今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

クラウド 〜壊れる枠組み、そして新たな参加者たち〜

(写真:夕暮れ その3)

■クラウドソーシング、クラウドファンディング

クラウドソーシング、あるいはクラウドファンディングという言葉はご存知でしょうか。
クラウドソーシングは、仕事の依頼をしたい人がインターネットの専用サイトに、仕事内容をアップする仕組みです。それは、不特定多数のスキルを持った人たちに公開され、自分ならその仕事をこなせると思った人が手を挙げます。
依頼したい人はその中から「この人になら任せて大丈夫」と思った人を選んで仕事の依頼をします。
いわば、仕事のネットオークションのようなものですが、その仕事は数千円のような小さな規模から依頼することができます。
例えば、製品のカタログにイラストを一枚載せたいと思ったとします。
プロは確実な反面お金がかかります。
ネットの素材集なら、安く調達が可能ですが、ありきたりのものになりそうです。
その時、「こんな絵を5千円で描いて貰えませんか」とインターネットで依頼すれば、企業以外でも腕に覚えがあって小銭を稼ぎたい人が応募してくるでしょう。
もちろん、どんな人が仕事を受けるか分からないのでリスクはありますが、私たちにとって選択の幅はどんどん広がっているのです。

■クラウドの本質

クラウドファンディングとは、画期的な製品開発をしたいと思った時、頭の固い銀行を説得して、上手く行くか行かないか分からない事業に出資して貰うのは大変です。
そこで、これもインターネットの専用サイトに製品のアイディアを載せて、広く開発費の出資を募るのです。
確かに、何万ドルと出資する時には、回収の目処が立たなければとても無理です。しかし、同じ何万ドルでも、数ドル×1万人なら気軽に出資して貰えそうです。
つまり、クラウドファンディングとは、少額ずつの出資を大勢の人に呼びかけるための仕組みです。
もちろん、上手く行かないことのほうが多いのですが、そんなイノベーター達の挑戦が次の世界を作ると信じている数多くの協力者がいて、彼らが小遣いの中から数ドル出して成立しているのです。
これから分かるように、クラウドソーシングもクラウドファンディングも担い手は、企業よりも個人、プロよりもアマチュアや挑戦者です。
今までの商習慣では、個人やアマチュアは取引から締め出されてきました。
それは、企業間で利益を出すには相当額の取引が必要で、そのためお互いにリスクを担保する必要があったからです。逆に言えば、その保証ができない個人は取引の対象とはみなされませんでした。

■既存の枠を超える

しかし、クラウドによって、この壁を乗り越えることができました。
つまり、クラウドで多数の取引が瞬時に完結する仕組みを構築した結果、少額の取引でもビジネスが成立するようになったのです。
そうするとビジネスの担い手として個人が登場するようになります。また、個人間の取引が始まると、プロの看板を掲げていないアマチュアも参加するようになりました。
かくして、ビジネスのフィールドは個人やアマチュアを取り込んで無限の広がりを見せます。
この間、出版社の人と話していた時、出版業界は意外に閉鎖された世界であることが分かりました。つまり、プロである編集者だけで必死に本の企画を考えているため、原稿を持ち込んでもあまりそれが採用されることはないそうです。
それを聞いて、やはり出版もいずれクラウドによって既存の枠組みを破壊される業界であると確信しました。
クラウドの拡散力、スピード感、それはもはやプロの技量を凌駕しています。youtubeが既存の映像メディアを凌駕したように、SNSがアラブの春を引き起こしたように、もはや個人の力は侮ることはできません。
そして、その強力な仕掛けとなっているのがクラウドなのです。

■個人の時代

クラウドのベースであるインターネットが世に知られるようになった時、一つ確信したことがあります。
それはいずれ店舗の数や間口の広さは問題にならない時代が来るだろうという事です。
それまでは、店舗の数や出店場所は決定的なビジネスの勝因でした。
しかし、インターネットの仮想空間では、山間部の田舎企業だろうが、下町の個人企業だろうが大手に負けないネット戦略を実現すれば、全くの互角で勝負できます。
もちろん、知名度やネットに投資できる資金がまるで違うので、現時点では全く同等と言う訳には行きません。それに、取引が成立した後のロジスティックの問題もありましすね。
しかし、音楽や小説、漫画や映像、そしてソフトウェアのようなコンテンツなら、より早く業界の壁の破壊は進行するでしょう。
現に、個人の投稿を基盤とするyoutubeや各種SNSは、商業主義や為政者の影響を受けない独立した文化圏として影響を増しています。
いずれは、UBERのように実業でありながら、既存の枠組みを破壊する仕組みが大勢を占めるでしょう。
その時、企業の枠組みは取り払われ、個人が力を持つ時代になります。そして、私たち一人一人の実力が試されるのです。