今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

低燃費のしずかちゃん

(写真:セントレア その2)

■しずかちゃん

「低燃費のしずかちゃん」
これは、ハイブリッドカーのCMのフレーズです。
このCMは、かのアニメ『ドラえもん』の登場人物が大人になった時を想定して、ドラマ仕立てで作られていました。
さすが、ハイブリッドカー、低燃費が売りだけあって、そこにしずかちゃんを引っ掛けるのは上手いと思います。
さて「しずかちゃん」、おそらくこの名前を聞いて、「ああ、あの子か」と思い浮かぶ人は、今の日本では8割を超えるのではないでしょうか。
しずかちゃん、フルネームは、源静香です。
あの源義経の愛人だった静御前の末裔かどうかは定かではありません。
『ドラえもん』の主人公、のび太君の同級生で、マドンナ的存在です。
美人で勉強もできて、おとなしい性格。
めったに感情をあらわにしません。
それに、不幸な事故で、しょっちゅうのび太君に入浴しているところを覗かれている割に、彼との関係が壊れないところ、懐が深いなと感心します。

■低燃費と言われる理由

さて、しずかちゃん、低燃費と言われますが、どうしてそう言われるのでしょうか。
しずかちゃんは、前段にも書いた通り、余り感情を表に出しません。
そして、過剰にモノを欲しがるところもなければ、感情をむき出しにして怒ることもない。人を恨んで、ジッと負の感情を溜め込むこともありません。
落ち込んで、いつまでもグチグチ悩まない。
ましてや、影で人の悪口を言ったりしない。
でも、正しくないことをする人には、ちゃんと筋を通す。
これは、男性が少女キャラを描く時のステレオタイプとも言えますし、ひそかな憧れの彼女像でもあります。
もっとも、最近は、性格の良さよりも、キャラが立って面白みのある美少女の方が好まれる傾向にあるようですが。

■燃費の悪い生き方

しずかちゃんを低燃費人間だとすれば、燃費の悪いのは、どんな人を言うのでしょう。
例えば、他の登場人物たち、のび太、ジャイアン、そしてスネ男。
彼らは、しずかちゃんに比べれば、至って燃費効率が悪い子供たちです。
まず、のび太。
好きなことは、昼寝。寝転がって漫画を読むこと。典型的な省エネ人間に思えますが、彼はなかなか気持ちが忙しい少年なのです。
やたら金持ちのスネ男の持ち物を羨ましがる。あるいは、自分ができないことを、これ見よがしに見せつけられると、なんとか見返してやろうと、すぐ秘密道具に頼ろうとする。
ダメならダメなりに諦観を身につけているかと思えば、グチグチと自分のダメさを思い悩み、また、いじめっ子に対しては事あらば復讐を画策する。
このように、結構なエネルギーを消費して生きています。
次に、ジャイアン。
言わずと知れたガキ大将、そして、いじめっ子。
なまじ腕力があるものだから、我を通さずにはおれず、自分に逆らうものを許してはおけない。
自由きままで良いようにも思えますが、その実、いつも気に入らないものに毛を逆立てていなければなりません。
それは、それで結構疲れませんか。
あと、スネ男。
お母さんから「スネちゃま」と呼ばれている、お金持ちの大切な一粒種です。
そのせいか、やたら自意識が強く、何か買って貰うと、それを見せびらかしたくてたまりません。(でも、結局、ジャイアンに横取りされて、壊されて泣いているんですけどね)
お金持ちではありますが、ジャイアンには媚びて生きている少し卑屈な面もあります。
その卑屈な部分をのび太に八つ当たりしたりして、お金持ちは、お金持ちなりにたいへんな訳です。

■エコ的人間観

さて、彼ら燃費の悪い友達に囲まれて、しずかちゃんの良い子ぶりが際立ってしまいます。
しずかちゃんは、基本マイペース、今の自分に満足して、来るものは拒まず、去る者は追わない。
人の悪口を言わないし、後ろ向きな感情を引きずらない。
ちょっとイケテイナイ友達にも、特にこだわりなく優しく接しています。
そう言えば、貝原益軒に「養生の四寡」と言う言葉があります。
『思いを少なくして心を養い、
欲を少なくして精を養い、
飲食を少なくして胃を養い、
言を少なくして気を養うべし。
これ養生の四寡なり。』
くよくよ悩まず、必要以上に求めず、いつも腹八分目に心掛け、いらないことは喋らない。このように、4つのことをほどほどにすれば、いつも健やかに長生きができると言う教えです。
これを聞くと、昔から日本人は生き方もエコだったなあ、と感心させられます。
しずかちゃんには、そんなエコな人間観が現れています。
対して、のび太やジャイアン、スネ男は、怠け者、威張りん坊、見栄っ張りと言う私たちのありままの姿が投影されています。
つまり、しずかちゃんは、私たちが理想とする生き方なのです。