今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

ビジネスコンシューマー

(写真:那覇の空)

■ビジネスマンとコンシューマーの境目

ビジネスマンとコンシューマー、言い換えれば会社員と消費者。
この二つは、本来きちんと分けて考えるべきとされてきました。
例えば、一度ビジネススーツに身を包んだら、基本会社の顔、お客様向けの顔。
そこに消費者のような個人的嗜好を持ち込んではなりません。
だから、スーツ姿で少年ジャンプを読んでいたり、あるいは漫画雑誌を事務所に放り出していると、「公私のケジメがついていない」と怒られました。
しかし、Windowsの普及以降、少しずつ状況が変わり始めました。
まず、それまでのオフコンやDOSパソコンと違い、個人で使う機種とビジネスで使う機種の違いがなくなりました。
会社で使うパソコンに普通にゲームが入っていて、昼休みに「ソリティア」や「マインスイーパー」で遊ぶ人が散見されました。
また、デスクトップの壁紙も自由に変更できるため、持ち出し用のパソコンでなければ、自由に個人の趣向にあった壁紙を設定しています。
こんなところから、少しずつ職場でもみんな消費者としての顔を見せ始めたのです。

■モバイル端末の時代

さらに、それが加速したのは、スマホに代表されるモバイル端末の台頭です。
そもそもスマホの設計思想は、ビジネス向けだったのでしょうか、あるいは、コンシューマー向けだったのでしょうか。
ビジネス向けは、会社で決められたルーチンワークを回す用途で作られます。ですから、余分なことはできないし、また出来てはならない。余分なことをされて、そこが穴になり、ハッキングやデータ流出が起こればたいへんです。
対して、コンシューマー向けは、ハッキングやデータ流出は全て自己責任です。もし、スパムの踏み台にされて、アドレス帳の友だちに一斉に迷惑メールが送信されても、最悪謝れば済む話です。
ですから、コンシューマー向けは、自由に、なんでも、より便利に・・・消費者の興味や求めに応じてどんどん進化をするのです。
ここに、ビジネス向けとコンシューマー向けの圧倒的な進化の違いが生まれています。
そう考えれば、もはや日常的な端末となったケータイが一人でも多くのコンシューマーを取り込もうと、より便利な高機能を競うのは当然で、今のコンピューティングは完全に消費者目線で進化しています。

■仕事の概念の変化

高価でかつ機能が限定されている、しかし堅牢なビジネス向け。対して、セキュリティや機器本体に脆弱性はあるものの、低価格で我々も簡単に手にすることが出来、また考えつく限り何でも出来てしまう高機能なコンシューマー向け。
しかも、コンシューマーコンピューティングに浸りきっている私たちは、業務でもこうできたら良いなあ、と潜在的な欲求を持っています。
しかし、不思議なものでビジネス向けは無味乾燥で限定的、使用感の物足りなさは折り込み済み。しかし、日常で使うコンシューマー向けは、どこまでも機能と便利さを求める。
そのような溝を私たちは無意識のうちに許容しています。
そして、業務用の進化が遅々として進んでいないことも暗黙の了解として認めています。
しかし、その流れの中、昨今は仕事の概念が変化し始めています。
それは、モバイル端末が、仕事の場をオフィスから外勤先や移動中、そして自宅へと広げ始めたからです。

■遊びは仕事、仕事は遊び

ここに来て、ビジネスコンシューマーと言う概念が登場します。
今まで、ビジネスはビジネス、消費者は消費者と分けて考えていたのを、ビジネスの場所でもコンシューマーをやめない、あるいは、プライベートでもビジネスマンをやめないと言う人たちが現れてきました。
例えば、SNSの利用者が挙げられます。
もちろん人によりますが、SNSに個人的な友だちだけではなく、会社の同僚、上司、そして取引先まで登録し、つながる人が増えてきました。
そして、自分の生活で毎日起きるちょっとしたことを投稿して見て貰っています。時に、出張先で食べたものや風物、珍しいランドマークなど、さながらライフログのように発言して、ビジネスでつながっている人とも気軽に体験を共有します。
かと思えば、同じSNSのつながりの中で、仕事のヘルプを依頼したり、ビジネスのチャンスを求めて訪問を依頼したりします。
そうすると、どこまでがプライベートで、どこまでがビジネスか、どこまでが会社員の顔で、どこまでがコンシューマーの顔か区別がつきづらくなります。
さらに、コンシューマー向けのモバイル端末や、個人所有の端末で業務をしようと言う動きがあります。
まさに移動オフィスなので、仕事は時間ではなく、より成果で縛られるように変わっていくでしょう。
もちろん、オンとオフを明確に分けたい人が多いと思いますが、中にはそれが苦にならない人たちも増えています。そして、ビジネスがそのまま日常になっていますから、むしろビジネスの環境がコンシューマーに近づいています。
まさに、ビジネスコンシューマーです。
そう言えば、ビジネスで使用する製品のパッケージにやたら萌えキャラが多いように思うのも、その表れでしょうか。
このように、ビジネスとコンシューマーの異次元的融合が、私たちの仕事環境をどう変えていくか、これからも興味は尽きません。