今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

やり過ぎと言われるまで

(写真:2匹の歩哨)

■現場の仕事

現場にはいろいろな仕事がある。
日常のルーチンに落ちている仕事。
お客さんの案件対応で行う仕事。
あるいは、その案件を獲得するための仕事。
また、その案件がクレームになって、処理するためにしなければならない仕事もある。
または、今から仕込んでおかなくては将来行き詰まるから、5年後、10年後のために行う仕事もある。
大きく分けて、仕事は三つの時間軸で動く。
一つには、過去の後始末のためにする仕事。
トラブル対応や、やり散らしたことを整理をする等である。
二つには、現在案件があって、それを対応する仕事。または、現在仕事を継続的に行うために、事務所や、職場環境を維持するための仕事。
三つには、未来に仕事を生み出すためにする仕事。営業の案件獲得や、新技術への取り組みがこれに当たる。

■会社の視点

この三つのうち、実際に収益を生み出しているのは、言わずと知れた二つ目で、現在の、しかも案件対応のためにする仕事である。
一説には、会社で行なっている業務のうち、実際に収益をもたらすのは20パーセント、と言う人もある。
それ以外は、何をしているのか。
一つには、クレーム対応や、保守、メンテナンス。
そして、社内管理のための事務作業。
管理業務や、施設の維持管理。
あと、将来に仕事を生み出す仕事。つまり、営業や、研究開発である。
これらは利益をもたらす訳ではないが、言わば利益に結びつく仕事である。
企業にとって大事なのは、直接利益をもたらす仕事の割合を増やすことである。
そして、それ以外の仕事は、どう選別し、効率よく行うかが大切になる。

■視点の違い

現場の我々にとっては、会社から割り当てられた仕事を、期日までに品質よく仕上げることがまず第一。
その仕事に、収益をもたらすもの、収益に結びつくものの二通りあると言われても、正直ピンとこないところがある。
だが、言われて行なっているうちはまだ良いが、だんだを仕事を任されて、自分の裁量で業務時間を使えるようになると、ここは意識しておかなくてはならないポイントになる。
実際、案件があって、その対応のためにする仕事なら、原価と売上のバランスが良くなるように、納期と品質を守って行えば良い。
しかし、お客さんをつなぐための仕事や、未来のために仕込む仕事は、現場でしか見えないし、上から指示される訳でもない。
収益に直接結びつかないから、自分の裁量の中でやったら良い、やらない方が良いと選別して実行することになる。
しかし、自分は良かれと思っていても、会社からNGが出ることが多々ある。
何故それをするか、現場でしか分からないことだし、実際お金になるのは、将来であったり、間接的であったりする。
一歩間違えば、仕分けのメスが入って、業務として行えなくなることもある。
だからと言って、やらなくて良いかは別である。
現場と会社。
そこには、常に目線の違いが存在する。
このせめぎ合いは、いつでも、どこにでもある。

■現場発信はやり過ぎで良いかも

「事件は会議室で起きているんじゃない。現場で起きているんだ。」
有名なこのフレーズ。
現場と管理との目線の違いを端的に表している。
確かに、管理側の指示に従わなければ、いざ事が起きた時に責任を取れないし、全体として統制も取れなくなる。
しかし、トップから指示が下りてくるのを待っていては、正直子供の使いになるし、何も動かない。
東日本大震災でも、行政の指示が遅れたために、救援部隊の初動が遅れ、尊い命が救えなかったと聞く。
情報を持っているのは現場、しかし、指示、統制するのは管理側。
お互いそれは分かっいて、現場にはジレンマがあり、管理側にも痛し痒しのもどかしさがある。
時に、現場が独自の判断で動いて結果がでることがある。
例えば、大雪で高速道路で缶詰になった車に、積荷のパンを配った大手製パンメーカーの配送車とか。
報道でも大きく取り上げられ、企業にとってはたいへんなイメージの向上になったろう。現場の我々も「これだよ」と胸がすき、管理側も「よくやった」と称賛をした。
ただ、これは結果オーライの典型であり、一歩間違えば美談どころか、問題になっていたかも知れない。
だが、現場は情報を持っている。そして、どうすれば良いか、よく分かっている。
命に絡んだり、企業イメージに関わることなら別だが、現場が主体的に頭を働かさなければ動かないことは多い。そして、時に管理側からも、それを期待する声が上がる。
しかし、なんでも無条件には認めては貰えない。ちゃんと説明と納得感が必要である。
そして、そこに至るまでは、それなりの活動も必要である。
「出る杭は打たれる、しかし、出過ぎた杭は打たれない」
少々やり過ぎと言われるくらいで良いかも知れない。
出る杭は打たれる。
当たり前である。
しかし、そこを突破してこそ、現場が会社を逆に動かせる。
我々、現場の職業人が自己実現するには、どこかでそんな腹の据わりが必要だと思う。