今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

相反の合体

(写真:那覇の海 その3)

■踊る大捜査線

一見、全くジャンルも種類も全く違うものをくっつけてみる。
そうすると、思わぬ面白味や味わいが生まれることがあります。
これで、よく引き合いに出されるのは、『踊る大捜査線』。
『踊る』は、若者のダンス等で使われるポップで軽妙な言葉です。
対して、『大捜査線』は犯罪、捜査、警察、組織を連想させる重い言葉です。
この二つをくっつけてみる。
すると、今までにないフットワークの軽い刑事ドラマが生まれます。
視聴者も、なんだろうな?と興味を惹かれるので、ドラマタイトル自身が視聴率向上に貢献しました。

■アイディアは相反の合体

そもそもアイディアとは、今までなかったものを生み出すことではなく、既にあるもので全く新しい組み合わせをつくることだと言われます。
最近の新しいアイディアを見てみましょう。
例えば、印刷代行サービスのラクスル。
今まで、印刷の依頼は元請け業者を通して行いました。そして、そこから下請けの印刷業者に回り、実際の印刷が行われます。
ですから、二次受け、三次受けが当たり前の業界構造で、利用者からしても少量の依頼はし辛いものでした。
さらに下請けの印刷業者は、元請けからの依頼がなければ印刷機を遊ばせておかなければなりません。
そこに目をつけたのが、ラクスルの社長でした。ならば、全国の印刷業者と提携して、少量の印刷をしたい利用者との間をラクスルがとり持てば良い。
つまり、利用者がインターネットで申し込んだ依頼をラクスルがまとめて、事業者の稼働していない印刷機で印刷して貰うのです。
しかし、このモデルはどこかで聞いたことありませんか。
そう、電子書店の最大手、Amazon.comです。
Amazon自身は実店舗を持ちません。
インターネット上の自社サイトに商品を展示して、そこで利用者との売り買いを完結します。
同じようにラクスルも一台の印刷機を持っている訳ではありません。
全国の提携先の印刷機をネットを通じてとりまとめ、バーチャルな巨大印刷工場を作ったわけです。
つまり、ラクスルのビジネスモデルは、Amazonの電子書店の仕組みと、ネット化がとても無理と思われた印刷業の合体でした。

■異質を組み合わせる意味

このラクスルの例で分かるように、Amazonのビジネスモデルも、印刷業界も別に目新しいものではありません。
ただ、その組み合わせが新しく、斬新だったのです。
しかも、組み合わせられた双方同士とても異質でした。異質なるが故に、組み合わせを面白いと感じ、興味を持つ人がいます。
また、異質なもの同士をくっつけるのはたいへんですが、そのたいへんさが大きいほど、実際にくっついた時に大きな価値を生みます。
これは、よく映画やドラマの企画でも応用されています。
古くは『幼な妻』。
16歳の少女が、教師の後妻に入る話です。
まだ人生の何も分かっていない幼い少女と、大人の女性の代名詞でらある『妻』との合体です。このパターンは余程受けが良かったと見えて、同じような企画が度々制作されました。
あと、『子連れ狼』。
奥さんを亡くした男やもめは、残された子供をどう育てるか途方に暮れるでしょう。ところが、子育てをしながら、さらに刺客(殺し屋)を生業にしている話です。
『子連れ』と言うほのぼのした言葉と、『刺客』と言う血生臭い要素が間逆に合体しています。
あるいは、『宇宙戦艦ヤマト』。
宇宙船は普通スマートな流線型や円盤型が定番でした。そこへ宇宙船と言うSFの要素と、戦艦ヤマトと言う重厚極まりない要素をくっつけるのです。
いずれも、内容がわからなくても、なんだろう?と興味が湧いて思わず見たくなりませんか。

■化学反応を楽しむ

この異質同士の合体は、宣伝効果だけでなく、思わぬ化学反応を起こして、作り手にもワクワク感を生みます。
よく漫画では、ストーリーがマンネリ化したら、際立ったキャラを投入して展開を盛り上げようとします。
例えば、『Dr.スランプ』に出てきたドクターマシリトとか、おぼっちマン君とかですかね。
特に、おぼっちマン君は天然のアラレちゃんに対して、真面目一途な性格で、さらにアラレちゃんに恋をしてしまいます。
ドクターマシリトのオトボケ作戦と、おぼっちマン君の純愛にストーリーは大いに湧いて、少しアラレちゃんはかすみがちでした。
でも、新キャラがどんどん動いて生み出す化学反応を一番楽しんでいたのは、読者以上に作者だったかも知れませんね。
相反するもの同士、あるいは反りの合わないもの同士、敢えてくっつけてみたら思わぬ化学反応が起きるかも知れません。
それは、商品でも、企画でも、仕組みでも、あるいは組織でも。
もちろん衝突はあるでしょうが、それを乗り越えて起きる化学反応を楽しむ位でいたいものです。