今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

働く仲間たちへ

(写真:日本海 曇り空)

■非正規雇用の拡大

ニュースでは「非正規雇用拡大」が報じられています。
厚労相の昨年の統計では、労働人口の19パーセント、実に5人に1人が非正規雇用になっています。
そして、非常に問題視されている訳ですが、非正規雇用の何がそんなに悪いのでしょうか。
非正規雇用のデメリットとしては、
1.給料が正規雇用より安い
2.賞与や退職金がでない
3.長年勤めてもキャリアが形成されない
4.雇用止めを受けやすい
等が挙げられます。
いまや、労働の5人に1人の非正規雇用者にあまり良いイメージを持たれていないのは、このデメリットが強調されるからでしょうか。
また、雇う企業側にもデメリットがあります。それは、長年業務に従事して身につけたスキルや知識が、非正規雇用の場合、会社に残らないからです。

■非正規雇用の実態

反対に、非正規雇用のメリットもあります。
1.時間に縛られない
2.仕事内容を自由に選べる
3.いろいろな仕事を経験してスペシャリストを目指せる
等が挙げられています。
特に、家庭に入りながら、外で働いている奥さんには時間に縛られないメリットは大きいと思います。5人に1人と言いましたが、このうちのかなりの割合を、女性のパートタイマーや、男性でも介護等でフルタイムで働けない人が占めているのは事実です。
また、非正規を選ぶ人にも積極的理由と、消極的な理由があって、積極的理由としては自身に大きな夢があって、それが実現するまでのつなぎの生活手段として選択している場合です。
例えば、劇団員をしながら俳優を目指しているとか、起業を目指して開業資金を貯めるためとか、ポストや組織、時間に縛られたくない人にとって、非正規雇用は都合がよいのです。
消極的な理由とは、いわゆる正規雇用先がないから、致し方なく非正規雇用に従事しているというものです。

■そのリスク

非正規雇用の企業側のメリット、それは雇用調整ができる点です。
バブルやリーマンショック等、何度も経済の落ち込みを経験した日本企業は、その体験を通じて、より一層の体質強化を図りました。
その一つが、景気の良いときに人員を確保してフル操業状態にし、景気の悪い時は人員を削減して生産を落とす、いわばフレキシブルな生産体制です。しかし、景気に合わせて雇用調整をしようと思っても、正規雇用の場合は、何重にも正社員の身分が法律で保護されているので、簡単には雇い止めをすることがてきません。
対して、短期間で雇用契約を結び、人手が要らなくなれば契約更新を行わないことにより、簡単に雇い止めができる非正規社員は、企業にとって都合の良い雇用の調整弁です。
ただ、そうすると、長い間企業で働いて、正社員と同じようにキャリアを積んできたのに、雇い止めで全てリセットされる。そして、キャリアの形成が出来ないままで、年齢を重ねることは雇用者にとってリスクです。
なにしろ、年長者の利点は経験、若年者の利点はパフォーマンスであるのに対して、非正規雇用の場合は、年齢を問わず経験のアドバンテージ無しで同じ土俵に立たされるのですから。
これでは、将来を担う層の何割かが仕組みから弾きだされ、その分日本の競争力が損なわれるのでないかと懸念されます。

■非正規雇用とアンマッチ

しかし、中小企業の私たちからすれば、非正規雇用を選ばずに、こちらに正規雇用として来て欲しいところです。
こちらは、こちらで人手が足らずに困っているのですから。
もちろん、このアンマッチの状況は、お互いに原因があるのでしょう。
まず、非正規雇用者氏の「非正規しか仕事がない」と言う言い分ですが、正確には「非正規しか『やりたい』仕事がない」と言うのが本音だと指摘する人がいます。
つまり、私たち中小企業が募集している仕事の内容と、現在非正規雇用を選んでいる人たちの就きたい仕事とが、アンマッチだと言うのです。
でも、食わず嫌いじゃないか、とも思います。私も、就職活動をしている時は、どうしても大手や、あるいは日頃馴染みのある企業に目が行きました。
しかし、よく探してみれば、思わぬところに、ものすごく面白い取り組みをしている優良企業があります。ただ、「そこ何処?」的なところには、行きづらいのもありますね。
その意味では、私たちのアピール不足でしょうか。
また、私たち中小企業は、少人数なので、割とオールマイティなスキルが高い人を欲しがる傾向があります。
すると、どうしても経験者優遇のようになって、非正規の人に対する敷居を上げているかも知れません。
いずれにしろ、一緒に働くようになることは、不思議なご縁があってのことです。
いろんな仕事や、いろんな人材の思わぬ組み合わせで、新しい発見やチャンスが生まれるかも知れません。
これから、ますます人手不足で、非正規雇用は解消されるでしょうが、結局人材は大手に集中し、我々中小企業にまで回らない可能性があります。どうか、日本には大企業だけでなく、いろんな取り組みをしている面白い中小企業があることに目を開いてください。そして、いろんな出会いを求め、私たちの門を叩いてもらいたいと思います。