今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

夫原病

(写真:ハリセンボンの実)

もっとも好きな人、もっともイヤな人

結婚とは、もともと他人の二人が同じ屋根の下で共同生活をすることです。
自分も覚えがありますが、嬉しさや期待と同じくらい、不安や怖さもあります。
それは生まれも育ちも全く違う相手に、自分の情けないところも、だらしないところも全部さらけだして生活しなければならないからです。
それでも、好いて焦がれて少しでも長くいたいと一緒になった相手です。彼女とずっと一緒にいられるのなら、ちょっと頑張ってみようと、最初は多少作り込んだ自分でスタートします。
いわば、蜜月時代。
精一杯、良い夫、良い妻を演じるから、それにほだされて、お互い相手に気に入られようと演技に拍車がかかります。だから、一番好きな相手になるのです
しかし、そんな感情は続きません。少しずつ慣れが出てくると、だんだん互いの本音が出てきます。慣れた相手に演技するのが馬鹿らしくなり、自分の気持ちに正直に振る舞えば、お互い許せない事ばかり。
さらに、20年、30年と過ごせば、遠慮なく無礼で身勝手なことを言ってくる相手は、もっとも嫌な相手になります。

夫原病

「今生の夫婦は、前世の敵」とまで言われます。
生まれる前の前世に、鉄の爪を生やして血肉を削りあってきた修羅同士が、今生にリターンマッチをするのが夫婦と言います。
テレビドラマや企業広告に出てくる夫婦は、いつも慈愛あふれ、思いやりも深いので、それが夫婦のあり方だとずっと信じていました。しかし、同じ家で長年連れ添い、裏を見せあっているのは、そんな生ぬるいことではなさそうです。
かくして、最近は「夫源病」もしくは、「夫在宅ストレス症候群」なる単語が飛び出すようになりました。
これは、日頃普通に生活できている奥さんが、夫が休み等で家にいる時に限り、頭痛や吐き気、動悸や、胸の締め付けられるような苦しみを訴える病気です。
男でも散々責めらる会議の日には、頭痛や吐き気等の体調不良を覚えます。
いわば大き過ぎるストレスへの身体の防衛反応ですが、これが奥さんにも起きているわけです。
しかも、相手はこれからもずっと長く過ごさなくではならない夫です。故に、男の出社ストレスに比べても、遥かに深刻ではないでしょうか。

一番近しき仲

奥さんがそれだけのストレスを抱えていても、意外に男性の我々にその自覚はありません。
そもそも、配偶者を対等なパートナーとみなしていたのは最初のうち、やがて子供にとっての母親のポジションに据えてしまいます。そして、身の世話はしてもらって当たり前、感謝の言葉もそこそこに、要求だけは厚かましくなります。
奥さんが旦那さんからかけられて一番嬉しい言葉は、「美味しかったよ」「いつも有難うね」だそうですが、反対から言えばそんな一言さえおろそかにしているのです。
そして、奥さんは報われない疎外感を溜め込んで、気持ちを病んでしまうのでしょうね。
夫婦は人生の中で親より、子供より、同僚や友達よりも遥かに近しい存在です。よく空気のような存在だと言いますが、それが悪くするとお互いストレスを溜め込む原因になっているかも知れません。

心の自立

とある往年の大俳優。
常にスポットライトを浴びて、華やかな人生を送ってきました。そんな男性が正妻一人で満足できるはずがありません。散々浮名を流して、奥さんを泣かせていました。
そんな粗末な扱いしかして来なかった奥さんが病に倒れ、そして他界しました。
さて、いよいよその俳優の女遊びはさぞ拍車がかかったかと思いきや、それからはパッタリと足が遠のき、生涯往々として楽しむことはなかったと言います。
つまり、俳優にとって自覚の有る無しに関わらず、奥さんの存在はとても大きかったです。心のどこかで「こいつは絶対俺を捨てない」と安心しきっていたから、好き勝手に浮名を流すことができました。
そして、失って初めてその存在の大きさに気づいて愕然としたのです。
そう考えると、夫源病の原因は、男の奥さんに対する無関心ではなく、完全に依存しきっている危機感のなさにありそうです。
「こいつはオレのもんだ」「こいつはオレを見捨てない」そんな根拠のない安心感が、女性に対する遠慮のなさや無礼な言動につながるのでしょうね。
そうすれば、夫源病の処方薬は、男の側が精神的に自立することかも知れません。
何を言っても構わない相手でなく、対等なパートナーとして、気持ちを察し、言動を気をつけることが大切だと思います。
そうでなければ、今度は女性側からの三下り半が待っています。