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今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

マーケットインよりハートイン

(写真:柿田川の流れ その5)

マーケットインとプロダクトアウト

マーケティングの言葉に、「マーケットイン」と「プロダクトアウト」があります。
「プロダクトアウト」はモノづくりを優先する考え方です。
製造業で一時代を築いた日本人は、どうしても良いモノを作れば売れると考える傾向あります。
いろいろ興味を持って製品のカタログを取り寄せた時も、ハードならスペック、ソフトなら機能一覧を書き連ねたものが殆どで、その製品でどう私たちの課題が解決されるかを知りたいのに、その情報は驚くほど発信されていません。
対して「マーケットイン」は、市場を調査して、顧客のニーズを掴み、そのニーズに合ったものを提供することです。
言わば、「プロダクトアウト」はどこに顧客がいるかを考えず、「こんな製品がありますよ」と告知して、あとはひたすら買いに来てくれるのを待つことです。
「マーケットイン」は、製品が出来上がった段階で売るべき対象が分かっているので、こちらから顧客を見つけてアプローチすることが可能です。

欲しいものは何

かのドラッカー先生は、「企業の目的は、顧客の創造である」と言いました。
顧客を創造するとは、顧客がお金を払っても良いと思えるものを知ることから始まります。ですから、まさに「マーケットイン」の定義にそのものです。

でも、最近これが難しくなっている気がしませんか?
なぜなら、自分自身振り返っても何が欲しいか本当のところが分からないからです。
モノが溢れて、スペックを問わなければ、いくらでも、いつでも手に入る状態です。
すぐに欲しければスーパー、安く手に入れたければ百円ショップ、深夜に欲しくなればコンビニ、お取り寄せが必要ならばネットと、私たちは今巨大な食料棚か倉庫の中に暮している状態です。
そこに、ピンポ〜ンと玄関にセールスマンが来ても、「間に合ってるよ!」が常套句になってしまいます。

心に響かせる

では、私たちが進んで買おうと思うのはどんな時でしょうか。
もちろん、必要なものなら買うのは当然です。しかし、必要は低くても「欲しい」と思うことはあります。
年末テレビを見ていたら薄型で、とてもカッコいいノートパソコンのCMが流れていました。黒とゴールドを基調にした高級ライターか万年筆のような風格のあるパソコンで、心をぐっと掴まれて、思わず「欲しい!」と思いました。それは、ヒューレットパッカードの年末限定モデルで、早速HPのウェブサイトで調べたら20万近くするのに、すでに品薄でした。
残念ながら、私は予算に合わないので諦めてLenovoにしましたが、購買欲を掻き立てられた良い事例です。
つまり、ぐっと心に響く何かがあれば、人はいとも簡単に財布の紐が開くのです。

「かっこいい」「美味しそう」「泊まってみたい」「見てみたい」「体験したい」「乗ってみたい」

これらは全て私たちの心が動いた時です。では、どうすれば、私たちは心を動かされるのでしょうか。

ハートインを目指す

顧客のニーズを探して、そのニーズに合わせてモノを提供するのが「マーケットイン」です。
しかし、ある程度のニーズは既存の仕組みで十分満たされます。そして、さらに「欲しい!」と言うウォンツを生むためのキーワードは「共感」です。

例えば、高級寿司店。
寿司屋は別に行かなくても普通に生活できます。ましてや、それが高級となれば、ますます庶民の私たちからは縁遠い存在です。
ニーズから言えばかなり低いでしょう。
しかし、知り合いから、こう言われたとします。

「あのさ、新宿にある◯◯寿司って知ってる?いっぺん行ったら良いよ。
いろいろお寿司は食べたけど、いままであんな美味しい寿司は食べたことなかったよ。しかも、食事代は普通のお寿司屋さんより安いんだから、びっくりしたよ。」

思わず、ヘェ〜、となりますよね。
そして、「ねえ、ねえ、そこは何処?」と聞きたくなります。
それは、そのお寿司屋さんを紹介してくれた知り合いの体験に共感しているのです。そして、自分も同じような、その美味しい体験をしたいと心が動きます。
それは、単にコマーシャルでの見せ方だけでなく、その製品やお店、旅館自身に価値があるからです。
逆に言えば、日本のお家芸の「プロダクトアウト」の面目躍如で、モノづくりにこだわって作り込んでいるからこそ、製品や場所、そして顧客体験に力があります。
そして、一番スペックを発揮できる場や環境で顧客に体験をして貰います。すると、心掴まれた顧客が自ら動き、さらに顧客が顧客を呼びます。
それを、「マーケットイン」ならぬ、「ハートイン」と言います。まさに、その「共感」こそが、「ハートイン」の真骨頂なのです。