今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

成長とは、考え方×情熱×能力#157

(写真:スカイ・ライン)

生きる意味

「それは、違います。」

それは、大きな声ではなかった。でも、きっぱりしていた。
その歌陽子の断言に、観客席のヒソヒソ声は止んだ。

「そうじゃありません。死んだらいい人なんてありません。人間はどんな状態になっても最後まで希望を持って、幸せに生き遂げなくてはならないんです。私たちのロボットは、そのほんの一部ですけど、助けになるものです。」

だが、そこに鼻を鳴らす老人たちがいた。

「あんたは・・・。」

それは、歯のない口で聞きづらい声だった。だが、強い抗議の気持ちを言葉に露わにしていた。

「あんたは・・・、まだ、若いから・・・そんなことを言えるんじゃ。いいかね・・・、わしは、以前100人を使う社長じゃった。一代で・・・、財を成して・・・・、息子に代を譲った。思えば、それが、人生で一番いい時じゃった。
じゃがのう・・・、それも20年も前のことじゃ。手足が動かんようになったら・・・、息子がの・・・、言い出したんじゃよ。
『おとうさん・・・、僕らじゃ、十分お父さんの面倒は見られません。それで、もし・・・、お父さんに何か有ったら悔やんでも悔やみきれません。だから・・・、ちゃんとお父さんの面倒を見てくれるところに移ってください』だと。」

老人は今も思い出すと、無性に腹が立つのか、皺だらけの拳を握りしめて、ブルブルと震わせていた。そして、紅潮した顔で口を開いて言った。

「つまり・・・、やっかいばらいじゃよ。それからは、施設に閉じ込められて、あれもダメ、これもダメ、歩いてはダメ、立ってもダメ。好きなものを食べてもダメ。まるで、・・・重い岩に囲まれて・・・、だんだん行き場がなくなるんじゃ。しかも、その・・・岩がどんどん迫って来るんじゃ。
そして、最後、岩に完全に挟まれたら、死ぬんじゃろうな。
こんな、絶望に向かっているのに、何が希望じゃ!何が幸せじゃ。
若いころ、頑張ったのは・・・一体なんだっんじゃ!」

「そ、そうよ。そうなの。」

側の婦人も同調する。

「何が介護ロボットよ。また、私たちを機械に繋いで、無駄に生かすだけじゃないの?誰にも期待されず、心の中では早くいなくなることを願われて、でもどうして生かすの?どうして、痛みを長引かせるの?どうして、うつまでも苦しませるの?」

「そうじゃ、そうじゃ。」

「あんた、可愛い顔して、ほんとはひどい娘じゃ。」

ズキリ!

また、下腹部がひどく傷んだ。
痛み止めが切れかけているのだろうか?
それとも・・・、
老人たちの痛みが歌陽子にも響いているのか?

だが、歌陽子には、老人たちに伝えなくてはならないことがあった。

「みなさん、よく聞いてください。これは、とても大事なことです。人は、何を求めて生きているのでしょうか?」

(#158に続く)