今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

株の話

(写真:イブニング・ムーン)

■あるジョーク

ブラックジョーク集から、一ネタ。
生前株式投資にのめり込んだ男が、死んで地獄に堕ちました。
すると、そこはとてつもなく広いプールで、「生きている時に株をやり過ぎた報いだ」と、獄卒は男をプールに投げ込みました。
そのプールの深さは、やっと水の上から鼻が出せるほど。そしてその水が臭くて、もうたまりません。波が立つと、水が口や鼻に入って、臭くて苦しみもがきます。
見ると周り中、やっとやっと鼻先を水から上に出した亡者ばかり。
そして、みんな苦しそうに声をかけあっています。
「おい!波を立てるなよ、波を立てるなよ。」
〜・〜
このどこが面白いのでしょう。
ポイントは、株のやり過ぎで堕ちる地獄だと言うところです。
株は、売りと買いのバランスゲームです。
ともすると、リーマンショックのような大波乱で株価が暴落し、せっかく求めた株が紙くずになるかも知れません。
そして、中には、売りも買いもならず、ただ株式市場に波乱が起きないことを願っている人が相当数いるでしょう。
そんな人たちを、やっとやっと水面から顔を出している人に例え、市場が荒れることをプールの汚水の波に例えているのです。
つまり、生きている時も、死んでからも同じようなことをしているよ、と言うのが笑いのツボなのです。

■株式市場の目的

今更の話をすると、株式市場の目的は企業の運転資金調達です。
(済みません、地球が太陽の周りを回っているくらい当たり前のことですよね。)
企業は、株式市場を通じて、自社の銘柄を公開し、そこで投資家に一株いくらで買って貰い、運転資金を調達します。
そして、事業を行った結果生じた利益の一部を、株を買ってくれた人、すなわち株主に還元します。いわゆる配当です。
本来なら事業家は、自分のする事業に対して投資家を募り、利益還元を約束した上で、資金の提供を求めるものです。最近のNHKの朝ドラは企業家の話が多いので、そんなシーンがよく出てきます。
しかし、事業規模が大きくなると、限られた投資家では資金がまかないきれなくなったり、余程信用のある会社でなくては資金調達できなかったりと、限界が生じます。
そこで、少額でリスクを分散し、その代わり広く資金を調達できる仕組みが考えられました。いわゆる、企業の運転資金の公開公募が株式市場の本来の目的です。
(株式市場の歴史をきちんと勉強していないので、言い間違えもあるかも知れません。正して頂ければ幸いです。)

■器は公にして、動機は私なり

しかし、よく考えてみると、この株式市場本来の目的がかなり変質している気がします。
と言うのも、「株」と言うと我々はどんなイメージを持つでしょうか。
デイトレーダーと言う人がいます。
日々株の売り買いをして、利ざやを稼ぐことによって生計を立てている人です。
その株式市場への関わり方には、企業へ投資をしていると言う意識はありません。
これから上がると思われる株に目星をつけ、安いうちに購入して、値上がりしたら売り抜ける。そうすれば、売り買いの金額に差が生じ、それがそのまま利益となります。
つまり、デイトレーダーにとって株式市場は、利ざやを稼ぐための猟場な訳です。
そして、その気分が株式市場に関わる多くの人にも広がっているのは否めません。
果ては、機械を使って、カンマ何秒の売り買いで利ざやを稼ぐ会社まで現れています。
まさに、私的な動機で関わる人がかなりの割合を占めているのです。
「器は公にして、動機は私なり」
これは、株式市場市場の不思議さを表した言葉です。
本来株式は、企業に運転資金を提供し、健全な企業活動を助けることにより、その返礼として配当を受け取るのが目的の公的な器です。それがいつの間にか、株の値段がいくら上がった、下がった、儲かった、損したと、私的な動機で株式市場が動いています。
全く不思議な器です。

■不思議な器

ある大手IT企業の社長が、株式市場から自社株を引き上げ、自ら非上場にしたことがあります。
理由は、自社製品の大幅改造のために、資金と期間が必要だったからです。
お金が必要ならば、かえって上場廃止は不味いんじゃないか?そう思われるかも知れません。
しかし、製品改造に充てる数年間は、それまで蓄えた企業体力を見込んでの先行投資の期間です。そして、その間は持ち出しが多く、新製品の発売が見込めないので、売り上げも落ち込まざるを得ません。
もし、そんな状態で上場を続けていたら、業を煮やした株主が次々と株を手放し、暴落した株価で資金調達も事業継続も難しくなったでしょう。
だから、一旦市場から株を引き上げ、再度賛同してくれる投資先から資金を調達して、次の飛躍のために先行投資を行なったのです。

株式とは、公的な器であり、日本、ひいては世界の市場を支える資金調達の機能です。
しかし、いつの間にか、短期的な利ざやに市場が躍らされるようになりました。
それは、小粒なデイトレーダーだけでなく、多額の資金を動かす大物投資家ですらそうなっているのですから。
しかし、企業活動は、私たちの生活を支えているものです。例えば、コンビニからモノが消えて困るのは私たち自身です。
その大切な企業を支える株式市場が本来の機能を発揮し、本当の企業支援の公器となればどんなに良いかと思います。