今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

ベストからの引き算

(写真:中馬のお雛様 その5)

アポロ11

約45年前、人類が地球のあらゆる場所を踏破して、次に目指した場所は月でした。
夜の天空にポッカリ浮かぶ丸い球体。
手を伸ばせば、まるで届きそうに思えます。
しかし、その距離は38万キロ彼方です。
地球の直径が、1.2万キロなので、私たちの立っている地上から約地球30個分の距離です。
その月を目指す。
それは想像を絶した、とんでもないミッションでした。
まず、地球の重力を振り切って、どう宇宙空間に飛び出すか。堂々たる威容の多段ロケットに燃料を満載して、それを爆発させて一気に地球の重力圏からの脱出を試みます。
そして、小さくなる地球を見ながら、空になった燃料タンクを成層圏に放出してグングン月を目指します。
まるで、火薬を一気に爆発させて、ピストルから発射した弾丸を、遥か38万キロ先の的に当てるに等しいではありませんか。
それから、また月に降り立った宇宙船を誘導して、38万キロ彼方の地球まで帰さなくてはなりません。
そんな不可能に挑戦したのかアメリカのアポロ計画、そして実際に月に人類が最初の一歩を記したのがアポロ11号でした。

月に駆り立てたもの

1960年に当時のケネディ大統領は、「人類を月に到達させる」と声明を発表しました。
それから、1961年から1972年にかけて、アポロ1号から17号まで月への有人宇宙飛行計画が行われたのです。
アポロ1号では、発射台上の火災事故で三人の宇宙飛行士の生命が失われ、映画にもなったアポロ13号は、月に向かう途中で機械船の酸素タンクが爆発しました。しかし、乗組員と管制室が力を合わせてなんとか地球への帰還を果たしました。
このように、2度の大きな事故に見舞われながら、アポロ計画では11号に続いて計6回も月面の有人探査に成功しています。
そして、この6度の成功が人類の最初にして最後の月の有人探査となっています。
このアポロ計画のような壮大なミッションは、人類史上他に類を見ないと思います。
それにしても、予算にしろ、労力にしろ、リスクにしろ、当時のアメリカはよくそれだけのものをかけて、このような壮大なプロジェクトに取り組んだものだと感心します。
実際、アポロ計画の予算を提示されたケネディ大統領はなかなかその実行に踏み切れなかったと言います。
しかし当時、アメリカとソ連間で、熾烈な軍備と宇宙開発競争が行われていました。アメリカは、国家のメンツもあって、月への有人宇宙飛行計画でも決して負けられなかったのです。
そして、人類初の月面着陸を成し遂げることが、おおいに国威の発揚に寄与すると考えたのだと思います。

まずベストを目指す

アポロ計画に先んじて、マーキュリー計画、ジェミニ計画の準備期間があったにしても、月に人類を送るのは、非常に高いハードルでした。
当時の米ソの軍拡競争が背景にあったとは言え、このような高い目標を掲げて人類が取り組んだミッションは過去から現在を通じて稀有なことではないでしょうか。
しかし、国家の決定事項であり、動かすことができないそのハードルに向けて、総力を上げざるを得ない状況が道を開きました。
・・・
まず高い目標ありきで、今の現状をもとに足らないものをピックアップします。
それに対して私たちがよくやるのは、今あるものやできることを積み上げて、それで到達点を決めることです。
いわば、ベストからの引き算と、今あるものの積み上げることの違いです。
時々で、どちらの手法が正しいかは考えて選択しなければなりませんが、高みを目指すなら、まずはベストを基準にすることです。
考えうる限りのベストの効果、あるいは結果を想定する。その目標は実現性を問わず、あるべき姿を考えるので、その高みは青天井です。
そして、そこを基準に始める努力は、今あるものを基準にする努力とは格段に違うものになるでしょう。

足りないものを埋める

「5年後になりたいものが決まれば、もう半分は、それを達成できたも同じである」と聞いたことがあります。
それは成功した経営者の方の言葉で、自分たちが成長してきた経験から言われたものです。
その時、私は漠然と「そんなものかな」と聞いていました。
でもそれを聞いた数年前と、今の自分、何が変わっているでしょうか。
何か成長ができたのでしょうか。
正直に言います。
私は何も成長していない。
時間が経っただけ知識が陳腐化し、自分の資産価値は低下しています。
いや、それなりに真剣に取り組んできたはずです。その時々に応じて、テーマに答えを出そうと必死でした。
でも、現実に成長できてないのは何故か。
成長しようとしても制約に足を取られて、思うように実行できなかった、それが一番の原因なのか。
いいえ、自分がベストのビジョンを持たなかったのが原因です。
今自分が出来ることだけを積み上げて、難しいことから逃げ、一生懸命安易な入り口を探し回るうち大切な時間が逃げていきました。
ならば、今からでも5年後のベストの自分を考えてみたいと思います。
月に行くとか、そんな大それたことでなくても、5年後にはいくらでものめり込んでいられる生涯の仕事を手にしたいと思います。
そのベストのビジョンは何で、今足らないものは何か?
まず、ベストをきちんと決めて、そこに至るのに足らないものを引き算する。
あとは、5年かけてそのギャップを埋めるのです。
アポロだって月に行けたのですから、勇気を持って挑戦すれば道は開けます。