今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

船頭 〜作業は分担できるが、責任は分担できない〜

(写真:ダチョウ、ハロー!)

■船頭多くして

「船頭多くして船陸に上がる」と言います。
船頭とは、船の舵を預かる大切な仕事です。
舵を預かるから、船頭が西に船を向けたいと思えば西に、東に船を向けたいと思えば東に自由に船を動かすことができます。
そして、我々船頭以外の者は、船の中ではひたすら船頭を信じて身をまかせるしかありません。
しかし、もし船頭が複数人いたらどうなるでしょうか。
ある船頭は西に船を向けたいと言い、ある船頭は東に船を向けたいと言います。それぞれが自分の主張を繰り返して、舵を奪いあっていれば、まともな操舵はかないません。
やがて、なす術なく潮に流されて岸壁に乗り上げて座礁するかも知れません。
これは、そんな状態を言った喩えです。

■誰もが依存している状態

また、よく会社や政治などの組織運営で言われる喩えでもあります。
つまり、二人以上のリーダーが乱立し、お互い主導権を奪い合った結果、すっかり組織運営がおかしくなることです。
例えば会社なら、社長派と専務派に分かれて足の引っ張り合いをしている。どちらも、会社の舵取りをしようと躍起になって、それぞれの思惑で指示が乱発される。社長派はある製品の増産を指示し、専務派はその製品からの即時撤退を指示する。
当然、社員は大混乱します。そして、まともに業務などできるものではありません。
最初は兆候に過ぎなかった業績の悪化がやがて現実となり、抜き差しならない事態となり、ついには回復できない所まで落ち込んでしまいます。
そして、時間ばかりが過ぎてゆき、何一つ有効な手は打たれないまま終焉を迎えるのです。
その時、暗闘に身を削った社長と専務はどう感じるでしょうか。このような事態を招いた責任を深く受け止めて、慚愧の念で身が苛まれているでしょうか。
おそらく・・・
そんなことはないでしょう。
互いにこうなった責任を相手のせいにして、酷い批判を繰り返しているだけではないでしょうか。
つまり、リーダーが二人のいたのではありません。一人もいなかったのです。
リーダーとは、自分が行う決断の一切と組織全体に責任を負う立場です。それが、組織をまとめる任務を放棄して、相手の足の引っ張り合いに終始するのです。最初から責任感などないから、事態がここに至っても感じる責任など持ち合わせていません。
船頭が複数人いるのは、一見責任者が多いように見えて、その実責任を転嫁し合い、お互いが依存しあっているに過ぎないのです。

■船頭に従う

誰かが責任を引き受けて、リーダーを買って出る。
もちろんやりたい人が複数人いたら、決を採って決めねばなりません。そして、リーダーが一人に決したら、後の人は自分の思いを引っ込めて補佐に徹します。
「なんだかなあ」と思うこともあるでしょう。「俺の方が正しい」と思うこともあるでしょう。しかし、責任を負うのはリーダーであって私ではありません。
だから、責任を負うことができるリーダーに全て任せて、後は言う通り従うのです。
時に舵取りを間違えて、潮に流されるかも知れません。しかし、舵を奪いあって、結果座礁するよりどれほどマシでしょうか。
反対に言えば、責任と同時に権限も集中するのがリーダーです。必然的にリーダー選びはとても重要になります。
この間の選挙では、私たちはそこまでの気持ちをもって国のリーダー選びをしたでしょうか。
お互い反省したいことです。

■作業は分担できるが、責任は分担できない

「作業は分担できるが、責任は分担できない」
これは非常に身につまされます。
特に、会社同士が連携してプロジェクトに当たる時、よく肝に銘じておきたいことです。
会社が連携するのは、それぞれ単独ではプロジェクトを回し切るだけのリソースが足らないからです。そして、お互いリソースを出しあってなんとか乗り切ろうとします。
その意味では、キチンと作業の分担をしています。
では、責任の分担はどうでしょうか。
会社同士だと、お互い遠慮もあり、また外からだと良くも見えます。
すると、心なしかお互い甘えが出て依存するようになります。
「もっと仕切ってくれると思った」「そこはキチンと抑えて欲しかった」「そこは分かっていると思っていた」等々、後からほぞを噛むのはいつも互いの責任のグレーゾーンです。
どうしても、人間は自分の都合の良いように解釈しますから、「そこは当然そちらの範疇だろう」と勝手に決め付けた部分がグレーゾーンになるわけです。
だから会社が違っても、まずはどちらかが船頭にならねばなりません。
そして、主導権を取って責任の切り分けをします。後はそれに従えば良いのです。
このように責任者は既得権益ではありません。その時その時でベストのパフォーマンスを生むようにリーダーを選出し、責任を持って貰います。そして、リーダーになれば腹をくくって全体の責任を持ち、リーダーを譲った場合は、全力で支えなければなりません。
それが、互いの立場でお互いの責任を全うしている姿ではないでしょうか。