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今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

顧客に仕事をさせる

(写真:夕陽の牧場 その8)

■知らないうちに働かされている

お金を払っているのに、知らないうちに働かされている。
そんなこと、ありますね。
子供が、ある回転寿司のチェーン店に行きたがります。
その店は、カウンターやボックス席に皿の返却口があって、食べ終わった後の皿を投入すると何枚かに一枚ルーレットが回る仕組みになっています。
そして、当たればガチャガチャで出るような景品が貰えます。だいたい原価10円くらいかなと思いますが、子供にはそれが嬉しいらしく、何度も行こうとせがまれました。
まさに、「将を射んと欲すれば、まず馬を射よ」で、親の財布を掴みたければ、まず子供の心を掴めと言ったところでしょう。
それに、景品欲しさの子供は、もっと食べろと親をつつきます。これでおそらく売上の何割かはアップしているはずです。
さらにお店にとって、決定的なメリットがあることに気がつきました。
それは、店員さんの代わりに、お客である我々が働かされていることです。

■顧客に仕事をさせる

つまり、お店はこの返却口のおかげで、お客が食べ終わって帰った後の皿を片付けなくても良いのです。なぜなら、景品欲しさに皆んな投入してくれますから。 また、返却口のセンサーが枚数と種類を自動でカウントするので、会計の前に皿を数える必要もありません。
これはすごい人件費削減効果です。そして、それを客である私たちの労力で実現しているのです。だから、この仕組みを考えた人には本当に感心させられます。
同じように、お客さんを働かせて人件費を削減しているサービスはたくさんあります。
まず思いつくのが、サービスエリアのセルフサービス。別に特段安い訳でないのに、受け取るのも、返却するのも全てお客である私たち自身です。私たちも、高速道路のサービスエリアだから、まあ仕方ないかと思って従順に従っていると言ったところでしょうか。
あと、セルフのスタンド。爆発物であるガソリンを何の責任も持てない我々素人に扱わせる訳ですから、考えてみれば恐ろしい話です。しかし、余程うまく法整備がされているのか、今ではすっかり定着し、むしろセルフで給油しないと勿体無いとまで思えます。
実態はどうあれ、セルフスタンドでお客さんが働いた分は値段から差し引いていることになっているので、我々も自発的に協力しているのです。

■amazonの仕掛け

意外にも、あのamazonもお客さんに仕事をさせる一形態です。
amazonは目の前に商品がないため、言わば注文販売です。
実店舗では、店員さんに関連商品のカタログを取り出して貰ってパラパラめくり、希望の商品を選びます。そして、店員さんから商品の良し悪しを聞いて、気に入れば注文となります。さらに、お店に取り寄せてもらうための注文票を記入します。
さて、それからお店は注文票を台帳に転記し、仕入先に問い合わせして商品の手配をします。
商品が入荷したら、お客さんに連絡して、商品と引き換えに代金を貰います。最後、売上台帳と入金台帳に記載してお店の仕事は終わります。
amazonはこの店員さんの仕事を全てネットで自動化しました。さらに、そうと気づかないうちに私たちもamazonのために働かされています。
例えば、店員さんがカタログを取り出す作業が、amazon内のカテゴリー、および商品検索に置き換わっています。これは、気づかぬままに、自分で何冊もカタログを取り出して商品を探しているのと同じです。
また、amazonでは注文票に記載する作業は、WEBページで行います。しかし、そこで入力する内容は、実店舗の注文票に記載するボリュームより遥かに多いと思いませんか。
住所、電話番号はもちろん、性別、生年月日、嗜好、はてはクレジットカードの番号まで要求されます。普通、実店舗でここまで聞き出そうと思ったらたいへんです。それを私たちは自ら進んで入力するのですから、よく出来た仕組みです。
また、データの精度が良いため、amazonの仕入や売上台帳にもそのまま転記できるのです。

■楽しさの共有

さらに、普通店員さんが知っていなくてはならない商品知識も、星評価が代替します。
しかも、その評価自身amazonではなく、実際に購入したユーザーが行っているのです。
これら作業に、amazonの社員が介在するところはありません。
そう考えると、amazonは大きな器を用意し、それを皆んなで運用しているイメージに近いですね。
特に、星評価は、評価したからと言ってユーザーに何ら報酬が入る訳ではありません。
言わば、商品が気に入ったり、気に入らなかったりしたユーザーが趣味の延長で行っているのです。それは、楽しんで作業できる場所が提供され、そこに参加した人たちによって共有されているコミュニティのようなものです。
そう考えたら、もうamazonも一つのインフラです。
これから人手不足が深刻になる中、機械による自動化と、自発的なお客さんの参加により、いろいろなサービスが提供されるようになるかも知れません。
これはこれからのビジネスを考える時の大切な視点となります。