今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

人を動かす仕事

(写真:ヒッポ)

《人間誰でも営業マン》

「あなたは、営業職ですか?」
いいえ、私は営業職ではありません。
お客様に契約書を書いてもらったことはありませんし、売上目標の達成のため営業効率を考えて仕事をしたこともありません。

しかし、営業と言う行為をしていない訳ではありません。
皆さんも、技術者の人、総務管理部門の人、立場はいろいろですが、営業をしているのです。

例えば、技術者の方であればどうでしょうか。
お客さんから機械の調子が悪いと言われて、先方に出向きます。
そして、
「お客さん、かなり部品が磨耗していますね。」
「治りそうかね。」
「そうですね。メーカーの保守期間は終わっていますが、代替品でなんとかできそうです。社内に在庫があるか確認します。」
「もう、かなり古いからなあ。ガタも来てるんだろうな。」
「今だったら、前と違ってもっと性能の良い機械が安く手配できますよ。」
「そうか、なら見積をくれないか。金額的に問題なければ、早速入れ替えを検討するから。」
と、しっかり営業をしています。
むしろ、技術に詳しいエンジニアの言うことには重みがあるので、営業効果抜群です。

ならば、社内でしか業務をしない総務職の場合はどうでしょうか。
「部長、月末の経費関係の集計が終わりました。」
「お疲れさま。」
「ところで、ひとつ提案したいことがあるのですが。」
「うん、聞こうか。」
「我が社もグループウェアを導入したらどうでしょうか。」
「いま流行りだね。しかし、要は費用対効果だな。」
「グループウェアも、1アカウント月500円から利用できる時代です。そのグループウェアを使って、社内連絡を効率化したり、営業報告を現地から上げて直帰させれば、時間外を減らすことができます。残業代と考えれば、500円くらいすぐ元が取れます。」
「なるほど。」
「それに、経費関係もグループウェアで報告して貰えば、承認手続きも効率化しますし、なにより私たちの手元に来るときはデータ化されているので、月末月初にこんなに残業しなくて済みます。」
「ははあ、それが本音だな。分かった。じゃあ、うちに合った製品の選定を頼むよ。」
これも、相手はお客様ではありませんが、上司に対してサービスの導入を勧めているので、立派な営業行為です。

《営業と言う仕事》

そう考えれば、世の中には営業マンが溢れています。要はその肩書きにはなっていないだけのことです。

営業と言う仕事を一言で言えば、「人を動かす仕事」と言えます。
それは、相手がお客様のこともあれば、会社の部下や同僚、上司、果ては、地域の住民、旦那さんや奥さん、子供の場合だってあります。

子供相手に営業?なんだかおかしく聞こえますね。
でも、もうすぐ夏休みですから、こんな場合を想定したらどうでしょうか。
「今年は夏休みの宿題を7月中に終わらせるのよ。」
「え〜っ、だって7月は友達と遊ぶ約束をしているんだよ。8月になってからでも、まだ1カ月あるんだから、それからで良いいでしょ。」
「いつもそれじゃない。8月になったら、8月になったで予定が入らないって言えるわけ?それでお盆を過ぎた頃から宿題が気になってきて青い顔してるでしょ。
25日を過ぎてからいよいよ焦るんだけど、休みボケの頭でまともに宿題ができるの?結局半分以上残して、いつも先生に怒られてるでしょ。」
「う〜ん、だけど。」
「あなた、本当に楽しい夏休みの思い出あった?宿題が気になって、遊んでも遊んだ気がしなかったでしょ。」
「う〜ん、なら一度友達にも聞いてみる。」
「そうしなさい。」
それで、本当に息子さんが改心すれば良いのですが、実際は何度も繰り返し言うことになるんでしょうね。

でも、営業と言う仕事の醍醐味は、今まで動かなかった人に交渉をして、最後はこちらの思う通りに動いてもらうことなのです。

《本物の営業マン》

私たちは本質的に、人にお願い事をするのは苦手だし、億劫です。
しかし、世の中は、依頼と承諾の循環で回っています。だから、誰しも人にお願いをして、相手を動かす場面があります。

しかし、実際依頼や要求は、はねつけられる場面が多くあります。
特にそれが相手の利益に反していたり、あるいは相手に何らかの犠牲を強いる場合はそうです。
上司に製品の導入を上申する場合だって、それには費用がかかるので、当然渋い顔をされます。しかも、その効果を理解していない場合は、単に面倒臭い話を持ち込まれているとしか聞けないでしょう。

しかし、そこで「物分かりの悪い上司」で済ませていたら、物事は何も進みません。
分からなければ分かるように、動かなければ動くように準備をして、相手にもメリットがあることを理解して貰わなくとはなりません。
そのために、提案書を書くのであり、プレゼンをするのです。
むしろ、放っておいても動く相手より、あっちを向いている相手にこちらを振り向かせてこそ、「やった!」の醍醐味があり、癖になりそうな達成感があります。
そして、そのために一致団結して知恵を絞るのです。

あるトップセールスの人が、「営業は物を売る仕事ではありません。人を動かすとっても素敵な仕事です。」と言っています。

人を動かしてこその醍醐味です。私自身、そのために努力を厭うてはなりませんし、むしろそれが楽しいと思えるようになりたいと思います。