今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

教育論の罠

(写真:街かどクロウズ)

■東大現役合格の子供の親

「どうして、ウチの子供が東大に現役合格することができたのか?」
未だに東京大学のブランド力は凄いものがあります。
「あの人、東大出てるんだって!」
「へええ!」
そんな会話がなされると、たちまち話題の主は注目の的です。
世の親にとって、我が子を東京大学や、京大、阪大ような超有名校に入学させるのは一つの夢でしょう。
そこに来て、東大に現役合格した子供を持つ親の教育論のようなものが掲載されれば、思わずページをめくる手が止まります。
もちろん、「子供の頃から塾に通わせて、毎日10時間缶詰にした」的な教育論は、昨今流行りません。
子供に自信を持たせ、自らやる気にさせて、「勉強が好き」と思わせたとか、勉強よりも日常生活をきちんとして、親の手伝いをよくさせたとか、そんな話が意図的にピックアップされているようです。
すると、机に座らせているだけではダメなんだなと反省し、「もっと伸び伸びさせよう」、「子供の気持ちを大事にしよう」と言う親も出てきます。

■どうしても消せない個人差

このような教育論は、むしろ子供にとって有難いかも知れませんが、その通り実践したからと言って、どの子も有名大学に入れる訳ではありません。「本の通り実践したのに」と肩を落とす親御さんは多いでしょう。
それは、能力にはどうしても個人差があるので、いくら机に向かわせても頭から拒絶反応が出る子供もいるからです。
人間は生まれてから幼年期までを通して、脳内のシナプスの選別を行うそうです。もし、全ての神経回路が生きていたら情報過多で脳がパンクします。そのため、その間によく使った部分だけを強化し、あとの回路を休眠させようとします。
そして、勉強に使う回路が強化された子供は良いのですが、それ以外の能力が選別された子供はどんなに頑張っても東大に入ることは無理なのです。そもそも脳の回路がそのように出来上がってはいないので、勉強を受け付けないのですから。
ただし、それ以外の能力が開花していますから、勉強ができなくても成功している人はたくさんいます。

■一つのものさしでは測れない

そのように子供には、どうしても消せない個人差が発生します。
ただ、これは個人差であって、能力差ではありません。ある分野はダメだけれど、ある分野では人以上に能力を発揮すると言う、得手の分野の違いなのです。
しかし、不幸なのは、学生ならば勉強、社会に出ればお金を稼ぐ能力が一様に評価される点です。その人の得手な能力が勉強や、あるいは高い収入に結びついたものでないと、社会的な評価は得られません。
ただ、実際のところ、人生はそんな単一のものさしでは測れません。
聞いていると、お兄さんは東大、少し出来が悪いけど弟は京大。お父さんは大会社の重役と言う話が普通に聞こえてきます。
自分のように普通に生きているものには、全く異世界です。でも、自分も人に対して威張るものがないだけで、何不自由なく普通に生きられています。
学歴もほどほど、ステータスもほどほど、お金もほどほど。違うのは、特定のものさしに縛られていないところでしょうか。
先ほどの個人差の話で、獲得された能力によって自分が生きやすいと思う人生は変わります。
人の上に立って号令をかける人生、反対に号令をかけられる立場で、その代わり大きな責任やストレスから解放された人生。その人その人で幸せ感には違いがあります。

■親として伝えるべきこと

子供も、自分の得手の中で一生懸命やって、それでやれるところまでやれたら良いのではないかと思います。
所詮子供は親とは別人格ですし、別の人生です。
ただ、最低限のもの、例えば読み書き、算数、そして学習能力は身につけさせなければならないと思っています。
ウチの子供が音楽教室を自分の意思でスッパリ止めてしまった時は、逆に感心しました。普通、自分がやりたくなくても、親の顔色を見て我慢して続けるものだからです。
家内は随分そのことで悩んだようです。安くない月謝を払って、何の身にもならない内に子供から止めてしまうのですから。しかし、それだけ自分の人生で要るもの、要らないものを選別する力があるのは評価すべきではないでしょうか。
ただ、最低限の学習能力を養うために学習塾は止めさせていませんし、空いた時間を怠惰に過ごすのは良くないと思って、とにかく今は本をたくさん読ませています。
それで、一流大学に進学し、絵に描いたようようなエリートになれるかと言えば、とてもそんな想像はできません。やはり、蛙の子は蛙と言うことで。
だから、それなりに生きていって貰えれば良いと思います。また、最低これだけは守って貰えればと思います。
「良い種を蒔けば、良い結果が現れる。
悪い種を蒔けば、悪い結果が現れる。
良いのも、悪いのも、自分の結果は自分の種まきが原因。」
そして、健康であることですね。