今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

質問型ピッチ

(写真:赤のワン・ポイント)

参考:ダニエル・ピンク 『人を動かす、新たな三原則』より

■聞いているのに、なぜ聞かれるのか

「あの講師のセミナー、当たるんだよね。」
セミナー好きの友人がぼやく。
当たると言うのは、内容でなく、セミナー中に指されて意見を求められること。
「あなたの会社で、改善したら良いと思うこと、5つあげてください。」
「あなたの会社の業績を計る、もっとも適切な指標は何だと思いますか。」

「いきなり、それ聞かれてもさあ。いっつも、しどろもどろでさあ。周りの目もあるし、困っちゃうんだ。」
「でも、懲りずに行くのだね。」
「うん、聞きに行っているのか、聞かれに行ってるのか、分からなくなっちゃうよ。
でも、いつも講師の話が腑に落ちるから、止められないのさ。」

結構、気に入っているのだね。

■質問の力

講演とセミナー、似て非なるものである。
どこが似ているか。
大勢の前に講師が立って、時間も決められていて、参加者に有益な話をする。
どこが違うか。
講演は、講演者が一方的にしゃべる。
質疑応答は、別枠で受け付ける。
セミナーは、会場と講師が一体で作る。だから、セミナーの間も、頻繁に講師と参加者でやり取りがある。
また、演習やテストのようなワークの時間もある。

だからセミナーは、内容の趣旨を説明した後、「まず、皆さんに質問します。」で始まる場合が多い。
何故、そうするのか。

セミナーの講師は、セミナーに参加して貰うことが生活の糧。
「なんか、よく分からなかった」とか、「特に得られたものはなかった」と言われたら、致命的、後がない。
だから、参加者には何かを持ち帰って貰わなくてはならない。
しかし、参加者が何を持ち帰るかは、内容もさることながら、参加者の受講態度に負うところが大きい。

セミナーは、基本的に知らないことを聞きに行くわけで、正直どんなことになるか、おっかなびっくり。
どうしても、受け身にならざるを得ない。
ましてや、直前まで他の仕事をしている訳で、頭がどうしてもそちらに引っ張られている。
そこへきて、いきなりセミナーで情報を流しこまれても、逆さになっている茶碗よろしく、注がれた情報がみな溢れてしまう。
質問とは、その逆さになっている茶碗を正常な向きにひっくり返し、水を注いでもこぼれないようにする力がある。

■良い質問は、気持ちに届く

「あなたの、会社のもっとも大切な業績評価指標は何ですか?」

ゲーム会社ならば、ダウンロード数だろう。テレビ局なら視聴率。
販売会社ならば、売上額、いや粗利額かも知れない。あるいは、販売機会を多く作るための訪問数やテレアポ数だったりする。
最近、重要業績評価指標と言う言葉がよく語られる裏側には、意外に自分の会社の指標に疎いと言う事情があるのかも。

そこへ「あなたの会社の重要業績評価指標は何ですか?」と聞かれると、「えっ、と」と、冷や汗かきながら必死に考える。周りの参加者も、今度は自分が聞かれるかも知れないから、意識を集中して自分なりの答えを探す。

すると、受け身だったセミナーに当事者意識が生まれ、頭を必死に動かして内容に集中できる。そして、セミナー・レディ(受講可能)な状態になる。
これが、所謂、茶碗を正常な状態にしたことであり、質問を通じて、相手を巻き込む「質問ピッチ」の実践である。

自分も、よく上の人から、短くて、鋭い質問を受ける。
それは分からないことを聞かれると言うより、一つのストーリーの誘導のように、練られて発せられる。
その鋭い質問には、いつもドギマギさせられながら、「昔の武士は、いつ斬りつけられても良いように心身の鍛錬をしていたんだろうな」と思って、不測の事態に全く無防備な自分を情けなくも思う。
しかし、有難いことに、上の人はすぐに質問の意図を明かしてくれる。そして、この質問が、「質問ピッチ」であったと分かる。
確かに、言われることをそのまま拝聴するより、質問で意識を集中させて貰えば受け取るものははるかに多くなる。

コンサル業界では、「仕事力は質問力」と言うそうである。
自分も、良い「質問ピッチ」ができるように意識して、鍛えたい。