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今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

カメラと車線

(写真:古木の息吹き)

カメラと車線の関係

最近の車は道路の白線を見て、車のふらつきによる車線逸脱を検知します。
例えば居眠りや脇見で、ウィンカーを出さずに車線からはみ出したら、音を鳴らしてドライバーに教えてくれます。
その白線を監視しているのは車の前方に取り付けられたカメラです。カメラが車載コンピューターに画像を送り、車に取り付けられたセンサーが速度や進行方向を送ります。
そして、コンピューターが受け取ったデータを処理して車線からの逸脱を検知する仕組みです。

無口な車線

ちなみに、この車線とカメラの関係に疑問を持った研究者がいます。
カメラはいつも車線を見ているのに、受け取るのは逸脱しているかしていないかだけの情報です。車線は、ペイントで道路脇に描かれたとてつもなく長い線です。そして、それはドライバーの視覚に訴えて、この内側を走りなさいと通知するのが目的です。
しかし、10センチ足らずの狭い線とは言いながら、そこには総延長距離からしてとてつもない面積が存在しています。
それが、無口なままではもったいないと逆転の発想をしたのです。

喋り出す車線

では、車線からどんな情報を受け取れるのでしょうか。
まず思いつくのは、車線のペイントにICタグを埋め込んで、そこから信号を受け取ることです。そうすれば、カーナビのGPS以上の精度で車輌の位置が正確に分かります。
するとピンポイントで事故や急ブレーキが多発するポイントの警告ができるようになります。「ここから30メートル先のカーブで、凍結スリップ事故が多発していますよ」とか。
しかし、それではあまりにも敷設やメンテナンスのコストがかかり過ぎるので、あまり実現性はありませんね。
ならば、車線に特殊な凹凸をつけて、1メートル単位で正確な座標を記録したらどうでしょう。カスレや欠損、土砂の堆積での読み取り低下を1メートルの情報全体で補完する仕組みです。
そうしたら、車線から受け取った座標と、車線からの相対位置で事故直前の車の動きを再現ができたり、渋滞が起きるメカニズムも各車輌の位置や速度から分かるようになるかも知れません。

カメラと車線の歩み寄り

ただ、発想は面白いのですが、技術開発や敷設のコストを考えれば、カーナビやGPSの進化を待つ方が早いかも知れません。
しかし、今まで一方通行と思われていた情報を相互から歩み寄らせることができれば、そこにはイノベーションのタネがあります。
例えば、アマゾンなどがその好例でしょう。
それまでは、本のことは本屋が専門。私たちは本屋の棚で気に入った本を選ぶか、店員さんのお勧めに従うしかありませんでした。
言わば、読者からの発信はなかったのです。
しかし、ネット書籍販売の最大手Amazon.comが取り入れたユーザーレビューの仕組みは、今まで無口と思われた読者に積極的に情報発信させる仕組みでした。
ユーザーレビューの星の数はいまや新聞や雑誌の書評以上にある種の影響力を持ってかおり、書店と読者の歩み寄りの結果と言えます。
今後、シェアリングエコノミーに見られるように提供側と従来の受け手の距離が縮まり、いつの間にか受け手側でサービスがすっかり運営されているということが起こりかねない時代です。
カメラと車線が歩み寄ったように、自由な発想でいろいろなものが歩み寄ることがこれからの時代を開きます。