今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

鬼と金棒

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(写真:除雪車萌え)

『鬼に金棒』

ただでさえ強い鬼に、鉄でできた太い金棒をもたせたら、それこそ天下無双、非常に心強い状態になります。

ところで、ある人に言われました。
「鬼に金棒、と言うけど実は4通りあるんやで。」

4通り???

そうしたら、教えてくれました。

1.大きな鬼に、大きな金棒
2.大きな鬼に、小さな金棒
3.小さな鬼に、大きな金棒
4.小さな鬼に、小さな金棒

「で、強いのはどの順番だと思う?」
「やっぱり、この順番通りですかね。でも、大きな鬼に小さな金棒と、小さな鬼に大きな金棒では、どっちが強いか悩みますねえ。」
「普通、そう思うやろ。実は違うんや。」

そう言って、順番を変えました。

1.大きな鬼に、大きな金棒
2.大きな鬼に、小さな金棒
3.小さな鬼に、小さな金棒
4.小さな鬼に、大きな金棒

「この順番や」
「えっ、小さな鬼が小さな金棒を持った方が強いんですか?」

その通り、何故ならば、大きな金棒と、小さな金棒を持った小さな鬼同士戦わせてみたら良い。
大きな金棒を持った方の鬼は得意満面、大きな金棒を頭の上まで振り上げるでしょう。
しかし、そこまでです。
小さな鬼は振り上げた金棒の重さに負けて身動きが取れなくなります。
その間に小さな金棒を持った鬼は、機動力を活かして、大きな金棒を持った鬼をさんざんに打ち据えるのです。

「だから、小さな金棒を持った小さな鬼の方が3番目に強いんや。」
「納得です。」

これは、非常に示唆に富んだ話です。

私たちIT業界で言えば、金棒に当たるのが製品やサービス、鬼は私たちの会社の運用体制です。
たとえば、ITサービスは急速にクラウド化しています。
従来のITサービスとクラウドとを比べれば、自宅の庭に掘った井戸から水を汲むのと、水道を引いて蛇口から出した水のお金を毎月払うのに似ています。
今どき、自宅の庭に井戸を掘る人はいないように、ITサービスは10年と置かずクラウド一色になるでしょう。
すると、私たちITベンダーはそれが分かっていて、喫緊の課題として自社サービスのクラウド化を急ぎます。

経営体力のある大手中堅は良いとして、私たち中小ベンダーは取り組み方を間違えると取り返しのつかないことになります。
言わば、小さい鬼のクセに大きな金棒を持とうとするのですから、重さ負けして身動きがとれなくなります。
それは、具体的にどんなことでしょうか。

たとえば、以前クラウドを始めるには、自社でデータセンターを立てなければなりませんでした。センター用の用地を借りて、耐震性を強化して、サーバーを持ち込む。電源も通信回線も、何重にもルートを確保して、さらにセキュリティやバックアップをしっかり対策します。
知り合いに聞いたら軽く億の予算が必要だとか。
そこまでしても、まず利用者を募らねばならず、また月額払いなので、投資を回収するまでにたいへんな時間がかかります。
いきおい回収しようと高い利用料を設定しようものなら、AmazonMicrosoftのような大手に根こそぎ持っていかれます。

それでも上手く利用者を募って、サービスが開始したとします。
しかし、センターとの通信が安定せずに「業務にならない」と契約を切られる悲劇をよく聞きました。「嫌ならサッサと次に行く!」それがクラウドの月額払いの怖さでもあります。
さらに、収益源のドル箱サービスが自社のクラウドに食われるリスクもあります。すると、毎月見えていた収入が全て何10分の1かの月額に化けるので、しばらくはかなり経営的に厳しい時期が続きます。
また、ディーラーさんが、せっかく売っても月額でしか利益が取れないクラウドサービスを嫌ってメーカー離れを起こしたとも聞きます。

こう考えると、クラウドは社会インフラ同様、規模のビジネスです。私たちが水道ビジネスを始めても、公共サービスに太刀打ちできないようなものです。
しかしながら、少し視点を変えれば、水道水をろ過する浄水器のビジネスが成り立つように、クラウドも大手サービスを上手く利用して、メイン以外の商材でスモールスタートをすることはできます。
まさに、小さな鬼には、小さな金棒であります。
また、今は、私たちの身体にあった小さな金棒がたくさんあるので、小さいながらに幾らでも戦いようはあります。

あと、自分自身のことですが、生半可に仕入れた知識も、時に大きな金棒になります。
今なら、クラウド、ドローン、ビッグデータ機械学習、農業のIT化など、国の成長戦略に掲げられているようなものは耳触りは良いのですが、専門家でない限り扱いに困ります。
うかつに、どこかで口にしようものなら、恥をかくか、生返事の挙句たいへんな苦労を背負い込む羽目になります。
そんな金棒に動きを止められないように、自分の実力をよく見極める必要があります。