今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

笑顔と報酬、2重どり

(写真:クレーン乱舞 その3)

仕事の目的

私たちが、毎日会社に出社するのは何のためでしょうか。
それは、会社に労働力を提供して、代わりに賃金を受け取って生活費を稼ぐ為です。
私たちと会社は雇用契約を結んでいます。
その契約のもと、私たちは会社から与えられた業務を行い、それに対して会社は賃金を支払う義務を負います。
それは契約である以上、私たちの仕事が支払われる報酬+経費以上の売り上げを生まなけば、会社は私たちを解雇できますし、私たちから言えば、報酬が十分でないと思えば離職の選択もできます。
・・・と、お金の関係だけなら、こんな割り切りもできましょうが、欧米人ならぬ日本人の私たちは、そんなに仕事をドライに割り切って考えられません。
会社は自分が属しているコミュニティであり、大切なアイデンティティです。だから、簡単に仕事を投げ出すことも、あるいは離職することもできません。
さらに、会社の上司や同僚との義理人情や、責任感も絡んで、無理がかかっても頑張ってしまうから、ひどい時はうつ病になったり、過労死をしたりします。
これは、日本以外の国では考えられないことだそうです。

契約社会の限界

仕事にこのような義理人情が絡むのが日本式経営の課題であり、また同時に強みでもあります。そして、それが上手く機能していたバブル期までは外国からも注目され、我々も「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と自負していました。
それが、バブル崩壊以降失われた20年ですっかり従来のやり方に自信を無くし、グローバルスタンダードの名のもとに、欧米式にシフトして行きました。
それは、情よりも数字が、義理よりも契約が優先される世界です。
つまり、不利な立場に立った時でも、決して弱みを見せないように文言を固め、契約でガッチリ身を守る。あるいは、仕事の一つ一つまで原価管理を徹底して、必ず利益を出せるように細かく統制する。
昔気質の「多少損してもお客さんのためにやってあげたい」と言う感覚は、もはや「そんな時代ではない」と叩かれます。
でも、思うに契約社会、あるいは合理主義は、ロジカルで曖昧さのない言語(英語)で思考する民族発祥の考え方であり、日本語のような曖昧さを含んだ言語で生きている我々には無理があるかも知れません。
その証拠に、私たちが消費者の立場の時は、自分たちの目線でサービスを提供してくれる会社に意気を感じるものです。
そして、今世の中を先導しているイノベーションカンパニーは、「かかるものはかかる」と言う価値観を破壊して、どんどん消費者の立場で新しい市場を作っているのです。

笑顔の報酬

契約重視のビジネスは、とかく融通がききません。
実際、保険会社でも、私たち消費者が交わす契約書の中身は、これでもかとばかりに企業側の免責事項で埋め尽くされています。
つまり契約とは、お互いの責任を間違いなく果たすことを約束する同時に、サービスを提供する側を守るものでもあるからです。
そうすると、どうしても出来ることよりも、出来ないことに意識が行って、お互いぎごちなくなります。
私たち仕事をするものの願いは、利益も当然ありますが、何よりお客さんに満足して貰うことです。
プロとして仕事を提供し、「さすがはプロだけのことはある」と自分の支払った対価に満足して貰い、私たちに信頼を深めて貰う。
お客さんと接した時、十分満足をして頂いていないとどうしてもぎごちなく、また疎遠にすらなります。満足して貰えれば、お客さんからはいつも笑顔で懐かしい人のように接して貰えます。
そんな笑顔に接すると、私たちは「ようし、また頑張ろう」と、次の仕事に向かうエネルギーが貰えるのです。
そのお客さんの笑顔こそが、最高の報酬です。

2重どり

とは言え、前段の契約をキチッとしておくことは、事業者だけでなくお客さんも守ることになります。
それは、仕事を請け負うことは、どこまで行っても約束ごとだからです。
私たちは、当然できることを前提で仕事を請け負います。しかし、手術でも腹を開いてみたら不測の要因があって、急に施術の難易度が上がるように、現場に立ってみたら事業者の手には負えないこともあります。
ですから、事業者は事前に自分たちの仕事の範囲を契約で決めて自分の身を守ろうとします。
と同時に、手に負えないからと途中で投げ出されてはお客さんもたまりません。だから、不測の事態まで折り込んで、契約でお互いを縛り合います。
しかしその前提はあっても、現場に立つ私たちには、お客さんの笑顔こそが真の目標です。
契約や合理化の一定の制約は無視して良い訳ではありませんが、お客さんの笑顔を目指して仕事をする心意気は失いたくないものです。
笑顔を貰い満足し、報酬まで貰ってまた満足する。まさに、笑顔と報酬の二重取りです。
そして、笑顔が笑顔の連鎖を生み、お客さんからお客さんへとお付き合いの輪が広がればどんなに良いことか。
そんな仕事をしたいと思います。