今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

水蒸気を集める

(写真:オスプレイ)

■目に見えているものといないもの

水はいろいろな形態に変化します。
液体、気体、そして、固体。
液体はご存知の通り、飲んだり、手を洗ったりする時の形態です。
その液体に熱を加えると水は蒸発をします。
すると、蒸発して水はどこにもなくなったように見えますが、水蒸気として空気中に分散しただけで、気体と言う形態で存在しています。
では、水の固体とはなんでしょうか?
そう、水を氷点下に置くと固まって氷になります。それが水の固体での形態です。
まず、ここまでで確認したいのは、水には目に見える液体、固体と言う形態と、目に見えない気体と言う形態があることです。
そして、目に見えなくても、間違いなくそこに存在をしているのです。

■形にはなっていないけれど、間違いなくあるもの

形にはなっていないけれど、間違いなくそこにあるもの。
例えば、前段の水蒸気がそうです。
そして、私が日々お客さんと話をする時にも、感じていることです。
つまり、明確な要望として形にはなっていませんが、明らかにある、やりたいこと、やって欲しいこと、あったら良いな。
それが、言葉の端々に聞こえてきます。
それが拾えてこそ一流なのですが、ビジネスでは時間や予算の制約があるため、どうしても目に見えている部分に集中してしまいます。
でも、水蒸気と同じで、間違いなくそこには要望が存在しているのです。

■見えない要望

例えば、運送の世界で言う収支管理がそれに当たるでしょう。
運送事業者の方にとって、日々儲かっているかいないか、この運行が赤か黒かは、リアルタイムで知りたい切実な問題です。
もし、日々赤黒が判別できれば早めに手を打って対処することができますし、収益が出ない運行だと分かれば傷口が開く前に撤退の判断も可能です。
しかし、実態は月や年単位で締めて、初めて赤黒が分かるのです。
運送事業は装置産業なので、事業を運営するのにいろんな購入品が必要になります。
例えば、毎日発生するものは、燃料代や有料道路代金です。これは把握し易いですね。
毎月発生するものは、ドライバーの人件費や福利厚生費、事務所経費や駐車場代と言ったところでしょうか。
年単位で発生するものは、車両の償却費や車検代、定期点検や保険等です。
厄介なのが、突発的に発生する事故費や修繕費で、これらは無いに越したことはありませんが、どうしても避けられない出費です。
これらの総額と年間売上を比較して、初めて儲かった、損が出たと判別できるのです。そして本当は財務会計の話です。
しかし、年間で締めて「大赤字でした」と空を仰いでいては経営は成り立たないので、収支が下振れしたと分かった段階で何らかの手を打たねばなりません。
ですから、現場をよく見ておられる経営者の方は、車種と方面毎に必要な出費を感覚でつかんでいて、月や日の損益分岐点も身についています。
そしてこの感覚の精度で経営の巧拙が出ると伺います。

■水蒸気を集める

そのため、かなりの頻度で収支管理のIT化を相談され、経営者の方と話し合いもしてきました。
しかし、収支、特に日々や運行単位となると、なかなか仕組み化が難しいのです。
まず、会計システムの実績値を基準にする訳ですが、正しい数字が見えるのは翌月に入ってしばらく経った後です。
また、年に一度や突発的に発生する出費をそのまま集計したら、赤と黒の月がランダムに振れて正しい収支が見えなくなります。
ましてや、日々や運行単位の収支判断は夢のまた夢です。
結局、ある程度参考値を作ることになりますが、これも細かく調整する必要があるので、何処まで行っても経営者の方の感覚には勝てないのです。
私は、ほとんど人工知能の領域だと考えています。
しかし、こんな皆んな上手く口に出して伝えられない要求、でも皆んなが願っている要望こそが、目に見えない水蒸気です。
いつまでも目に見えることばかりに取り組んでいては次のスタンダードを作ることはできません。
まさに、これは水蒸気を集めるような仕事ですが、それを形にし、次の世代に誇ることができる仕事が残せれば有難いと思います。