今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

アップアップ

(写真:生命大進化展 その11)

■アップアップとは

「アップ、アップ」
あまり良い意味ではありません。
水槽に金魚を入れすぎて、水中の酸素濃度が薄くなった時、金魚たちは一斉に水面に口を出してパクパクします、
あれは、金魚たちが溺れかかっているのです。
金魚が溺れる?
おかしな話に聞こえますが、金魚も生物である以上、酸素呼吸をしなければ生きられません。そして、水中の酸素をエラ呼吸を通して取り入れようとします。
しかし、水中の酸素が欠乏すれば、金魚も苦しくなって、水面に顔をだして口呼吸を試みます。
もちろん、陸上動物のように肺呼吸はできません。
見るからに苦しそうです。
それを、私たち人間に当てはめて、毎日の出来事に溺れそうになっている状態をアップアップと表現しています。

■誰もが皆んなアップアップ

例えば、まともに会話にならない人がいます。
何か一言言うと、必ず否定的な言葉が返ってくる。
会話とは、言葉に乗せて心を投げるものです。相手もそれを心で受け止めて、言葉に乗せて返してくれる。そのような、心と心のキャッチボールです。
しかし、相手がこちらの心を無視して、言葉だけを受け取り、また返ってくる言葉も、とてもこちらが受け取れないような暴投だったりする。
正直、このような人と会話するのはとても気が重い。用事がなければ、ほっておきたいとすら思えます。
なぜ、こんな言い方をするのか?
あえて否定的なことや、高圧的なことを言って、人間関係で有利な地位を占めたいと考えているのか。
だとしたら、ずいぶん幼くて、的外れな考え方だなあ、と思っていました。
しかし、相手の顔や口調をよく観察してみると、非常に自信なさげだったり、顔も苦しそうなのです。
ああ、とそれで腑に落ちました。
この人も溺れかかって、アップアップしているんだ、と。
毎日に息ができず、苦しくて苦しくて、水面に顔を出して口をパクパクしている。
別に威張ったり、困らせようとしているのではなく、苦しくて心をキャッチボールする余裕がないのだ、と。

■楽なら楽なりに精一杯

そう思えば、思い当たる人はたくさんいます。いや、ほとんどがそうかも知れません。
自分の都合がいい時は、ニコニコして聞くことができても、少し都合が悪くなると、途端に毛を逆立てる。
つまり、皆んな一杯一杯なので、少しの不都合を受け入れる余裕もないのでしょう。
かく言う自分も、その一人であることは間違いありません。
反省させられます。
しかし、思うのは、たいへんさや、しんどさは人それぞれ差があります。
ならば、少しでも余裕のある人は、より厳しい人をフォローしても良いのではないか。
例えば、被災地に国の偉い人が来た時に、「応対が悪い」だの「食事がまずい」だのと怒り散らしていったとか。
被災地は、何より生活基盤が破壊され、明日の生活が不安なのに、外から来て、帰れば、しっかりした生活基盤がある人が、自分たちの都合ばかりを言う。
被災地の人は「こちらは余裕がないのから、少しは余裕のある人が、そこは汲んでくれよ。」と言いたくなる。
でも、偉い人は偉い人で一杯一杯なんでしょうね。中央の権威とか、世間の評価とか、そこに気が行って、その対応にアップアップしている。
大変な人は大変なりに、余裕のある人は余裕のある人なりに、自分の中では一杯一杯なのでしょう。
しかし、先ほどの国の偉い人の例で言えば、やはり今一番大切なことを間違えて欲しくはないと思います。

■目線を上げる

一番、大切なこと。
震災直後なら、まずは救命です。
何を置いても、一人でも助けられる人を助ける。
一度失ってしまった命は取り戻せません。この世のことは、ほとんど時間が解決しますが、唯一取り返しのつかないのは命です。
だから、何を置いても命を助ける。
そして、命を取り留めたら、今度は生活基盤が破壊された人たちを支援する。
誰が見ても、それが最優先です。
しかし、そこに「国の権威」とか「上下関係」を持ち込んでしまう。そして、かえって支援の障害にすらなっています。
正直、階級は高いけれど、目線は低いなあ、とガッカリします。
目線を上げる、すなわち、一番大切なことを確認し、そこに目の高さを合わせることです。
例えば、会社なら、一番高いのは経営者の目線です。
一事業体だけでなく、全体に目配りをします。また、上場企業とか、それなりの体裁を整えた企業なら、社会との良好な関係作りも考えなくてはなりません。
しかし、我々のような一般社員の目線は、自分の仕事の効率とか、目の前の顧客満足に固定されています。
すると、全体的な判断の中で、どうしてもやりたいようにやらせて貰えないと、不満が出て、腹が立って、アップアップするのです。
そこを、自分の都合でなく、一番大切なことを意識する。もっと高い目線を持った人の目線に意識を持っていく。
そうすると、今まで自分の中で一番だったことが、そうでなかったと知らされます。
そして、アップアップしていたことが、実は自分で作り出した苦しみだったことに気づきます。
被災地のことに話を戻せば、余裕のある地域なのに自分の生活で一杯一杯になって、十分な支援をさせてもらっていない。
反省です。
しかし、目線を被災地の現状にまで引き上げた時に、今自分たちが優先すべきことも、また、私たちのアップアップが幻想だったことにも気がつくのではないでしょうか。