今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

上司こそ最大の武器

(写真:よるの難波 その1)

上司がいなければ仕事は早く進む?

ある時、会社の上の人が言いました。

「本当は上司なんてものは無い方が早く仕事は進むんだけど、無かったら無かったでトラブルが防げないしなあ。」

サラリーマンの半ば口癖になっているのが「一度持ち帰りまして」です。外部との打ち合わせでは、まず2回に1回と言う頻度で口にしています。
では、持ち帰って何をするのか?
それは、上司との相談です。
たとえ自分で判断できそうでも、その場でコミットはしません。
お客さんからすれば、会社のどの立場のどの人間が喋っていようが関係はないので、担当者のコミットはそのまま会社からの確約になります。しかし、進んでしまった後で上司から待ったがかかれば、お客さんに迷惑をかけますし、かなり叱責を受けます。
それは嫌だし、申し訳ないですよね。
だから、私たちはすぐに判断をすることを避け、必ず上申して社内の承認を得ようとします。

仕事の壁

言わば、これは責任のリレーをしているのです。
上司に報告した時点で、判断する責任は自分から離れます。上司は部下から報告を受けたると同時に責任のバトンを受け取り、それが自分の範疇で処理できると思えば、すぐに判断を行います。
できない思えば、さらにその上長へとバトンは引き継がれます。
また大企業ほど、そのバトンを渡す走者、つまり階層が多く、それこそトップの判断を仰ごうと思ったらどれ位時間がかかるか分かりません。中には、数ヶ月という案件もあるでしょう。
それに、自分も含めてサラリーマン全ての悩みは、上申の範囲をどう考えるかです。
あまり何でもかんでも上げると、「現場に判断力がない」と怒られます。それで、なるべく自分たちで判断しようと頑張ると、今度は「勝手な自己判断をし過ぎる」とやはり怒られます。
また、その線引きは上司の感覚によるものなので、誰にでも同じようにしていては失敗します。そのため、私たちが新しい上司の元で働くことになったら、まず気にするのはその線引きの位置です。
あるいは何事も起こさず、前例の範囲内だけで行っていれば、そんな面倒くさいことを考えなくても良いので、なるべく冒険は避けようとします。「組織が大きくなるほど何も生まれないし、決まらない」と言われるのはその所為かも知れません。

上司はリソースを配る人

しかし、ついにその状況に業を煮やす人が現れます。
「これじゃ、上の顔色を見るのがメイン業務じゃないか。せっかく、お客さんさんから良い話があっても判断が遅くなって、ライバルに取られてばかりだ。
良いアイディアが出ても、上司の判断を待っているうちに時代が先に進んでしまう。
それくらいなら、いっそのこと自分で全て決めて、動ける立場になりたい。」
サラリーマンなら、嫌というほどその気持ちが分かります。
そして、力のある人は実際に行動をするでしょう。いわゆる起業家と言う人たちです。
しかし、大多数はそこまで踏み切れず現状に愚痴を言いながら、一生懸命受け入れようとします。
・・・
ここまで書いてくるとサラリーマンに夢も希望もなくなるので、今一度「上司」を定義し直したいと思います。
そもそも、それ以前に会社とはリソースのプールです。
人、もの、金は、経営の3大要素と言われます。
会社は社員を雇い、労働力やスキルをプールします。仕入れたり、製造して、販売できるものをプールします。売上を上げたり、資金を借り入れてお金をプールします。
これら、経営の3大要素のリソースを、どう一番利益を生むように配分するかが会社の機能です。
そして現状を把握し、効率よくリソースを配る仕組として組織があります。
上司とは、その組織のポイント、ポイントで権限と言うリソースを預かっている人です。
そのリソースをどう配るかが組織の長の一番大切な仕事なのです。

上司は波を起こす人

普通、私たちは現場で実績を上げ、それが評価されて立場が上がります。
実業務をこなした結果評価されるので、立場が上がっても同じものが求められていると勘違いし易いのですが、上司になった時、果たすべき役割は現場での高いオペレーションではありません。むしろ、部下や予算、取り扱い製品や販路と言うリソースを預かり、それをどう配って結果を出すかが大切な役割なのです。
そして、私たちが会社で活躍したいと思えば、そのリソースを割り振って貰わねばなりません。だから、上司は「壁」だとはねつけているうちは、十分なリソースは与えられないのです。
できることなら、上司がリソースを与えたくなるような仕事をしたいですね。そうすれば、上司は自分の持っているリソースを送って応援をしてくれます。
上司のリソースは、言わば波のようなもので、それに乗れば自分の力では行けないところまでたどり着けます。
上司は「壁」ではなく、「波」を起こす人と気持ちを変えて付き合うことができれば、きっと仕事の見方や取り組み方も変わるでしょう。