今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

サーバントセリング

(写真:ツバメ 4兄弟)

《まるで真空斬り》

刀を使わず、手を触れず、相手を斬る。
赤胴鈴之助の必殺技、「真空斬り」。

昭和の時代にリメイクされたアニメでは、少し科学的考証が加えられ、カマイタチを応用した技という設定になっていた。

タイトルの「サーバントセリング」と言う言葉を聴いて最初に思い浮かべたのが、この赤胴真空斬りだった。
「サーバント」=奉仕する。
「セリング」=販売。
つまり、サーバントセリングとは、奉仕による販売。
関連書籍では、「売らずに売る」と書いてあった。
つまり、「買ってください」「お願いします」と言わずに、納得して買って貰うこと。

「断られた時から営業は始まる」「営業は押し込んでナンボ」を聴き慣れた世代からすると、まさに手を触れずに相手を斬り倒す真空斬りに思えてならない。

《奉仕から始まる販売活動》

サーバントセリング、奉仕による販売と聞くと、いつもお客さんになんらかの便宜を図っていて、いざと言うときに自分から優先的に購入をしてもらう営業手法のイメージがある。
しかし、それでも「買ってください」の下心見え見えだから、「売らずに売る」という離れ業とはちょっと違う。

でも、この真空斬りの使い手は、以外と身近に存在するらしい。
それは、洋品店やショップの店員さん。カリスマ店員とかで、よくテレビや雑誌で紹介されている人たち。
ショップで服を選んでいると、さりげなく近づいて来て(外国に行くとピッタリ張り付かれて閉口するが)、どのようなシーンで着るのか、アクセントは、コーディネートは、好き好みは、といろいろ聴いてくれる。そして、その情報をもとに、自分にあった服をあつらえてくれる。
こちらも、だんだん話を聞いているうちに、すっかりその気になって、勧めて貰ったうちの何点かを買って帰ることになる。
その間、「買ってください」も「お願いします」も一切なし。ただ、洋服選びの相談に乗って貰っただけ。

これによく似ているのが、ワインのソムリエ。
料理や、本人と同伴者の嗜好、予算を聞いて、その人に一番合っていると思われる銘柄を勧める。
お客さんは、ワインに対する知識はなくても、専門家であるソムリエがいるから、安心してワインの注文ができる。
ソムリエは、ワインを勧めている訳だから販売行為に違いないが、誰も彼を営業マンとは見なさない。見なさないが、ワインを買って貰って確実に収益を上げる。

だからか、いろんなところで「ソムリエ」の名前が飛び出す。
「野菜ソムリエ」とか、「温泉ソムリエ」とか。
あるいは、ソムリエが合わない場合は、「プランナー」とか「コーディネーター」とか名乗ったりする。
専門知識を使って、お客さんに奉仕するポジション。お客さんも、その知識を目当てに集まる。
だから、「買ってください」と言わなくても売れる。
このポジションになったら、とっても強い。

《自分にもできるか、真空斬り》

さて、問題は、自分でも真空斬りの達人になれるか、どうか。
つまり、深い専門知識や、提案力を武器に、サーバント型販売が可能かどうか。

もちろん、自分はIT業界の端くれだから、今世の中にある製品やサービスの知識は、普通の人よりいくばくかは深い。
だけど、情報を次々喋るだけなら、普通の品揃えが少し多い雑貨屋さんと変わらない。
それでは、とてもカリスマ店員とは言えはしない。

やはり、モノと、お客さん個別の価値とを結びつけてこそのサーバントセリングであり、ソムリエである。
それは、モノが何であるかよりも、モノでお客さんの生活がどう変わるかが大切。いわば、購入による体験、IT業界なら、それによって実現される運用。
だから、モノがなくても営業ができる。A4のプレゼンシート1枚でも提案ができる。
何故なら、売るのは、モノではなく、運用そのものであるから。

だけど、A4シート1枚の人間を信用できるのか?
その通り。
だから、専門分野の絞り込みと、知識と経験の蓄積、そして実績が必要なんだ。そうして、そこを目掛けてお客さんが集まるから、「売らずに売る」真空斬りが可能になる。

え?
まだまだお前じゃ、力不足だって?
それも、ごもっとも。
でも、職業人である以上目指したい高みじゃないか。
もう限られた社会人生活の中で、どこまで近づけるか分からないけど、考えようによっては、いつまでも色褪せない目標を持てていることは、とても幸せなことである。