、開発メンバーはてんやわんやになりました。

その時、社長は全社員を前に『拙速をもって尊しとなす』と訓示しました。
おそらく「ともかく早く作って、早く納めるんだ。」ということを言いたかったのでしょう。
とにかく納期通り納めて、半年間調整をして本稼働する、という事例がどこの会社でもあったので、まあ、呑気な時代でした。

しかし今思えば、この「拙速をもって」の使い方は少し違っているようです。
本来の意味は、「完璧にして、水も漏らさぬようにしてから実行しようと考えると、大量の時間が必要で、実行に移す時には、もう時期を逸しますよ。」「だから、まずはスピードを最優先して、早く人目に触れるようにしなさい。そうすれば、恥もかく分、問題点も明らかになって、完成までの期間がずっと短縮できます。また、早目に人目に触れた分、ライバルよりも皆んなの印象に深く残るでしょう。」であると理解しています。

少し乱暴ですが、
『製品が最初のバージョンで恥をかかないとすれば、リリースが遅過ぎた証拠だ』という人もいます。
スピード重視に聞こえますが、反面、急いだ結果の拙さは、後で取り返しのつく範囲でなければならないのは自明です。

たとえば、移動している敵の軍隊に一撃を加えるのに最適なポイントがあったとします。こちらの人数が揃うのを待っていては機を逸してしまう。
そこで、手勢を連れて、とりあえずの突撃を試みるのですが、全員返り討ちにあっては取り返しがつきません。また、敵に守備を固くするよう警告を与えるに等しいでしょう。

「拙速をもって」に従って突撃をするのは、たとえば30分持ちこたえれば後詰めが来ると分かっている時です。
機を優先して少ない手勢で突撃(早いリリースを実現)すれば、当然被害が発生(恥をかく)します。しかし、その被害と、敵に与える打撃(市場に与えるインパクト)を比較して、より有効な方を選ぶのです。

もともと戦場での格言ですが、今日のビジネスでも多くの学びがある言葉です。