今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

ヘルプとコーチング

(写真:大垣上空 その1)

■銀だこ社長の支援

最近、屋台を見なくなったと思いませんか?
桜の時期には、たこ焼きや綿あめ、フランクフルトの店が来ていましたが、それまで、どこでどう商売されていたのか、他人事ながら気になってしまいます。
しかし、思い返せば本場大阪、広島ならぬ東海圏では、たこ焼きと言えば祭り等の屋台で食べるものと相場が決まっていました。
それが気がついてみれば、一部のコンビニで作り置きがあったり、専門店がスーパーや大型商業施設のフードコートに併設されたりしています。そのため、たこ焼きもすっかり日常的なファーストフードの一つに数えられるようになりました。
その中で、当初群馬県に本社のあった築地銀だこのたこ焼きは、少し高いけれど高級感があり、何度か買い求めたことがあります。「お腹が空いたから小腹の足しに」と言うよりは、「家族が喜ぶから買って帰ろう」的な特別感のあるたこ焼きです。
そして、2011年3月11日の東日本大震災が発生した時、その銀だこの社長は自らキッチンカーで、特に被害の大きかった宮城県石巻市に支援に駆けつけました。

■本当の支援

今回の熊本地震でもそうですが、国の支援とは別に、多くの民間企業が独自に何ができるかを考え、実際支援に動いています。
そして、銀だこの社長も、3.11で何か出来ないかと考え、社員に「被災した人が今一番望んでいることは何だろう」と尋ねました。
それに対して、「今現地の皆さんは温かいものが食べたがっている」と言う社員からの発案がありました。
それで、社長自らキッチンカーで駆けつけ、炊き出しを行ったのです。
と、ここまででも、凄い社長だなあ、と感心しますが、銀だこの社長の思いはそれにとどまりませんでした。
炊き出しは、確かに今飢えている人を救うことは出来る。しかし、そんな一過性のボランティアで良いのだろうか。
食べ物は喉を通って胃を満たせばそれで終わり。だが、 やがてまた時間が経てば同じように飢えてしまうだろう。
ならば、食べるものを支援するだけでなく、皆んなの生活を立て直す支援はできないだろうか。

■ヘルプとコーチング

そのためには長期的に石巻を支援する必要があると、常設店の設置を考えました。
もちろん、それが被災地に新たな雇用を生むとの考えがあってのことです。
しかし、現地の惨状は思った以上に凄惨を極め、インフラは壊滅し、物流も復旧する目処が一向に立ちません。
これでは、常設店の設置はとても無理と思われましたが、7月にトレーラーハウスを使って商店街を営む会社「ホット横丁」を立ち上げ、そして、その半月後には、津波の爪痕が生々しい石巻市に、飲食店やカラオケ店などを営む「ホット横丁石巻」を設置したのです。
これが現地の人たちに、かつてと同じ憩いの場を提供したのはもちろん、新たな100人の雇用の創出につながりました。
さらに、地場の食材を使った石巻ブランドの立ち上げを次から次と企画し、最後には本社を石巻市に移して、名実ともに東北の会社となりました。
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今回の震災での、私たちの支援は、いわばヘルプです。インフラや物流が寸断され、それが回復するまでの間、今困っていることを支援する。一時的ではありますが、恩を受けた方は心から有難く感じます。
しかし、東北のように影響が長期化する地域では、一時的な支援は、乾いた砂に水を撒くように、すぐ吸い込まれてまた飢え渇くのです。
だから、銀だこの社長は、再び自分たちの足で歩き出せるような支援をしました。
これを、ヘルプに対して、コーチングと言います。

■心の復興

今困っていることを補うのがヘルプ。
困っている状態から、自分の足で立ち上がり、また歩けるようにするのがコーチング。
ヘルプも尊いのですが、コーチングはずっと手間もかかりますし、根気も必要です。
これは、アフリカなどの食糧支援でも言われます。
大量に食糧を調達して現地で支給する。そうすれば現地の人たちは、一時餓えから救われます。しかし、食糧が尽きればまた大量に餓死するのです。
ですから、それらの人たちに必要なのは、食糧支援以上に、自分で耕し、育て、収穫する技術のコーチングなのです。
また、話を東北に戻せば、いま必要なのは「心の復興」だと言う人たちもいます。
それは、これだけ国を挙げて取り組みながら、絶望感に襲われて自殺する人が未だに後を絶たないからです。
胃を満たし、復興を支援しても、孤独感、喪失感は拭えません。特に高齢で、余生を家族を灯りに生きていた人たちが、その家族全てを奪われたら、後は何を灯りに生きれば良いのでしょうか。
そんな人たちにも、人生には意味がある、これひとつの為に生きているのだと分かって貰う必要があるのです。
ヘルプとコーチング、コーチングと同時に心の復興。
震災が頻発する現代にこそ大切な視点です。