今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

OGSM

(写真:散歩の楽しみ その2)

《深海の生態系》

夏休みにNHKの深夜枠で放送されていた「深海の巨大生物」。
舞台は、駿河湾沖の深海でした。

そこは、1億年前から生き続ける深海ザメの世界有数の宝庫で、その調査をNHKが専門機関と一緒にしようという趣旨です。
そのため、2008年に浜に打ち上げられたマッコウクジラの死体を深海に沈めて、サメたちが集まるところを潜水艇のカメラで撮影しようと言う試みが行われました。

重りをつけて、塩に流されないようにクジラを沈めるのですが、早い潮の流れで、一度はクジラを見失ってしまいます。
懸命の捜索の末、やっとクジラに辿りついた時に、クジラは頭を上にして踊っていました。
そうです。
巨大なカグラザメが先に来て、クジラに噛み付いていたのです。
カグラザメは、全長5メートルもある巨大な深海ザメです。

このサメによりクジラはたちまち食べ尽くされるかと思いきや、一口食べて、クジラを離れていきました。
食べ物の少ない深海では、クジラの肉はたいへんなご馳走の筈なのに不思議な行動です。

ところが続けて観察すると、同じサメが度々現れては、その度に一口ずつ噛み取っていきます。
このカグラザメは、クジラの周りを回遊しながら、他のサメを寄せ付けないように縄張りを守っていたのでした。

ところが、カグラザメがマッコウクジラの硬い皮膚と厚い脂肪の層に穴を開けたために、他の深海生物は思わぬ恩恵を受けることができました。
自分たちでは歯が立たなかったクジラの身体に穴が空いたので、中の柔らかい肉に、アナゴやウニやタカアシガニたちがとりつくことができたのです。

カグラザメが縄張りを守りながら、ゆっくりとクジラを食べることによって、多くの深海生物がおこぼれに預かることができます。
そのように食べ物の少ない深海での生態系はつくられていると言う興味深い番組でした。

《OGSM》

話の内容が無理に飛躍するのを承知で続けます。

深海を会社に喩えます。
(笑わないでください。)

そこに落ちてきたマッコウクジラは、事業プランです。
しかし、普通は、皮が硬くて、脂肪か厚くて歯が立ちません。
そのため、誰かが一噛みしなければ、みんなで取り付いて、存分に味わうことはできません。

その時、「鶴の一声」とばかりに、上から予算もつけるし、チームも作るからヤレ!と言われれば、安心して私たちはとりつくことができます。
しかし、やりたいと言う思いが社員発信だった場合、上からの指示を待っていては何事もスタートしません。

そんな時、最初の一噛みに当たるのが、OGSMの提示です。

Oは、Objective、目的。つまり、何を何のために。
Gは、Goal、目標。どこまで。
Sは、Strategies、戦略、どのようにして。
Mは、Measurements、評価、どこまで行けば達成か。

このフレームワークを使って、事業を定義することにより、周りから納得感と協力を引き出し易くします。
思うに、いつもしんどいのは、このOGSMの一噛みです。
これは、作業時間自体はさほど多くありませんが、一番知恵を絞る部分であり、一番誤魔化さずに突き詰めるべき部分だと思います。
しかし、この一噛みで穴が開けば、みんなが安心して取り付いてプロジェクトが動き始めます。

《カグラザメの如く》

自分は何をもって会社に貢献するか。
ひょっとしたら、同年代の方で同じ悩みの人は多いかも知れません。

新しいスキルを身につけるスピードも、さらに体力も、若い人たちにはもはや叶いません。
経験があるじゃないかと慰められても、世の中の流れが速すぎて、積んだはずの経験が陳腐化している現実に愕然とします。
かと言って、年齢的に、貢献度に応じて給料を減らすでは、困ってしまいます。
自分と言う人間の存在対効果、それをどう示すかは、中堅以降の社員の悩みどころです。

しかし、このOGSMの一噛みならば、自分にもできるかも知れません。
もちろん、スキルも勉強も必要ですが、物理的にできない訳ではありません。
一番、マッコウクジラの皮が硬くて、脂肪が厚いところを一噛みすれば、あとは皆んなが何とか取り付いてくれます。
あとは、回遊しながら、まずいところを調整しながら見守っていけば良いのです。

そして、別のマッコウクジラが落ちて来たら、また一噛みをする。
そんな会社の生態系に寄与できれば良くないですか?
格好の良いことばり言うようですが、私はカグラザメのような存在になりたいと思い、そのための努力をしているのです。