今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

どうでも、いいね!

(写真:鯉まるけ その1)

■加藤の乱

加藤の乱とは、2000年11月に次期総理の最有力候補と見られていた加藤紘一氏が起こした倒閣運動を言います。
当時首相だった森喜朗氏は、失言が多く党の内外から激しく批判を受けていました。
そのとき、前小渕首相との総裁争いに敗れて冷や飯を食わされていた加藤氏が、盟友の山崎拓氏と力を合わせて、その森喜朗首相の不信任案を提出したのです。
党内の賛成票を取り付けて、不信任案が可決されれば、森内閣は解散、総辞職、そして加藤紘一氏が首相に選出されると言う筋書きでした。
ところが、自民党幹事長の野中広務氏がその動きに対して党内の引き締めを行い、さらに加藤紘一派の切り崩しまで行いました。
頼みの自派の切り崩しをされ、加藤の乱はあえなく崩壊。さらに当時、次期総理の最有力候補とみなされていた加藤氏でしたが、それで首相への道も閉ざされてしまったのです。

■非連続なネットとリアル

この後、加藤紘一氏の盟友の山崎拓氏は、加藤の乱を振り返ってこう言っています。
「加藤はネットの人気に酔った。」
実はこの頃、加藤紘一氏は、かなりの2ちゃんねらーで、日本最大の電子掲示板サイト2ちゃんねるに投稿を繰り返していました。
そこでの森内閣への批判が大きな支持を受け、気を良くした加藤氏は、倒閣運動と言う勝負に出たと言うのです。
今では、政治の世界でもインターネットを使うことは常識になりつつありますが、当時の加藤氏はその走りと言えます。
そのネットの世界で圧倒的な支持を受けた加藤紘一氏は、リアルな世界でもイケると踏んだのでしょう。
ところが、現実世界は加藤氏の思惑通りには動かず、野中氏の実務手腕の前に目論見は崩れ去ったのです。
まだ、ネットが出始めで、ネットとリアルを分けて考えることに慣れていなかった時代です。そのため、加藤氏が間違えてしまったのも無理はないでしょう。
そして、今なら私たちはネットとリアルが非連続であることを学び、理解することができています。

■ネットの向こうには鬼がいる

ネットの特性とは何でしょうか。
その一つは匿名性だと思います。
自分の実名も、住所も、またリアルな立場も隠してネットに参加するので、基本発言や対応について責任を問われることもありません。(もっとも、それが行き過ぎて、爆破予告を書き込んで逮捕された人間が随分いましたが。)
責任のない立場での気楽な発言と、義務が生じるリアル世界での対応では差が出て当然でしょう。ですから、ネットでの支持をそのままリアルでも取り付けようとすることに無理があります。
もっとも、それを逆手にとって、実名性を売りにしたFacebookが膨大なアカウントを取り込んだのも事実です。Facebookで友達申請すれば、リアルでも心の距離が縮まります。そして、それをビジネスの世界で有効に使っている人もたくさんいます。
しかし、Facebookでの「いいね!」を、そのままリアルで期待することはできません。
それに懲りた人は、「あれは、どうでも『いいね!』だった」と自虐的に笑います。
また、その匿名性故に、自分の正体を隠して近づいてくるものもいます。
普通の会社員のふりをして、相手の歓心を買うような言葉を並べ、出会い系に登録する。
その文面だけで安心してコンタクトを図った女子が犯罪被害にあっています。ネットと言う電脳世界が、2人の人間のリアル世界をつなぎます。しかし、彼彼女がお互いを認識できるのはネット世界に姿を現した仮初めの姿だけです。もし、その先のリアル世界に鬼がいても、それを認識することはできません。

■正しい向き合い方

ですから、私たちがネットと付き合う時、リアルと明確な境界線を引いておく必要があります。
つまり、いくら実名公開のFacebookと言えど、あまり家族や、現住所、連絡先等、悪質業者には秘匿して置きたいような情報は乗せないようにすべきでしょう。
つまり検索さえかければ、友達登録している相手でなくても、 簡単に基本情報が入手できるからです。そうすると、どこでどんな人間が見ているか分かりません。
そう、相手はどんな人間か分からない、それを前提に置くことがネットとの正しい付き合い方です。
また、ネットでの反応をそのままリアルでも期待するのも失敗のもとです。
例えば、相手が一企業の代表権を持った人であっても、ネット上では飄々と素を見せて振舞っています。しかし、現実世界では立場と責任があり、そういう訳にはいかないのです。そこへ、ネットと同じ親しさで近づいていったら、大きく関係を損ないかねません。
なかなか、釣りバカ日誌のスーさん、ハマちゃんのような訳にはいかないのです。
とは言え、ネット、つまりデジタルな世界はもの凄い勢いでリアルな世界を取り込みつつあります。
例えば、ネットの新手タクシー配車サービス Uberや、バックパッカーのような旅行者と民泊を提供したい人をマッチングするAirbinbなど、私たちがネットに抱くリスクなど無いかのように自由にサービスを展開しています。そして、やがてこの感覚が当たり前になるのだろうと思います。
そうしたら、ネットのリスクを前提としつつ皆んなが付き合うのでしょうか、または、リアルと同じくらい安全で安心な電脳世界を目指すのでしょうか。
ネットの未来はまだまだ霧の中です。