読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

否定しながら肯定する

(写真:初夏の富士 その1)

否定しながら肯定する

「否定しながら肯定する」
つまり、落としながら上げる人です。
厳しいのか、優しいのかよく分かりませんが、それで非常に人望が厚い人もいます。
では、ストーリー仕立てで「否定しながら肯定する」人について考えてみます。
・・・
お昼の社食にて。
「あけみさん、お久しぶりです。ここいいですか?」
「ゆりちゃん。いつもお昼はここ?」
「はい、と言うか、このテーブルです。」
「あ、ごめんなさい。あなたの定席だった?」
「い、いいえ。この窓際の席が好きって言うだけで。」
「そう、ここは日陰になるから、いつも空いてるな、って、安心してたのよ。」
「それで、私も半分自分の席みたいに思ってしまって。」
「それより、ゆりちゃん。私たち同期なんだし、敬語って固くない。」
「え、まあ、そうですけど、あけみさんって、ちゃんと結婚していて、お子さんも二人もいて、しっかり主婦をしてるから、なんか同い年に思えなくて。」
「ゆりちゃんだって、仕事頑張って、男の人以上に活躍してるじゃない。」
「まあ、独り身ゆえの身軽さですよ。朝帰りしたって誰も文句言わないし、飛んでくれって言われたら、ピューッって、どこでも単身赴任しますよ。」
「とか、言って今付き合っている人いるでしょ。あまり彼氏のこと放っておいてはダメよ。」

肯定ばかりじゃ物足りない

「あけみさんって、やっぱり言うことが大人だなあ。」
「どちらかと言えば世帯じみていると言う方が当たってるかもね。」
「だけど、あけみさん、いつもどこでお昼食べてるんですか?私、会社にいる時は、お昼ここに来るのに、一度も見かけませんもん。」
「いつもはねえ、お弁当を作ってきて事務所で食べてるんだ。」
「へえ、さすがお母さん、偉いんだ。」
「主人の分もあるから、ついでに作るだけよ。」
「いつも愛妻弁当って、健康に気をつけてるんですね。」
「そうよ、男の人って、放っておくとすぐ高カロリー、高コレステロールのものばかり食べるんだから。」
「言えてる〜。会社の男子もすぐ肉とかラーメンですもんね。」
「でも、主人と話し合って手抜きデーをつくることにしたの。だって、子供も手がかかるし、家も汚れるし、仕事も忙しい時期でしょ。何もかもって訳にはいかないわ。だから週に一度は弁当はなし、お互い外で好きなものを食べようってことにしたの。」
「へえ、上手くやってるんですね。羨ましいわ。」
「まあ、私も仕事を続けさせて貰ってるし、家事も分担してくれるし、結構甘えてるの。」
「優しい人で良かったですね。」
「でもねえ、ちょっと物足りないかな。」
「そうなんですか?」
「だってねえ、なんでも私のこと『いいよ、いいよ』なのよ。少しは、『それはダメ』とか毅然としたところも欲しいわ。」
「難しいんですね。」
「そう、優しすぎる男も何だか頼りがないのよ。」

否定ばかりじゃつらくなる

「でも、それに比べて私の彼氏と来たら、愛想がないって言うか、歯に絹着せぬって言うか、結構私にダメ出しばっかりなんです。」
「そこまでハッキリした人なの?」
「そうです。私なりに一生懸命なのに、すぐに、あれがダメ、これがダメって。」
「ふうん。例えば服装とか、お化粧とか?」
「いいえ、どちらかと言うと女子力に関する部分かな。」
「料理とか、掃除とかね。」
「そう、そうなんですよ。いつも、一緒の時は私の手料理を食べたがるんです。たまには、お洒落なお店でディナーでもって誘うんですけど、お金がもったいないとか、コスパが悪いとか。要はケチなんです、アイツ。」
「あはは、それはどうか知らないけど、ある意味しっかりしてるわね。」
「しっかりし過ぎです。」
「それで、いつも喜んで貰えるように前の日から仕込んで、午後一杯かかって調理するんですよ。」
「うわあ、すごい、頭下がるわ。」
「でも、あんまり美味しそうに食べないんです。黙々と、食事マシーンみたいになって食べるんです。それで、気に入らなかったのかなあと思うんですけど、どう言う訳かペロリと全部食べるんですよね〜。」
「それだけ、あなたの気持ちが嬉しいってことじゃない?」
「いいえ、たいへんなのはそれからなんですよ。」

否定と肯定のバランス

「たいへんって?」
「ですから、それから一品一品料理の講評が始まるんです。」
「どう言うこと?」
「例えば、赤ワインは魚には合わない、ってところから始まって、ムニエルは火を通し過ぎだ、とか、野菜は水に浸し過ぎだとか、パスタはまだ芯が残っているとか。
ダメなところばっかり言うんですよ。
なら、食べなけりゃいいのに。」
「彼氏、料理研究家か何か?」
「違います。ただ、実家が旅館をしていて、ずっとプロの板前さんの賄いで育った人だから口が肥えてるんです。」
「まあ、それはたいへんね。プロの板前さん相手じゃ勝ち目ないわ。」
「でしょ!」
「だけど、待って。ゆりちゃんも、よくそんな彼氏に付き合うわね。私なら頭に来て、もう二度と作ってやらない!って言うわね。きっと。」
「だって、それでも、いっつもいっつも私の料理が食べたいって言うんですから。
あと、彼、絶対料理が残さないんです。
私が失敗したかな、って思う料理まで全部ですよ。その代わり、食べ終わった後がたいへんでしたけど。
それに・・・。」
「それに・・・?」
「必ず別れ際に、『ゆりは性格も良いし、頑張り屋だし、顔もまあまあ好みだから、だから料理も頑張ってな。いつも煩く言ってゴメンな』とか言うんですよ。なんかズルくないですか?」
「ああ、それはかなりズルイわ。さんざんキツイこと言っても、それを言われたら全部チャラだもんね。それどころか、もっともっと好きになるわね。」
「・・・ですよね。」
「あ、ずっとおのろけ聞かされてた?あなた、顔赤いわよ。」
「もう、恥ずかしい。」
「彼が料理を気に入ってくれて、早くお嫁に貰ってもらえるといいわね。」
・・・
と言った感じです。
一見厳しいようでいて、最後しっかりフォローする人がいます。
反対に、いつもは優しくて、大事な時に冷たくしてしまう人がいます。
いつも気を使っているのは、後のタイプなのに、実際に好かれるのは前の人です。
否定と肯定を上手く使えるようになりたいものですが、私と家内の関係ではもはや手遅れですね、きっと。