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今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

答えは単純

(写真:鶴舞駅)

次世代を考える

次は何が来るでしょう。
ビジネスに関わる私たちにとって、常に関心があり、また気になる話題です。
今や技術革新が市場の破壊をもたらし、今まで安泰だと思っていたビジネスが急に壊死してしまいます。
それまで仕事の効率と精度をどう高めるかが最大の関心事だったのに、パラダイムシフトを織り込んで事業モデルを考えなくてはならない時代となりました。
例えば、自動車メーカーなら、他の産業からの参入を阻んできた内燃式エンジンの技術が、電気自動車が主流になればその優位性は失われます。自動車はもはや特定事業者だけがエンジン性能を競うステージではなく、ありふれた電気部品だけで構成される家電の一つとなります。
そうすれば、日本の家電業界を追い落としたアジア勢が、やはり自動車業界も食い尽くすのかも知れません。
そのような状況の中、私たちの視線は必然的に遠くなります。

「まだ、誰も手をつけていない未来の技術をものにしたい」

私たちが急き立てられるように懐くのはそんな気持ちです。

トレンドを作る仕掛け

さらに、自動車で言えば、今の若い世代はバブルの記憶がなく、就職氷河期を経験している人たちです。潤沢なお金とは縁がなく、だから無理して車を買おうとは思いません。
むしろ、必要な時、必要なだけ車を借りるカーシェアリングの方が感覚に合っています。
そして、浮いたお金をもっと自分の好きなことに集中して使う賢い世代でもあります。
そうすると、もはや車は一人一台持ちではなく、十人一台持ちの時代が来るかも知れません。それはすなわち自動車産業の国内市場が十分の一に縮小することを意味します。
そうすると、タバコ税でタバコ消費が激減したJTが食品やその他業種に活路を求めたように、自動車業界でも大きなビジネスモデルの転換が余儀なくされるのです。
では、その答えをどこに求めたら良いのでしょう。
この頃、世の中で騒がれているものは、「AI」「IOT」「自動運転」「ドローン」等々。
最近は毎日のように経済新聞で見かけますし、また国主導の実証実験もよく聞くようになりました。
いつの間にか脳に刷り込まれたこれらのワードに加え、大手企業が相次いで参入と聞けば、レベルの違う私たちまでも必然的に関心事となります。
しかし、ある時気づきました。
国策的に流行らされたワードは、目新しさはあっても、私たちの日常の問題を解決してくれるものではありません。
つまり、国や経済紙、業界紙がやたら口にするのは、目新しさに慣れた私たちの気を引くために、10歩も20歩も先の未来を見せてようとしているのです。
だから、トレンドと言っても、発信者側の都合で、半ば扇動的に語られるものも多いのです。

答えは単純

その中、一時期騒がれたのは、「自動安全ブレーキ」と言う機能です。
つまり、自動車を運転している時に、前方不注意でブレーキをかけるのが遅れても、車が勝手に障害物を検知して止まってくれる仕組みです。
よくコマーシャルでは、壁に向かって車を走らせて、ぶつかる寸前に自動で止まると言うデモンストレーションを行っていますね。
最近はかなり精度は上がったでしょうが、当初各メーカーは開発に苦労していたようです。
なかなか商品化できず、足踏みをしている間にスポットが当たったのが、ドライバーが即座に反応して踏み込める画期的なブレーキ。
それは、機械やセンサーに頼らない、従来通りのアナログなブ足踏みブレーキでした。
しかし、私たちの正直な気持ちは、機械的に勝手に止まる車より、自分たちでより安全に停止できる車の方が欲しいのです。
決して無理に遠い未来を目指さなくても、答えは意外に単純で、近いところにあるものです。

1.5歩先を目指す

聞いてみると、お客さんはあまり進んだものより、1.5歩先くらいの新しさを好むようです。
そもそも、新しいものが世の中に定着するには、時間をかけてステップを踏む必要があります。
まず、新しいものを世の中に出しても、みんなおっかなびっくり、なかなか手に取ろうとはしません。中にはそのまま消え去るものも多数あります。
しかし、そのうち新し物好きな人が使うようになります。新し物好きは実に奇特な人で、まだ世の中で揉まれていない荒削りなものを進んで使って苦労してくれます。
そして開発元にクレームを言ったり、注文を出したりして、改善を促します。すると、だんだん製品が磨かれてきて、安心して使えるものになります。
そうして、少し先進的な層への導入が始まり、世の中に認知されていきます。
もちろん、そこまでには長い道のりがあって、世の中に認知される前に消え去るものがほとんどです。
当然、成功すれば大きな利益をもたらしますし、反対に失敗する大多数の会社はたいへんな痛手を受けます。
つまり、10歩も20歩も先の取り組みは、まだ社会的な責任の軽いスタートアップや、資金をプールして、その中で行っている大企業のR&D部門の仕事なのです。
ならば、さほど規模も大きくなく、それでもお客さんに大きな責任を負っている私たちはどう取り組むべきでしょうか。
それは、あえて視線を足元に引き戻し、1.5歩先を見た製品の開発をすることだと思います。
その方が、お客さんも利便性の把握がしやすく、投資の判断も早いでしょう。
パラダイムシフトが求められる時代だからこそ、作られたトレンドに引きずられることなく、あえて単純な答えを求めることも必要です。