今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

べき論だけでは広まらない 〜参加者を募るには〜

(写真:信金の夕暮れ)

■正論、べき論

「今は、国家有事の時であるぞ!一億火の玉の覚悟を持ってご奉仕するのだ。」
「最前線で戦っている兵士の皆さんを思えば、銃後を守る我々国民が質素倹約に努めてこそ当然ではないか。」
戦中を描いたドラマで、頻繁に繰り返される言葉です。
言論や思想の自由が認められた我々からすれば、かなり違和感のある時代だったと思います。
そもそも自分の人生です。一度きりの人生を誰かや、たとえそれが大義名分であっても何かのために投げ出すなど考えられません。
その時代、その時代、いつも正論、べき論はありますが、自分は幸せになるために生まれて来たのです。なのに、それらのために幸せでない生き方を選ばなくてはならないとしたら悲劇です。
・・・
しかし、そう言えるのも、今は個人の人権が保障された良い時代だからです。
戦中は、個人より国や大義が優先される全体主義の社会でした。そして、それを多くの国民が疑うことなく受け入れていたのです。

■人をまとめるのが難しい時代

しかし、今は個人主義の時代。
以前の愛国主義で動いていた時代と違います。
お上が我々の言論や思想を制限しようとすれば、私たちは火のついたように抵抗します。
それだけ、私たち一人一人は、個人の思想や信条、つまり自分がしたいようにすることを重んじています。
それに対して、組織をまとめようとする人は、必然的に組織の正論、べき論で参加者の意思を統一しようとします。
例えば、会社なら利潤、シェア、企業評価の向上に力を合わせるべきだ、とか。
もちろん、組織をまとめる人には、組織を維持する責任がありますから、自ずとあるべき姿や正しい理屈は見えています。
しかし、参加者にとっては、一見自分とは関係のない話です。会社の利潤追求?シェア拡大?確かに、それができれば多少給料も良くなるだろうさ。だからと言って、自分の自由を犠牲にしてまでやる価値があるの?
自分にとっての費用効果はどうなのさ?
会社組織に属している手前、一応表面上は従ったフリをしますが、本心から参加しているとは言い難い状況です。
今は、人をまとめるのが難しい時代となりました。

■皆んなで参加した方が楽しい

よく「川の真ん中まで引き出しても、喉の渇いていない馬に水を飲ませることはできない」と言われます。
つまるところ、人は自分にとっての利益で動くのです。喉の渇いていない馬は、水を飲むメリットを感じません。
参加者自らが利益を感じなければ、上から「こうあるべきだ」を繰り返しても、どこか他人事になってしまいます。
それで上の人は、優しい言い方で分からないからと、かなり厳しい言い方に変えてカミナリを落とす。
そうすると、一様に恐れ入った様子を見せるものの、自分にとってどう価値があるのかを理解できていなければ、いくら言われても活動に身が入らないのです。結果、目の前だけを取り繕っているうちに、時間ばかり経って何も変化は起こりません。
しかし、せっかくならば、皆んなで参加して盛り上がった方が楽しいですよね。
皆んなで一つの方向に走ると、全体主義的だとか、ラットの群れだとか、必ず反対する人がいますが、会社とか、コミュニティとか、本来同じ目的に賛同して集まったもの同士なら、自ら主体的に参加意識を高めた方が良いに決まっています。
皆んなで協力して、プロジェクトを成功させたり、売上を達成できれば、会社の仕事がとてもやり甲斐のあるものになると思いませんか。

■ベネフィットで働きかける

同じ会社や集団に属しながら、つい他人事になる。主体的に参加もしなければ、一体感もない。
業を煮やして、上からはガンガン正論でカミナリを落とされる。
そして、怒られたくないものだから、会社が命じるままに仕事に飛び回る。
いつの間にやら、それがサラリーマンの性のように思われていますが、果たしてそれは本来の姿でしょうか。
自分に納得感のないままやっていても、会社にも個人にも活動する価値はありません。
ならば、どうしたら良いのでしょう。
やはり、大切なことは、これをすることがどう利益があるのか、ベネフィットをよく理解させることです。
それは、お金だけではありません。周りからの信頼を得られることや、社会に対する貢献かも知れません。
これが上手く行けば、こんな凄いことになるよ。こんな嬉しいことがあるよ。そして、それはきっと君を幸せにするよ。
そのようにお互い納得するまで話することです。
そうしたら、楽しいことが好きな人たちばかりだから、言わなくても進んでどんどん動きだすでしょう。
正論、べき論を伝えれば、人は動きます。確かに、正しいことを言われたら、なんとかそれを飲み込んで動こうとするでしょう。しかし、心からの参加意識がなければ本当の動きにはなりません。
対して、参加意識を高めようと思えば、ベネフィットで説くことが最短距離なのです。