今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

顧客が買うのは価値の集合体

(写真:桜町宵の口 その7)

目に見えるモノと見えない価値

目に見えるモノと、目に見えない価値。
私たちは、普通目に見えるものを取り扱っています。工業製品にしろ、ソフトウェアにしろ、あるいは保険や保守のようなサービスにしろ、目に見える何らかの形を持っています。また、そうでなければ、実際取り扱ったり、紹介したりすることはできません。
反面、顧客が見ているのはいつも、目に見えない価値です。
自分の大切な虎の子をはたいて買うものが、本当に金額に見合っているかどうか。
その判定基準は、製品の仕様や、デザイン以上に、その購入品の価値なのです。
以前、一万円のものを買い渋る人に訪問販売員が言っているのを聞きました。
「奥さん、よく考えてみてください。例えば、北海道毛ガニ食べ放題ツアーが5万円だったら心が動きませんか?つまり、金額の多い少ないじゃなくて、それだけの価値があればお金は惜しくないですよね。この商品にも、間違いなく一万円以上の価値があります。今からそれを説明しますね。」
果たして、それで奥さんが購入に至ったかどうかは定かではありませんが、顧客はモノでなく、価値に対してお金を払っている証拠だと思います。

提供者と消費者の視点

ところが、私たちが提供者の時は、どうしてもスペックや価格メリットの紹介に終始しがちです。
あるいは、自分たちの優秀さや実績を語るのが正しいプレゼンと思っています。確かに、顧客に安心感を持って貰うには、必要な情報でしょう。
しかし、乱暴な言い方をすれば、顧客にとっては、それは二の次、三の次で良いのです。
他の情報をすっ飛ばしても、まず顧客が興味を持つのは、それが自分たちにどんなメリットをもたらすのか、そして現状がどう良く変わるかなのです。
言い換えれば、体験と言い換えても良いでしょう。
最高グレード、内装も総革張りの高級車、材質も細部の仕上げもこだわり抜いた一品です、と言われて心動くのは、相当のマニアです。
それより、高級車で家族全員でドライブすれば、あんな贅沢な車にみんなを乗せてくれたお父さんはやっぱり偉かったと一生尊敬されますよ、と伝えた方が気持ちが動くでしょう。
つまり、これこそ商品そのものではなく、商品からもたらされた体験であり、価値なのです。

消費者は価値を求める

私たちも、一様に提供者であると同時に、消費者です。
ですから、まず価値を重視する顧客の気持ちはよく分かります。
例えば、食事一つにしてもそうです。
食事で一番重視するのは何か?
やはり、味!
やはり、ボリューム!
やはり、価格!
やはり、店の雰囲気!
どれも、おそらく正解です。
しかし、どれも不正解です。
何故なら、私たちが求めているのは、価値だからです。
味が良くても、値段が高くて不満足と言うことはあるでしょう。
ボリュームはあっても、不味かったり、店の雰囲気がいまひとつならば不満足です。
あるいは、安ければ、まあこんなもんかと満足をします。最近の牛丼屋さんがその類いですね。
また、高いお金を払っても満足感があればOKです。
満足、不満足の基準はただ一つです。
それは、払ったお金に対して、見合うだけの価値を得られたかどうかです。
つまり、消費者は常に価値基準なのです。

価値で話す習慣

そんな消費者の気持ちがよく分かっているはずの私たちが、よく残念なカタログを作ってしまいます。
プロのデザイナーを起用して、紙の材質も最高級なものを使用します。しかも、冊子の形式で、如何にも一冊原価何百円と言うシロモノです。
そして、そこには余すところなく商品のスペックが書かれています。
寸法や対応している温度帯、材質の情報、機能の詳細。そして、それを持ってカッコ良く立っているお兄さん、お姉さんの写真。
しかし、貰い手側からすれば、正直見る気が起こらず、すぐに引き出しの奥にしまいこんでしまいます。
それでも、せっかく立派な冊子を貰ったんだし、しっかり書き込んであるし、これを読めないのは自分の勉強不足の所為との反省も手伝って、なかなか捨てられずにいます。
ところが、よく考えてみれば、顧客に興味を起こさせないカタログの方が悪いのです。
つまり、消費者が一番関心のある価値を語っていないからです。だから、情報量の割に伝わるものが少ないのでしょう。
それでなのか、最近はやたら顧客研究が勧められます。
まずはよく、顧客とその大切にしている価値に興味を持つこと。
顧客が一番興味のある価値を共有してこそ、その価値をもって語れます。
大いに振り返って、私自身の提案も変えていきたいと思います。