今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

頑張るとイノベーションは生まれない

(写真:宵のしじま)

■イノベーションの定義

イノベーションと言う言葉が飛び交う昨今。
イノベーションを起こせ、とか、イノベーションを期待している、とか言われる。
しかし、イノベーションとは、何だろう。
イノベーションは、新機軸とか、革新とか翻訳される。あるいは、新結合、生産への新しい要素の導入、または、新しい切り口。
つまり、今までとは全く違う手法で今までの事業をするか、または、今までの手法を全く違う事業で試すか、とにかく今まで考えつかなかった組み合わせで事業をすることを指す言葉である。
例えば、宿泊と言えば、ホテル、旅館、民宿と言った専門の旅館業者が提供するものだった。しかし、Airbinbを発信源として拡散しつつある民泊の流れ、個人宅と旅行者を結びつけた。そして、媒介役になったのはインターネット。これは、旅館業に対するイノベーションであり、専門業者でしか提供できないと思われていた宿泊サービスを、一定の条件のもとで誰にでも提供可能にした。

■進歩とは、何ができるか

このイノベーションは、よく進歩と言う言葉と比較して言われる。
進歩とは、「何ができるか」と言うこと。
昨今、一番凄まじく変化しているものと言えばスマートフォンだろう。
カメラの画素数は、機種が発表されるたびにどんどん精密になり、それを保存するため、機械本体のハードディスクも拡張されている。通信速度の向上は止まるところを知らず、処理速度も向上しているから、ダウンロードの主流であるゲームソフトも恐ろしい進化を遂げている。
もし、モニターへの接続技術や、画面の投影技術が進化すれば、そのまま業務用端末として使えそうである。
これら技術を提供するために、夜も寝ないで頑張っている技術者がいると思うと頭が下がる。
しかし、これは今あるものの機能を向上させて、もっといろいろなことをしよう、便利にしようとする試みである。
新たな切り口を導入する訳でないから、スマートフォンがいくら進化しても、イノベーションとは言われない。あくまでも、進化であり、進歩である。

■イノベーションとは、何をするか

対して、イノベーションとは「何をするか」と言うこと。
何かを一生懸命磨いて、そこから更に凄いものを生み出そうとすることではない。すでにあるもの同士、どう組み合わせて全く新しい価値を生み出すか、と言うこと。
だから、一生懸命研究開発をしたから生まれるとは限らないし、また一晩でパッと出来上がるかも知れない。
実際、世の中のイノベーションと言われるものには、「何だ、そこ?」「そうか、やられた」的なものが多い。
例えば、前段で取り上げたスマートフォン。
その登場については、明らかにイノベーションだった。
ならば、どんな切り口だったのか。
スマートフォンとは、携帯電話+パソコンの組み合わせである。電話をかけたり、メールをしたり、通信の専用機としての電話機。それ以外の用途はあっても、あくまでも通信機能のおまけだった。
対して、パソコンは専用機でなはない。どんなアプリを入れるかによって、業務用、ゲーム用、音楽制作用と用途が変わる。
スマートフォンは、その通信端末にパソコンの汎用性を組み合わせた。結果、我々の生活に大きな変化をもたらした。
そして、スマートフォンに使われている技術は、決して目新しいものでない。もちろん、CPUやメモリの小型化、軽量化の技術開発は必要だったとしても、基本は既存技術の組み合わせである。
だから発想さえあれば、ソニーにだって、アップルに先行することはできた。要は、その発想の有る無しなのだ。

■頑張るとイノベーションは生まれない

そこから、「頑張るとイノベーションは生まれない」と言われる。
ならば、頑張ってばならないのか。
上層部に呼ばれて、「わが社も何かイノベーションを起こし給え」とハッパをかけられる。
「分かりました」と答えて、イノベーションとは何か、どうしたら、今持っている技術でイノベーションを起こせるか、を一生懸命調べる。
しかし、それではイノベーションは起こせないと言うことか?
何故なら、頑張ってしまっているから。
ボーッとしていよ、と言うことか。
ちょっとニュアンスが違うと思う。
頑張るは頑張るでも、頑張る方向を変えよと言うことでないだろうか。
ここで、イノベーションに結びつかない頑張りとは、今持っている技術や市場を土台に、グーッと脳みそに圧力をかける。頑張っている感満載だが、それでは既存のリソースにとらわれているから、新しい切り口は生まれない。
イノベーションとは、自分のできることや、持っているものから自由にならねば生まれない。
自分は「華厳の滝に打たれてこい」と言われた。すぐに「冗談だ」と訂正されたが、今までの技術や市場にとらわれていた自分への適切なアドバイスだったと思う。
頑張れと言われると、自分の狭い枠組みでなんとかしようと固執する。すぐに、その後の作業や実現可能性を考えるからだ。
だが、イノベーションは、まず切り口が命。その実現性は後から考えれば良い。
切り口を生むためには、いろいろと知識を仕入れたり、人と話したり、引き出しを多くしなければならない。それはそれで、そう言う頑張りは要る。しかし、我々が通常「頑張る」と思っている頑張りとは異質の頑張りであると理解しなければならない。