今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

買えと叫べ

(写真:南海なんば駅)

残念な営業マン

話も上手くて、スマートで、人気もあって、話題も豊富、だけれど売上は最低の営業マン、そんな人がいると言ったら信じられますか?
彼と一緒にいたら「凄いな、この人」と感心させられることばかりです。きっとお客さんも同じ感想を持っていることでしょう。
いつもお客さんから電話を受けて、嬉々として対応をしています。本当に電話を懐にしまう間がありません。
でも、お客さんに買っては貰えない。
どうしてでしょうね。
彼のどこに問題があるのでしょう。

行動を促さない人

反対に強面で、愛想もないけれど成績は良い人がいます。
その強面で押し切るから、お客さんもついついハンコをつくのでしょうか。
まさか、昔の押し売りではあるまいに。
この2人の営業マンの違いは、一言で言えば、お客さんに行動を促しているか、いないかです。
2人の営業スタイルを見てみましょう。
まず、行動を促さない残念な人。

「なかなか良さそうな商品じゃないか。」

「そうなんですよ。例えば、ここを触ってみてください。手に吸い付くようでしょ。この感触は癖になりますよ。それに、長い間使っていても疲れません。」

「なんか、ワシだけで勿体無いなあ。」

「いえ、女性の方が使っていただいても全く問題ありません。是非、奥様にも使っていただいてください。ご夫婦で同じ趣味を持たれたら夫婦仲はもっともっと円満間違いなしです。」

「う〜ん、考えてみようかな。」

「是非、お願いします。」

「家内にも相談して、気に入りそうだったら連絡するよ。」

「はい、私の名刺はこちらです。この電話番号におかけくださればすぐに伺わせていただきます。」

「じゃあ。」

「では、よろしくお願い致します。」

買えと叫べ

如何でしょうか。
おそらくこのお客さんは買わないでしょうね。
別にお客さんは冷やかしではなかったと思います。そして、店を出るときは買う気満々だったでしょう。
ところが、慎重を期して、奥さんに確認すると言いました。
様子からすると安い買い物ではないようです。それでも奥さんが喜ぶなら買おうと、帰って奥さんの気持ちを確かめたいと思ったのでしょう。
しかし、実際に商品を触って惚れ込んだ旦那さんと、その旦那さんから話を聞く奥さんでは明らかに温度差ができます。
そして、結局奥さんに気のない返事をされて、旦那さんも買う気が失せてしまうのです。

では、行動を促すタイプの場合、どう言うでしょうか。
重なる部分は省いて、途中から始めます。

「う〜ん、考えてみようかな。」

「ありがとうございます。では、早速お支払い方法についてご説明します。」

「おいおい、気が早いな。家内にも相談させてくれよ。」

「いえ、ご主人が気に入られたんですから奥様もきっと良いと言われますよ。なぜなら、ご夫婦なんですから。」

「そうだなあ。じゃあ、聞くだけ聞かせて貰おうか。」

「はい、ありがとうございます。まず、一括がご希望ですか、分割がご希望ですか。あと、お届けは平日がよいですか、休日が良いですか。」

「え?参ったなあ。そうか、いいよ。一括にしてくれ。あと、今度の日曜日に届くかな?家内をビックリさせてやるんだよ。」

「それは名案です。」

完全にお客さんは買うペースです。
特に途中、いきなり支払い方法の説明を始めています。それは言葉は違えど、強力に「買え!」とアピールしているのです。

良い人から動かす人へ

つまり、この違いです。
残念な人は、すっかり相手を買う気にさせていたのに、この「買え!」が言えませんでした。
それは、お客さんに気分を害されるのが怖かったので、言いたいことを言わず相手任せにしてしまったからです。
しかし、私たちが高い買い物のため、財布を開くときはどうでしょうか。
商品が良いことは分かっています。また、買った後のことを考えて高揚もしています。
ただ、額が額だけに後悔したくないと強く考えるのです。
いくら営業マンに勧められたからと言って、やはり判断するのは自分です。だから、「あなたは間違っていないですよ」と勇気づけて貰いたいのです。
では、それをできるのは誰でしょう。
ネットで調べるよりも、誰かの意見を聞くよりも、まずは頼りにしたいのは目の前にいる営業マンです。
なぜなら、その商品を熟知し、自信をもって勧めているのですから。

「大丈夫。後悔しませんよ。買ってください。」

そこでお客さんに遠慮は要りません。変に相手の意思を尊重する必要もありません。
自分が自信をもって勧められるのなら、「買え!」と叫んで良いのです。
そして、そのように行動を促されることを、他でもないお客さんが待っています。