今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

健康長寿

(写真:鯉まるけ その2)

■不思議な国ニッポン

海外から見れば、この日本には不思議ところがたくさんあるのだとか。
その一つが、「どうして、日本人はあんなに長生きなのか?」
例えば、アメリカを例に取ると、あの国では病気になったら死なねばならないと伝え聞きます。それは、医療に対する保険制度が日本ほど手厚くないからです。
日本で盲腸になって、手術、入院、無事退院のコースを体験したとします。すると、大抵、実質の支払額は10万円といったところでしょうか。さらに、民間の医療保険で補填され、国の医療控除の対象にもなります。
つまり、実質あまり払わなくて良いのですが、これがアメリカで盲腸になったらどうなるか。
テレビの報道によれば、1週間程度の入院で施術料込みで400万の請求が来るそうです。もちろん、外国人なので全く公共や民間の保険が適用されなかったと言う理由もあるでしょうが、それでもアメリカの医療費の高さは定評があります。
そのため、現地の人たちの健康に対する気の使い方は凄いそうです。なにしろ、病気になったら、お金持ち以外は助からないのですから。
対して、この日本はどうでしょうか。
結構、不規則な生活をして、暴飲暴食が茶飯事、健康診断も国や会社が無理矢理に受診させて、やっと受けている始末。
お世辞にも、健康に留意している国とは言えないですよね。
でも、その国が長寿世界一の座を長らく保っているのです。
「あいつら、一体何食べてんだ?」
そんなところから、最近の日本食ブームにつながっているのでしょう。

■長寿の未来

しかし、この日本もすっかり欧米食に慣れてしまって、これからの世代が長寿を保てるかは、まことに心許ない限りです。
長寿と言えば、まず思い浮かべるのが、沖縄県。100歳を超えて、今なおカクシャクとした長老のイメージがあります。
ところが、いつの間にやら、その沖縄が長寿県日本一の座を明け渡していました。
確かに今沖縄に行っても、見かけるのは洋食屋やファーストフードのお店で、アメリカから返還される前の影響が色濃く残っています。
その影響で、戦後世代の寿命がどんどん短くなっているのでしょう。
同じことが我々世代にも言えます。
今、長寿世界一を構成しているのは、90歳から70歳の世代です。つまり、戦中、戦後を経験し、半ば強制的に今で言うところの野菜中心の健康食を食べてきた人たちです。
身体が健康に出来上がっているところに、カロリーの摂取量も満たされ、医療も手厚くなれば必然的に長生きになるでしょう。
ところが、我々飽食に慣れた世代が、長寿の先輩たちを見て、同じ気分になっているとしたら、かなり不味いんじゃないでしょうか。
現に癌の罹患率は年々上がっていますしね。
こんなに、医療の増進した世界で、癌が増えているのは、日本だけとも聞きます。

■健康食のリスク

さて、沖縄に代わって、長寿日本一に躍り出たのは長野県です。
実は、長野県は昭和の時代まであまり長寿県ではありませんでした。特に昭和40年代には、脳卒中の発症率が日本一になりました。
原因は、塩分摂取量の多さです。
長野と言えば特産品は野沢菜づけ。
お茶請けに野沢菜を多く消費し、その他味噌等にも多くの塩を使っていました。また、海が遠く、魚も保存の効くように塩漬けにしていたのです。
そこで、危機感を覚えた長野県は、徹底的な減塩運動に始め、加えて野菜をたくさん食べるように指導しました。
それが功を奏して、平成7年以降ずっと長寿日本一を保っています。
ですから、やっぱり基本は食事ですね。

ですが、最近は少し行き過ぎている感もあります。指導だからと、炭水化物を完全にやめてみたり、肉は毒だとからと一切口にしなかったり。
もちろん、それは根拠があってのことでしょうが、身体に良いものばかりに偏向した結果、栄養不足に陥るケースもあるのだとか。
栄養学者の中には、行き過ぎた健康志向が身体に負担を与えると警告する人もいます。

■象とライオン

栄養学者と言ってもいろんな人がいて、大抵世の中に支持されているのは、少々過激な人のようです。
戦後、日本の栄養学者にはカロリー信仰の人が多かったと聞きます。
なにしろ、立派な体格の欧米人に比べて、日本人は貧相に見えました。また、栄養不足で命を縮める人も多かったのです。
そこで、欧米に習った肉中心の食事が取り入れられ、日本人のカロリー摂取量を増やそうとしました。今でこそ、賛否両論ありますが、牛乳などは健康食の代表として、子供から大人までおおいに飲むことを奨励されました。
しかし、カロリーの摂取し過ぎによる成人病が目立つようになるにつれ、カロリー中心の栄養学は見直され、逆にカロリーを抑えるように指導が変わってきました。
ただ、これも何十年か経たないと、今の指導の効果も、問題点も見えて来ないでしょう。
しかし、私が一番信頼できるのは、肉も野菜も適切が良いと言う指導です。
古来、寺院には象とライオンのレリーフが使われてきました。これには理由があり、象は優しさ、慈悲の象徴、ライオンは勇猛さ、智慧の象徴だからです。つまり、仏様の慈悲と智慧を、象とライオンで表しているのです。
もっと言えば、象は草食、ライオンは肉食ですから、人間にも、肉と野菜のバランスが大切であるとも読めます。
そして、我々に必要な栄養素は食物からしか取れないと言われます。ですから、偏らずいろんなものを摂取することが、健康な身体を作ることになると思うのです。