報告はエキスの中のエキス
問題が発生した時に、とにかく早く報告しなければならないと焦る余り、頭に浮かんだことをそのまま相手にぶつける。
社内ではよくやりがちの失敗です。
私もそうですが、報告を受ける立場としては、今起こっている状況について知識がない分、相手の話だけをたよりに必死に状況の把握に努めます。しかし、取り止めのないことを言われ続けたら、やはり嫌気がさします。
ついには、一旦相手の言うことを止めて、自分の考えたセンテンスに従って相手を喋らせ、ようやく事態を把握することができます。
「で、エラーメッセージは?」
「環境は?」
「それはいつから?」
「業務への影響は?」
「お客様の反応は?」
「対応にどれくらい時間をかけさせてもらえる?」
等。
偉そうに書いていますが、こと始めての事例であったり、今までにない複雑な案件だった場合は、やはり同じような報告をしてしまうかも知れません。
もっと言えば、私も少し前までは、随分とまとまりのない酷い報告をしていたと思います。
正直言えば「報告下手」のレッテルを貼られていたのです。
《上司の状況》
報告下手が治らない原因、それは、相手の立場を考えずに、自分の都合ばかりで報告しようとするからです。
例えば、相手が上司の場合。
上司は、
・状況やその背景に対する知識がない。
・複数案件を同時に進めているので、個別に割ける時間が限られている。
・要点だけを掴みたい。もっと言えば一番最悪の想定を第一に知りたい。
しかし、思い返してみれば、勝手にやったら怒られるので、なるべく簡単に「いいよ、いいよ、それで進めて」と言ってもらいたい。
後は、その言葉を盾に、「あの時、いいと言ったではないですか?」と言える言質が取りたいのです。
それで、ついつい突っ込まれそうな核心をワザとぼやかして、当たり触りのない状況だけ口にし、その場を乗り切ろうとします。
しかし、側から見ると、完全に訳の分からぬことを言っているとしか思えません。
それは、そうです。一番上司が知りたい核心を避けて喋っているのですから、聞く人と話す人が完全に噛みあっていないのです。
《改善サプリ》
よく「悪い報告ほど早く」と言われます。これは立場を変えてみれば、よく分かります。
しかし、私も含めて、その報告をした時の相手の反応を予想して、どうしても悪い報告はし辛いものです。
ただ、一時は相手が激昂するようなことがあっても、それは一時的で、すぐに解決に向けて手が打たれます。なにより、早く手を打つことにより、問題のそれ以上の拡大が防げるのです。
そして、せっかく報告するなら、訳の分からぬ報告をしないようにしたいものです。
そのための原理原則は、やはり相手の立場に立つことでしょう。
相手が上司の場合なら、背景の知識がないことと、忙しいこと、早く判断をするために要点を知りたがっていることを考慮します。
その為には、まず結論から口にする。そして、その結論の背景(インプット)とそこから導かれる対処(アウトプット)を説明します。
次に、対処が正しい根拠をあげて判断を仰ぎます。
このようにすれば、無駄な言葉が省かれて、かなり聞きやすい報告になるのではないかと思います。
報告は、相手の状況に合わせて、エキスの中のエキスを伝える。当たり前のことですが、すぐに抜けがちなので、いつも心がけておきたいと思います。