今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

両極端の価値観故の安定

(写真:ちゅうりっぷ競演)

《なぜ、セウォル号は沈んだのか》

昨年4月、行方不明者合わせて300名以上の死者を出した韓国のフェリー船 セウォル号の沈没事故。
年若い多くの高校生たちが犠牲になったことで、未だに胸の痛む事故です。
同時に、国や船会社、操舵に関わった大人たちの無責任さが呼んだ人災であると分かり「全ての責任者に厳罰を!」と願った人も多かったでしょう。

人災と言えば、まず船に無謀な改造を施していたこと。許容量の3.5倍も過積載していたこと。その辻褄合わせのために、船を安定させるバラスト水を大量に抜いていたこと。
スタッフも日雇いのような人達で、事故当時操舵していた三等航海士は新人で、この航路は初めてあったと言います。

そんな、やっとやっと浮いているだけの船を操って、観梅島の沖合いまで来た時、三等航海士が船を急旋回させました。すると、過積載した荷が崩れ、片方に集中した結果、船がバランスを崩し、転覆、沈没となったのです。

《もし、会社がセウォル号ならば》

他国の出来事ながら、聞いていて非常に怒りを覚える事件です。
しかし、なぜこんな無謀なことが行われたのか?
原因は、徹底した利益偏重です。一航海にかかる経費は、多少変動はあってもほぼ決まっており、あとは、どれだけたくさん輸送するかにかかっています。そのために、たくさん積めるよう無理な改造をして、さらに無茶な過積載をする。人件費を抑えたいがために、なるべく安く使える素人同然の人間を持ってくる。
しかし、乗客はそんなこととは思わず、プロだから安全に運んで貰えると思っている。
やがて、ますます利益に目が眩んだ船会社は無理な積載をエスカレートさせ、ついに大事故につながるまで止まらなかったのです。

人間の欲の恐ろしさと言うべきでしょう。
しかし、一般企業でも陥りがちな心理です。もちろん、不正に手を染めるとか、敢えて法律を冒すわけではありませんが、利益がでていると、そこに全員が集中して、他が見えなくなる傾向があります。
会社である以上、そこに属している社員は、自分は貢献によって給料を貰っていると強く意識するようになります。対象とする事業が部署によって明確に分かれていれば良いのですが、そうでなければ、全員がその時一番利益が出ていることに群がるようになります。なにしろ、利益を上げることが、一番貢献感が高いですから。しかし、それが船ならば、一箇所に積荷が偏った状態です。ちょっとした波風で船は転覆するでしょう。
ビジネスで言えば、全員がその時に一番儲かる分野や商材に集中しているので、対象の業界の潮目が変わった時に、一気に市場を喪失して、会社は転覆します。

《両極端の価値観故の安定》

確かに、その時利益が出ていることに全員が集中すれば、利益は最大化します。しかし一方に偏れば、安定感は損なわれ、セウォル号のように転覆しかねません。ですから、あえてコアビジネスとは対局の分野に取り組むことが必要です。もちろん、その担当の人は、主流からツンボ桟敷に置かれた閑職であるとすねたくなるかも知れませんが、会社に安定感をもたらすための大切な部署であると心得て全力を尽くすべきです。

最近、ダイバーシティ多様性)ということが盛んに言われます。
あえて、立場や環境の違う人たちを受け入れて、その考え方や目線に相違があっても、否定することなく上手く活かしていこうと言う考え方です。男性目線だけでは、女性の立場に立った製品開発はできません。健常者目線だけでは、全ての人に優しい街づくりはできません。日本人目線だけでは、グローバルに開かれた企業文化は作れません。
いろんな国籍の人がネットの力で身近になり、いろんな立場の人が社会参加している現代だからこそ、多様性こそが安定を生みます。

世論も同じように、急進派や改革派ばかりでは困りますし、保守穏健派ばかりでもつまりません。両極端の人たちが拮抗していると、外目にはもめているように見えますが、それが安定をもたらしていることも事実なのです。