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今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

ゲット、キープ、グロー

(写真:桜町宵の口 その5)

悪い奴ら

悪い奴らが深夜のファミレスで話し込んでいます。
どうやら、兄貴と弟分のようです。
「兄貴、ちょっとその時計を見せてくださいよ。うわあ、見るからに高そうですね。」
「まあ、貰いもんだからよく知らんが、50万以上するらしい。」
「また、兄貴がタラし込んだお金もちのマダムの一人ですか。」
「人聞きの悪いことを言うなよ。俺は愛って言うたいそうなものを売って、代償として僅かばかりの報酬を受け取ってるだけなんだからよ。」
「にしても、兄貴は、どうやって女をものにするんですか?」
「まあ、あまり本を読まないお前に言ってもしょうがないが、ゲット、キープ、グローって言ってな、客商売の基本中の基本みたいなもんだ。」

ゲット

「まずは、どう相手を探すかだ。俺の場合は、あまり本気になられて、後が面倒なのは願い下げだ。だから、今の自分の生活を守りながら、心の隙間だけ埋めたいと言う都合のいいことだけを考えている女を狙うのさ。
まあ、裕福な家の人妻だな。」
「なるほど。」
「金もある、時間もある。でも、旦那は相手にしてくれない。子どもも手を離れたか、任せてしまって放っておいても構わない。
いつも付き合っているマダム連中とじゃ、見栄の張り合いで気がつまる。
もちろん、家にいたってたいしてすることがない。だから、気晴らしに一人で夜のバーで高い酒を飲んでいる。」
「でも、それってホスト通いの典型的パターンでしょ。」
「ところが、そこまで踏み込めない女は結構いるのさ。実際、ホストにハマってえらいことになった話もよく耳にするからな。
むしろ、ちょっと心の隙間を埋めてくれる男友達のほうが需要にあっている。」

キープ

「そこで、兄貴の登場ですね。」
「そうだ、俺みたいな一見人畜無害なタイプの方が安心して懐に飛び込むことができるわけだ。
まあ、毎日高級バーに通って見ていれば、いつも一人で来ている女が、どんな周期で顔を出しているかだいたい分かるようになる。
あとはターゲットを絞って、何気なく近くに席を取って話しかけるのさ。
『いつもお見かけしますが、あなたも常連さんですか?』って具合にな。
後は店の話や、雑学を披露しながら、相手の興味あることや、今気持ちが沈んでいる訳を聞き出すんだ。」
「あとはグイグイいくわけですね。」
「誰でも、話を聞いてくれる人が一番好きな相手だろ。だから、どんどん話を聞いてやるのさ。そうすると、相手はもう歯止めがかからなくなる。
旦那のことや、家庭のこと、仲間のことなんか、こんな裕福そうな女がどこに抱えてるんだっていうくらい、どんどん自分の愚痴を話してくる。それを、相槌をうちながら、時々軽くたしなめてやると、ますます離れられなくなるのさ。
そして、相手は勝手に俺を一番の友達と思い込むのさ。」

グロー

「もちろん、この段階では、メールや携帯も交換して、いつでも言えば呼び出せる仲になっている。
それに、頼まなくても自分から進んでプレゼントなんかくれるのさ。
あとは仕上げだ。」
「もうですか?」
「仕上げと言っても、段階は二つある。
まずは、女に対する自分の気持ちを打ち明けるんだ。君には、大切な家庭がある。しかし、僕はもう自分の気持ちに嘘をつけない。君の人生のほんの一部でもいいから、男としての僕を置いてくれないか。
当然、相手は戸惑った顔をするから、そこではがっつかずに『ごめん、忘れてくれ』と言ってさっと身を引くんだ。」
「そうすると、女の方で追いかけたくなる。」
「そう。それからは、なんとなく男と女の関係になるのさ。
もちろん、飲み食いやホテル代は俺持ちだぜ。だけれど、いつもキャッシュで、かなり無理して払っているところを見せておくんだ。
そうすると、相手も母性本能がくすぐられて、俺の経済状態が気になり始めるのさ。」
「もう、あとはしめたもんですね。」
「馬鹿、魚が針にかかってから焦るやつがあるか。
それでも、精一杯強がるのさ。
でも、相手があまり聞くもんだから仕方なしにするのは、いかにもお涙頂戴の身の上話さ。あとは、ほっておくだけで、コロンコロンと収穫があるんだ。」
「へえ〜っ、兄貴お見事。でも、このどこがさっきのゲット、キープ、グローなんですか。」
「なに聞いてんだ、馬鹿。
いいか、まずターゲットを探して、知り合いになるのがゲットだろ。そして、もう離れないように関係を作るのがキープ、そして、上顧客に育てるのがグローだ。
商売の基本だから、よく覚えておけ。」
・・・
くれぐれもゲット、キープ、グローの悪用はなされませぬよう。