今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

すぐ承認される企画はロクなものでない(其の弐)

(写真:初夏の富士 その3)

三衛門

「三衛門」の召し出しに応じて罷り越したのは、三人の家臣。
一瀬惣衛門。
二宮郷衛門。
三田真木衛門。
それぞれ一衛門、二衛門、三衛門とあだ名される。
知将と名高い一衛門、勇猛さで群を抜く二衛門、そして鉄砲の名手三衛門、家中の柱と目される三人の衛門を総称して三衛門と呼ばれていた。
「一瀬、二宮、三田の三名、お召により参上いたしました。」
「うむ、大義。」
「ハッ!」
領主は頼もしげに三人の衛門の顔を眺めた。
「実は、そなたたちも存じておる通り、結城団右衛門の裏切りにより、あのような出城を領内に築かれてしもうた。予てより重臣にも何とかあの出城を取り返せぬかと計っておるのじゃが、何分あのように険しき地に築かれた城じゃ。地の利は敵方にある。ゆえに、どうあっても手をだしかねておる。
そなたたちも、それぞれの役義の手が離せぬだろうが、そこを押して頼みたいのじゃ。
力を合わせて、あの出城を我が方に取り戻してはくれぬか。」
「ハッ!」
「御意にございまする。」

一衛門の策略

「まず、一衛門、そなたもっとも年かさで何かと知恵もあろう。思うところあらば申して見よ。」
「ハッ!私も予てより策を思案しておりました。思うに頭目の結城団右衛門と言う男、こやつが今は出城の要となっております。
結城さえ籠絡すれば、また出城は我が方に取り戻せると考えます。」
「なんと、結城団右衛門を寝返らせると申すか?我が方についておった時も正体を見せなんだ油断ならぬ男。そんなものが寝返ったからとて、またたばかられるのがオチぞ。
それに結城配下以外に大量に秋津方の手の者が入り込んでおる。いづれも敵領内の城に居座って、事あらばいつでも討ち死にしようと言う強者ばかりじゃ。結城を籠絡しても、それらのものは何ともならぬじゃろう。」
「殿のご賢察、まことにもっともと存じます。なれど、私の調べによれば結城と言う男、もともとは秋津とは縁もゆかりもない根無し草のような男。条件次第ではあるいは。もちろん、それにはいろいろと調略を要しまするが。」
「ならば、秋津方の兵はなんとする。」
「それも、城門から出て、そのまま秋津方に帰って貰うつもりにござれば。」
そこで、稲場龍興は少し気色ばんだ。
「一衛門よ、そなた領内一の知恵者と言われてはおるが、いささかその策は粗雑に過ぎぬか。ならば、『今日よりこの出城は稲場方のものと相成った、早々に立ち去られよ』とでも言うつもりか。彼らとても主君の命を受けて決死の覚悟でこの地に赴くものぞ。最後の一兵に至るまで抗うに違いあるまい。」
「御意。」
「ならば、そなたの策には無理があろう。」
「なれど、私めに策がありますれば。」
「よい、二衛門、三衛門の策も聞いてから決める。二衛門。」
「ハッ!」
「そなたに策があれば申して見よ。」
「されば・・・。」
二衛門が領主の求めに応じて口を開いた。

(其の参に続く)