成長とは、考え方×情熱×能力#114
情念
「オリヴァー、あんな年寄りたちに勝つ自信がないの?」
「いや、そんな意味じゃない。僕のテクノロジーが、あんなアナログなロボットに負けるはずがない。だけど、グレートと思った。」
「ふうん。」
「ソラ、ドンウォーリー。例えば、どんなに足の速い男がいても、絶対オートモービルには敵わないだろ?だけど、車に勝てなくても、彼はグレートなのは変わらない。」
「つまり?」
「彼らがグレートなことと、コンペティションに勝てるかは別のことだ。」
「なら、分かった。これでねえちゃんが負ければ、もう会社も辞めさせられて、4月からどこかの国へ留学ってわけだしね。」
「ソラ?」
「何?」
「なぜ、そんなにカヨコに勝ちたいんだ?」
「なぜって、気にくわないからさ。だから、思い知らせてやろうって思うだけ。」
「つまり、ジェラシーか。」
「はあ!」
電話の向こうの宙の声が大きくなった。
「オリヴァー、ジェラシーって意味知ってる?」
「もちろん。」
「ジェラシーは普通自分より優秀なり恵まれている人間に感じるものだよ。ねえちゃんのどこが俺より優秀で、ねえちゃんがどこが俺より恵まれているよ?」
「確かに、ソラ、君はエクセレント、アンド、ジーニアス、アンド、ベリーリッチだ。しかも、子供にしてはアンビリーバブルなほど何もかもフリーだ。それは、君が生まれながらにして持っているスペシャルなトッケンだ。それに比べて、カヨコは、君にとても及ばないオーディナリイガールだ。だから、ネーム・オブ・トウダイジが重くてたまらないだろう。だが、カヨコにも一つだけ、スペシャルなタレントがある。」
「それは何だよ。」
「それは・・・、人に愛されるタレントだよ。」
「そんな才能あるもんか。」
「最初、カヨコを見た時、プリティだけどビューティじゃないし、それもチャイルディッシュなプリティさだから、あまり女性としてチャーミングさを感じなかった。だけど、何だろう、よくカヨコを知るほど、だんだん好きになる。最初はトウダイジに近づくために利用しようとしたけど、今はカヨコ自身にとてもインタレストを感じている。
あの三人のゴブリンだって、バッドアティチュードだけど、今じゃしっかりカヨコにシンパシーを感じてるだろ?
ファザーのカツノリも、カヨコにはハードマスターのようでいて、結局全部アドミットしてるじゃないか。君のマザーも本当はものすごくカヨコにディペンドしている。
どうかな?」
「・・・。」
「それに、君自身すごくカヨコのことが好きだったろ?」
「昔だよ!まだ、5歳とか、6歳とかそれくらいの頃だよ。子供がねえちゃんのこと好きで悪いかよ!」
「悪くないさ。ただ、君が他の子供と違うのは、未だにそのオネエサンが大好きと言うところさ。」
「バカ言うな。オリヴァーでも許さないぞ。俺はあいつのこと、一番大嫌いなんだよ。」
「ソラ、ラブの反対を知っているか?」
「何の関係があるんだよ?」
「答えは、ノーインタレストだ。ムカンシンだよ。君がカヨコを憎むなら、それはインタレストがあるエビデンスさ。強い憎しみは、強いラブのショウコだ。だが、君はそれを認められない、だろ?」
「当たり前だよ!」
「君はジーニアス過ぎて、世の中にアクセプトされなかった。だから、君は世の中を憎む。そして、オーディナリイなカヨコはツマラナイ世の中のシンボルなんだ。だから、君はカヨコを打ち負かしたい。
大好きなカヨコをね。」
「・・・。」
「ソラ・・・?」
「何だよ。」
「悪かった。怒らないでくれ。今のは半分僕のフィクションだよ。だが、面白かったろ?」
「ああ、面白かったよ。これでますますねえちゃんをやっつける理由ができた。だから、明日は容赦しないでよ。」
「もちろん、カヨコへの感情とビジネスは別だ。あの手強いチームをきれいさっぱりデリートしてみせるよ。」
「じゃ、オリヴァー。また明日。」
「じゃ、ソラ。オヤスミ。」
プッ。
(#115に続く)