今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

シミュレーション力

(写真:陽だまりのネギ坊主)

《プロなればこその、想定力》

「何!取り逃がしたと申すか!たわけ!たかが女一人に何をしておる。」
「す、すいやせん。思わぬ邪魔が入っちまって。それが、滅法腕の立つ奴で。」
「馬鹿者!女一人とたかをくくっておるからじゃ。」
と、悪の首領と、手下のゴロツキの時代劇でお決まりの会話です。

時代劇ならそれで済んでも、私たちの仕事でこれではたいへんです。

「何!予算がオーバーする!どういうことだ!」
「も、申し訳ありません。想定外に時間がかかる工程があったものですから。」
「馬鹿者!すべてうまくいくことを前提に計画を立てているからだ。まったく、君の危機管理はどうなっているのだ。」

《うまくいくはず、は想定ではない》

書きながら、自分が怒られている錯覚を起こしました。

仕事でもたびたび、甘い想定は問題を引き起こしますが、なぜ、私たちはこのようなミスを繰り返すのでしょうか。

私たちは、その日その日を過ごすことに精一杯で、明日や、またその先の未来まで考えられない生き物です。
面倒臭いことは先延ばし、明日は明日の風が吹く

学生の頃もいつも失敗していました。
たくさん貰った宿題がちっとも終わらずに、夜も更けて眠たくて仕方がない。そんな時、何はともあれ「今日は寝よう」と安逸に流されます。
しかし、それでは宿題が終わらないまま明日になって、先生に怒られなくてはなりません。
そんな時、私たちはこんな担保を入れて、安心しようとします。
「今日はとりあえず寝て、明日早起きしてやろう!」

つまり、今日よりはるかに高いパフォーマンスの自分が担保なのです。
しかし、明日になるだけで、自分の能力が上がるハズもなく、全くの空手形です。
結局、翌朝はギリギリまで寝てしまい、大量にし残した宿題に呆然とするのがオチです。

つまるところ、アリとキリギリスの寓話ではありませんが、今日の安逸を優先して、未来に起きる不都合を見ないようにしている。未来を軽く考えて、「明日は明日の風が吹く」的に明るい未来の空手形を乱発するのです。

しかしいつも、想定通りの結果は起こらず、こんなことならとほぞを噛む。あるいは、あいつの所為、こいつの所為と犯人探しをするか、「俺って運が悪いんだよね。」と運命の所為にする。
だから、私たちは、いつまで経っても幸せにはなれないのでしょうね。

《シミュレーションは習慣》

最悪を想定して、最悪に備えるのが、危機管理の基本であると言われます。
また、最悪を想定してシュミレートする習慣を身につけよとも教えられます。

例えば、

夏休みの宿題

想定不足:8月になったら頑張ろう!お盆を過ぎたら頑張ろうと!とそのうちに頑張れる自分が登場することを期待する→残念ながら、8月31日までそんな自分は現れない。それより、プールや、部活、遊びをこなすので精一杯。

正しい想定:夏休みが始まってしばらくしたら絶対だれるし、また想定外の長期旅行が入るかも知れないから、7月中に終わらせる。

■商品の提案

想定不足:多少、お客さんの使い方に不安は残るけど、まずは購入してもらうのが先決。買ってしまえば、お客さんもあきらめるだろう。→残念ながら、お客さんはそんなに甘くない。クレームになって、日参して平謝り。返品になるわ、おかげで他のことができないわ。

正しい想定:お客さんの使い方を元に発生しそうなリスクを全て洗い出して、事前に了解を貰っておく。また、それで商談が流れないように代案を用意する。

■営業成績

想定不足:まずは今の見込み案件をかき集めて、今月の数字を作ろう。来月は、来月になった時さ。→今月はなんとか達成して面目を保っても、残念ながら、翌月の見込みがゼロになる。営業成績が急降下して却って評価を下げる。

正しい想定:放っておいても受注できる案件を前倒しにするのに力を使うよりは、動いていない案件を動かす方に力を使おう。急に大口が決まって数字が達成できることは見込めないので、平均的な活動で、安定した成績を上げられる方法を考えよう。

■健康管理

想定不足:医者から、カロリーの摂り過ぎや運動不足を指摘されているし、酒やタバコも止められている。しかし、今は特に何処も痛くないから、なんかあったら気を付けよう。→残念ながら、病気は水面下で進行しているので、気がついたころは手遅れ。

正しい想定:身体は毎日の積み重ねだから、1日1日の努力が10年後、20年後に現れる。だから、今から気をつけよう。

■人生

想定不足:人間、誰でも一度は死ぬんだし、死んだら死んだ時のこと。その時考えれば良い。→残念ながら、ガンで余命1カ月と宣告されたら、誰でも絶望する。

正しい想定:一度きりの人生、いつ終わりが来ても良いように、きちんと準備をしよう。

いろいろな場合があります。
しかし、振り返ってみれば、私たちは殆ど最悪を想定せずに生きていますね。

想定を抜け目なく行うビジネスのプロでも、自分の健康や、人生の想定まではどうでしょう。
ちなみに、あのゴルゴ13は、オフには私設のメディカルセンターで隅々まで健康チェックするそうです。さすが抜け目ない、と言いたいところですが、殺し屋を生業にして、一生の間に作った悪業の報いはどうするつもりでしょうか。ゴルゴの想定もまだまだかもしれません。