今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

感度重視

(写真:黄金の筋)

《理屈じゃなくて見えるんだよ》

その道で長い間生きてきたプロは、時々不思議なことを言います。

ある運送会社の社長さんは、トラックに乗って、エンジンを入れた瞬間に、どこのタイヤのどのボルトが緩んでいるか瞬時に分かるそうです。
トラックの営業マンが、「これには肝を潰した」と教えてくれました。

イタリア料理のシェフによれば、パスタをどこまで茹でれば良いかは、パスタの方から話しかけてくるそうです。
「そろそろだよ〜。もうお湯から外に出して〜。」のように。
しかし、経験が浅い人がそんなことを言われたら困ってしまいます。
「すみません。シェフ、パスタが話しかけてくると言ってもサッパリ分かりません。水の量はこれくらい、パスタの量はこれくらい。だから、何分で引き上げて欲しいと具体的な指示をいただけないでしょうか。」
いわゆるマニュアルですね。
しかし、ゴリゴリの職人さんにそんなことを言ったら一喝されるでしょう。
「お前、そのへんのファミレスかなんかと間違えてないか?そんなの口で言えないノウハウがあるから、うちの店の価値があるんだろう。自分でひたすら経験を積んで掴め!」

はあ、ビックリした。

《シックスセンス》

でも、それって第六感ってやつでしょ。
そんな大切なこと、勘なんか頼っていて良いのでしょうか?

「お前、なんでこの商品仕入てきたの?」
「だって売れそうじゃないですか。」
「その根拠は?」
「根拠は・・・僕の勘です。」

なんてこと言ったら、普通返品をさせられます。もちろん、これは仕入担当氏が経験不足の場合です。

しかし、本当に勘が正しく働く時は、瞬時にその人が過去積んで来た経験や、蓄積してきた知識が総動員されるそうです。
なんとなく、当てずっぽうをやっているように見えて、人間の脳は裏で物凄いことをしている訳です。
ですから、経験値や知識が豊富な人ほど、高い精度で勘を働かせることができます。
そして、目の前で、コンピューターや表計算を使って論理的に考えることを凌ぐさえあるのです。
それは、まるで蓄積したデータが多いほど、正確な予測ができる今流行りのAIの機械学習のようです。
むしろ、機械学習こそ、人間の第六感のIT化と言えます。

《プロは感度が命》

プロは感度が命。
いつもいつも、何故そうなのかを考えていたら、怒涛のように押し寄せる業務には対応できません。

瞬時に判断して、パッと対応する。
しかも、その対応がほぼ正しい。
では、何故、そうなのか?
プロにそれを尋ねると、それらしい説明を受けることができますが、大抵それは後付けです。

経験を積む中で、右か左か、前か後ろか、過去の成功や失敗のパターンと照合して、一番近いものを選べるようになります。
これを瞬時に脳内で実行するので、側からは勘や当てずっぽうでやっているように見えるのでしょうね。

勘と言ったら少し聞こえが悪いかも知れません。
「刑事の勘」
「主婦の勘」
ですが、「長年プロデューサーをしてきた僕の勘だ。」なら、少し説得力が増します。
むしろ、感度が高いと表現したら良いかも知れません。

仕事の感度。
例えば、この顧客は幾らまでなら購入の意思があるか。
この製品なら、市場に受け入れて貰えるか否か。
販売がこんな動きをする場合、次にくるのは、拡大か縮小か。
国のこんな情報に対して、市場はどのように反応するか。

プロは、理屈より、計算より、ますば自分の感覚での判断が先行します。
あとは、どう根拠を与えて納得して貰うかですが、プロとして優秀であるかは、この感度によるところが大きいようです。
是非、身につけたいことです。