今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

そうは言ってもホント

(写真:さくら公園)

やめときなはれ

私がかつてお世話になった人に、かなり癖のある人がいました。
とにかく話が長いので、なるべく電話でも捕まらないように気をつけていました。
それでもとても好きな人でした。
ただ死病を患い、やつれたところを見せたくないからと、面会も断わって一人で逝ってしまいました。
悲しいことです。
お客さんの中でも、深くその人を信頼している人もあれば、毛嫌いしている人もいました。
高い能力を持ちながらも、至って自由人だったので、大切な商談より家族の用事を優先していました。また、お客さんに対しても結構ズケズケと言ってのけました。
その高い能力を買っていたお客さんは深く信頼し、自分の思う通りにしてくれないと憤っている人は嫌っていたのでしょう。
お客さんが「こうしたいんだけど」と要望を言っても、現実味が薄かったりすると、「そんなバカなことをするもんじゃない。それは、アホのすることです。やめときなさい。」と遠慮呵責なく言っていました。
これでは、お客さんも堪らなかったでしょう。

そうは言ってもホント?

それは極端にしても、良いことばかり言わない事業者はお客さんにとっては得難い存在だと言います。
普通、事業者はお客さんが要らないものまで、あの手この手で押し込もうとします。
ましてや、お客さんから「やりたい、お金を使いたい」と言って来るのですから、まさに願ったりかなったり。営業コストをかけずに売り上げを上げる良い機会です。
でも、そこに「やめときなはれ」と言うのです。
お客さんは、てっきり自分の考えを受け入れて足らないところを補ってくれるだろうと考えていたら、逆に売らないように売らないように言って来るのです。
もっとも、それで終わるような商談なら、何れお客さんに知識がついて来て、自然とストップしてしまうでしょう。
賢い事業者にはそれが見えているので、話が長引いて徒労に終わる前に、ネガティヴなことを伝えてお互いに無駄な時間を過ごさないように手を打つわけです。
でも、「そうは言ってもホント?」「何とかしたら何とかなるんじゃないの?」とさらに食い下がって来る人もいます。
そんなお客さんこそ、本当の商談相手です。

マイナスにブラスを求める

人間は、あっさりと否定されると、反対にマイナスにプラスを求めると言います。
売らないと言われると、反対に是が非でも買いたくなる。
本来ならば、事業者が提案して買いたくなるように仕向けるところ、お客さんから是非に買いたいと言ってきます。
しかも、その理由付けまで自分で用意してくれます。
事業者も、もちろんそのままで売ったらマッチポンプで、自分で自分の言うことを否定していることになりますから、幾分工夫が必要になります。
こっちではダメだけれど、こっちなら行けます。ただし、デメリットはこれとこれ、不便はあれとそれ。
ネガティヴな情報をつまびらかにして、その上でお客さんのコミットを引き出そうとします。
そんなネガティヴな情報を伝えてなお、もっと提案を求められるなら、かなり商談成立の可能性は高いのでないでしょうか。

味方を作る妙手

見るなと言われたら見たくなる。
来るなと言われたら来たくなる。
売れないと言われたら、買いたくなる。
人間には逆心理があります。
それは何故でしょうね。
一つには、売らないと言われたら、それは手に入らないものになります。
言わば、手に入れたくても入らないもの。
希少価値が出るわけです。
レアものだよ、と言われると、人間はつまらないものでもお金をつぎ込んででも欲しくなります。
「あなたには売らない、やめときなはれ」は、その逆心理を突くのかも知れませんね。
もちろん事業者としては、本当に為にならないと思うから断るのですが、それがますますお客さんに信頼されるもととなります。
「売りたかったら、まず売るな」と言われます。
売りたい一杯の事業者が逆手をついて売らないからこそ、お客さんは心を掴まれるのでしょうね。