今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

可能性のフレーム

(写真:雲海)

参考:ダニエル・ピンク 『人を動かす、新たな三原則』より

■今の自分で口説くか、未来の自分で口説くか

彼女を口説く時、二通りの口説き方がある。
一つは、今、自分がなんぼのもんかで口説く。
例えば、

「僕ね、今は◯◯商事に勤めていてね、年収は、そうだなあ、同じ世代の1.5倍くらいかな。独り身で可処分所得がかなりあったから、都内にマンション買って、しかもローンも半分以上終わっているんだ。
あと、車も少し背伸びしてフェラーリにしたんだ。維持はね、そんなにたいへんじゃないよ。でも、街中で使うことが多いから、フェラーリの性能があまり発揮できなくてね。
誰か、一緒にドライブにつきあってくれるといいんだけど。」
こんな感じ。

二つ目は、これから自分がどうなれるか、可能性にフォーカスした口説き方。

「この春、やっと念願の起業ができてね。まだ、社員は僕と技術さんの二人だけど、これから少しずつ増やしていくつもり。
小規模と言えば、小規模だよね。でも、すでにいろんなところから引き合いが来ていて、来年当たりから大きく展開できる予定なんだ。
だけど今は準備期間だし、お金も時間もないから、食事もこんなところでゴメンね。
あと、事務員さんが雇えれば、もう少し時間も余裕ができると思う。
だから、これから、僕のことを公私共に支えてくれるパートナーが欲しいんだ。」
と言ったところだろうか。

■可能性のフレーム

さて、女性の立場なら、どちらに心が動かされるだろうか。
実績ベースなら、今既に結果が出ているから、空手形でもないし、その点は安心できる。
可能性を担保に入れてきた場合は、そうならない場合だって考えられるし、単なる大風呂敷で終わるかも知れない。

しかし人間は、現在よりも、未来の可能性に心惹かれる傾向がある。
何故だろう。
これは、自分の勝手な想像だけれど、今の実績は、それがそれなりに素晴らしくても、もしかしたら今がピークで、これから落ちていくかも知れない。
対して、未来の可能性は、これから坂を上がっていく明るいイメージが人の気持ちを動かすのだろう。
確かに、資産家の老人よりも、将来に可能性を秘めた青年の方が友達として付き合い甲斐がある。

そんな可能性にフォーカスして、人の心を動かすやり方を「可能性のフレーム」と言う。

■会社はあなたの未来に興味がある

よくいろんな会社の人から聞くボヤキがある。
「今まで、これだけ会社に貢献して来たのに、この扱い方はなんだ。」

若い頃は、会社の中心としてメンバーをまとめ、大いに業績に貢献する時期が誰にもある。
しかし、キャリアも積んで、それなりに出世もしたが、今はなんとなく閑職に置かれて、雑に扱われている気がする。
それならまだマシで、会社に余裕がなくなれば、管理職から退職勧奨をされる。
「今の会社があるのは俺のおかげなのに、くそお、ものの分からん奴らばかりだ」と。

しかし、僕らが間違えてはならないのは、会社が興味あるのは、僕らの「実績」ではなく、「可能性」なのだ。
現に身近でも、今まで散々世話になった両親を、年を取って働きが悪くなった途端に、雑に扱うじゃないか。
会社ばかり責めるのは、余りに我が身知らずである。

しかし、年齢とは関係なく、いつまでも挑戦をする人はいる。
故手塚治虫氏は、当時連載をしていた雑誌で、話題になっていた若手作品のキャラを、よく自分の漫画にも登場させていた。
若手からすれば、大御所に自分のキャラを使って貰えるのだから、さぞ感激しただろう。
だが、これは手塚氏が若手の創作に刺激を受けていたからであり、氏の負けん気の表れである。
常に、挑戦を続けた手塚治虫氏の漫画に古びると言うことはなかった。
いくつになっても、自分の「可能性のフレーム」を提示できる人間でありたい。