今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

実行力を持ったコンサルタント

(写真:ジオラマ・名古屋)

■IT事業者の提供するもの

仕事上、いろんな事業者の方とお付き合いします。
中には、とても立派なERPパッケージ(販売・仕入・在庫・人事給与・会計までワンセットになっているソフトウェア)を持っていて、それを販売しているメーカーの人もいます。
私たちの仕事は、まずお客さんから、「うちもIT化したいんだけど」と相談を受けて始まります。その中で、旧来の手作業に頼っている部分と、既存のITの仕組みがある部分に切り分け、効果の大きい部分から最適のソフトウェアを提案します。
また、ソフトウェアの提案の仕方にも二通りあります。お客さんの要望を聞き、運用を開始した時のイメージまで固めてから、それに合うものを探す、もしくは作るやり方。もう一つは、まず合いそうなものを選んで、それを見て貰い、お客さんの運用に合うか合わないかを判断してもらうやり方。
分かりやすく言えば、前者はお客さんの寸法を測り、身体にピッタリ合ったものをつくるオーダーメイド方式。後者は、既製品から、自分の身体に合ったものを選んで貰うレディメイド方式です。
そして、前出のERPパッケージを持っている事業者は、レディメイド方式に当たります。まずは自社の製品ありきで、合わないところは対象から外し、ピッタリ合うところはそのまま顧客になります。
しかし、ほとんどは、多少身体に合わないけれど、無理に身体を縮めて合わせようとするお客さんです。

■ラスト・ワン・マイルの提案

パッケージソフトは、既製品です。
○○奉行とか、○○大臣とか、製品によっては箱詰めで買えるものもあります。
本来なら、何千万、いや何億と言うお金を投入して開発するものですが、それを何万本と販売が見込めるので、数十万円からの手頃な価格で提供しています。
反対にオーダーメイドは、全部お客さんのために一から作る訳ですから、その制作費の殆どをお客さんに負担してもらうことになります。すると、すぐに何千万と言う開発費になってしまいます。
ベストは、自分の身体にピッタリ合ったパッケージがあることです。確かに、表計算のようなツール系や、給与、会計のようなソフトならそのまま使えますし、また進んでパッケージの利用を提案します。
反対に、会社独自の仕組みに関する部分、例えば売り買いの管理や、現場の回し方の管理は、なかなかピッタリ合った仕組みは見つかりません。
しかし、何十年も培ってきた会社独自のやり方は、ものすごい量の人間系の手仕事で支えられています。それを全てオーダーメイドしたら、天を仰ぐような金額になるでしょう。
そこで、いろんなことが出来て、対応力もあり、機能が詰め込まれたERPパッケージを提案するのです。そうすれば、かなりの割合はなんとか使って貰えるはずです。
しかし、このERPパッケージは、まるで運送業界の路線便のようです。
路線便は大量の荷物を安価に遠くまで運べますが、ラストワンマイルは、路線便のターミナルまで受け取りに行き、自宅まで持ち帰らねばなりません。
同じように、ERPパッケージは、大まかなところまでは安価にまかなうことができますが、会社独自の部分や、差別化すべき部分は別途作り込む必要があるのです。
そして、そのERPとお客さんの運用をつなぐラストワンマイルの提案こそが、我々ITベンダーの力の見せ所です。

■コンサルとIT

普通、会社独自であったり、差別化のための仕組みづくりをサポートするのはコンサルタントです。
そして、そのコンサルタントには、いつも感心させられます。なぜなら、実業をしている人の方が、絶対に業界は詳しい訳ですし、また経験も深いはずです。それを、実業を全くやったことが無い人が指導するのですから。
当然、担当する業界については、短時間に学び、専門家としてのスキルを身に付けています。
そのコンサルタントの武器はフレームワークです。それは、実業を分析し、強みは何か、弱みは何かを見つけ出すツールです。そして、強みは強化し、弱みは補完して克服しようとします。
このフレームワークと言うツールは学んで身に付けることができ、さらに実践を通じて使いこなせるようになります。
これを、業界毎に適用し、業界ドップリの人では気がつかない知見を与えるのです。
むしろ、コンサルタントの武器は、フレームワーク以上に、外の業界の人だと言うことかも知れません。さらに、いろんな業界も見ているので、他業界のノウハウを使って異次元コラボレーションも駆使します。
そうして、特定の業界に根を下せば、さらに事例が身について知識も深まり、業界専門のコンサルタントとして食いっぱぐれがなくなります。
しかし考えてみれば、我々ITの専門家も看板を上げていないだけで、やっていることはコンサルタントとよく似ています。
ただ、武器がフレームワークではなく、ITてあるところが違います。

■実行力を持ったコンサルタント

コンサルタントのフレームワークに対して、我々はITの専門知識が武器です。
また、我々は実業をされている方にとっては外部の人間であり、また、複数の業界の仕事をこなして他業種で培った知見を活かすこともできます。
さらに、特定の業界に特化して、その分野でITの専門家として生きていく人もいます。
しかし、私たちIT業界のものは、伝統的に製品の販売と、それにともなう開発、あと運用保守を収入源としてきたので、お客さんの運用とITを結ぶラストワンマイルが疎かになってきました。
本来、専門のコンサルタント以上に、お客さんの運用の効率化や、差別化を支援できる立場にありながら、そこはコンサルタントに席を譲ってきたのです。
しかし、よく言われることですが、ホームセンターでドリルを買い求めるお客さんは、実はドリルを買いたいのではなく、望みのものに穴を開けることが目的なのです。そのよううに、そのモノではなく、そのコトにフォーカスすれば、お客さんに勧めるものの幅はもっともっと広がります。
お客さんが、販売管理が欲しいと言った時、実は金銭の管理以上に、営業案件の進捗を管理したいのかも知れません。あるいは、売り上げの傾向分析をして、生産量を調整したいのかも知れません。
しかも、お客さんに思いはあっても、ご自身がどうしたいのか、はっきりしたビジョンを持っていないこともあります。
そこを、一つ一つ解きほぐし、最後、お客さんにとってのベストの運用とITとのラストワンマイルをつなぐのです。そして、構築したシステムは、お客さんに安定的な運用を保証します。
つまり、ITプロフェッショナルがラストワンマイルを意識し、それを具現化する技量を磨けば、コンサルタント以上の、『実行力を持ったコンサルタント』となれるのです。
もっと言えば、技術自身は今後クラウドサービスの台頭によりコモディティ化が進み、ITプロフェッショナルの優位性は失われるかも知れません。
そんな時代、ITプロフェッショナルは、技術を提供する立場よりも、技術に対してお客さんの運用を代弁する立場になるべきだと思うのです。
みなさんはどう思われるでしょうか。
IT業界や、それ以外の業界のいろんな人の意見をお聞きしたいと思います。