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今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

動かす提案

(写真:車窓の京都)

現実維持は選択されやすい

さあ、現状を変えるために皆んな集まって話し合いをしよう。
例えばIT業界なら、これからのビジネスはどうする?
今まで、私たちはソフトウェアとハードウェアを売って、その時にまとめてお金を貰っていました。
つまりお客さんから言えば、これから5年使おうが10年使おうが、その分をまとめて払っていた訳です。
しかし、昨今はクラウドの使った分だけお金を払う形態が定着してきました。
いわば車の所有を止めて、必要な時だけお金を払うカーシェアの形に近いですね。あとは、持った方が得か、都度お金を払った方が得かの判断です。
また、最近は昔のように景気の良い話は鳴りを潜め、皆んなカツカツで回すようになってきました。それで致し方なく所有を諦め、必要な時に必要なだけお金を払う方を選ばざるを得ないのが実状のようです。
ならば、私たちIT業界もその流れに沿って強力にクラウドに舵を切りたいところです。ただ、いままで入っていた一括の収入を諦めなくてはなりませんし、その何十分の一かだけを受け取って当面の運営をすることになります。
反面、一度定着した顧客は10年後もそのままお客さんなので、その分営業コストをかけなくても良いから助かります。
さあ、どうしますか?
実際のところ、私たちITベンダーがクラウドにシフトするのはたいへん勇気が要ります。
それは、まずクラウドシフトにはそれなりのコストがかかります。その回収も何年も経たなくてはできないので、しばらく水を飲んで暮らす時期が続きます。
だから、なかなかクラウドに踏み切れるベンダーは少ないと思います。
このように、大切なことだと分かっていても、難しいことを並べられるとついつい現状維持が選択されやすいのです。

本当は答えは出ている

話し合いで人を集め、時間をかける割には中々議論は前進しません。
しかし、本当は皆んな腹の底で答えは出ているのです。
おそらくクラウドならこんなところでしょう。
クラウドの月額利用を収益の柱にするのは間違い。まずはいろいろと試して見て、じっくりと顧客を増やす方策を探るべきだ。
では、その間をどうする?
それは今までの収益モデルを1日も長く維持し、また顧客により価値を感じて貰えるような調整を加えるべき。
あるいは、既存の収益源以外に、事業を支える商材や市場を早急に開拓すべきだ。
その全てを、将来のクラウドシフトの手段に位置付けて行う。
おそらく、同業に関わる殆どの人は共通してこんな答えを持っていると思われます。
そして、これこそ次へ動かすための提案です。

なぜ、動かす提案はし辛いのか

しかし、どれだけの同業者が実際にこのような動きを出来ているでしょうか。
やはり、既存のビジネスモデルを少し改変しては、お茶を濁して時間を送っているだけではないでしょうか。
今までの収益源の延命化や調整は、割と手をつけやすいでしょう。それは慣れた世界ですし、プロセスもゴールも想像しやすいからです。
しかし、クラウドに取り組んだり、新しい収益源を確保するためには、試行錯誤を繰り返さねばなりません。そして、実際にその仕事に割り当てられた人はかなりシンドイ思いをします。
正直、中でやっていても、側から見ていても、遅々として進まないと言う印象ばかりが強くなります。そして、周りから業を煮やす声が聞こえ始め、担当者はそのプレッシャーに負けて身動きが取れなくなります。
そこでは挫けそうな担当者を鼓舞し、前に進ませる推進者が必要ですが、なかなかそのような環境には恵まれません。
そのようなことが見えてしまうから、なかなか手を上げて、動かす提案する人がいないのでしょうね。

シンドくても光に向かう

しかし「できない理由は幾らでも見つかるが、できる方法はそれ以上にあるはずだ」と言われます。
実際に事が動く時は、退路を断たれて「やるしかない」と腹が据わった時です。
もはや、「できない理由を考えても仕方ない、なんとしてもやるしかない」と思うから、日頃出せないスペックを発揮することができるのです。
逆に言えば、できない理由をあげて足踏みしているうちは、本気ではないし、まだ力が出し切れていない証拠です。
かつて、漢の韓信が大河を背に陣を敷いて、趙の大軍を打ち破ったことがあります。いわゆる背水の陣です。
寄せ集めの漢軍は、数に勝る趙の精鋭部隊とまともにぶつかれば、たちまち総崩れになると分かっていました。そこで敢えて退路を自ら絶つことにより、決死の突撃をして道を開いたのです。
なんとしてもやる、やらねばならない。そんな気持ちが事を動かします。
能力でも経験でもありません。現に寄せ集めの漢軍が、数に勝る敵の精鋭相手に勝てたではありませんか。
動かす提案は、必ずしんどさや難しさが伴います。しかし、本当に動かそうと思えば、それを超えて行かねばなりません。
そして、そこを超えて動き始めた時、私たちに新しい世界が開けます。