今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

この様で

(写真:水田の夕暮れ)

《ある動画》

最近、友人から紹介してもらった動画があります。
舞台はインドのようです。
街角で軽食を売っている屋台のような場所に3人の中年男性がたむろしていました。

そこに痩せっぽちの少女がやってきて、3人の男性一人一人に、あるジェスチャーをして訴えます。
まず、口を指差し、次に両手でお腹を押さえます。
「お腹が空いてるの、何か食べるものを頂戴」
そう言っているのが傍目にも分かります。

一度目は、誰も相手にもしてくれません。
それでも、なお少女はその場を離れず3人の男性を観察します。

一人はスマホをいじり始めました。二人目は新聞を広げ、三人目は何かを口に運んでいます。
そして、また彼女は再度、口を指差し、お腹を押さえるジェスチャーで施しをたのみます。

しかし、一人目はスマホから目を上げようともせず、二人目はわざとらしく新聞をめくって気がついていないふりをします。そして、3人目は、自分は口に何かを運びながら、あからさまに無視をします。

すると、そこへ男性が自動車で乗りつけました。ビジネスで来たのか、男性は車から降りると足早にビルに駆け込んでいきました。

それを見て、少女はある行動に出ます。男性の車に水をかけ、側にあった布で洗い始めたのです。
やがて、用事を済ませて車のところに戻った男性は、一心に車を洗っている少女に驚きます。
そして、彼女は、男性に対してもまた、口を指差し、両手でお腹を押さえて、「お腹が空いてるの、何か食べるものを頂戴」と言うジェスチャーをしました。

最初は戸惑っていた男性も、やがてニッコリ笑い、何枚かの紙幣をくれました。
「これは多すぎるわ。」
そう言うかのように、二枚だけ受け取り、あとは男性に返した彼女は、その内の一枚を使い、ようやく屋台で食べ物と飲み物を買うことができました。

《少女の真意》

舞台は、そこで30分前に戻ります。
あの少女が道を歩いています。
肩にはスクールバックをかけ、学校から帰る途中のようです。

すると、道端から彼女に声をかけた年寄りの女性がいます。
明らかに恵まれない路上生活者の女性でした。
そして、少女に向かい、口を指差し、両手でお腹を押さえるジェスチャーをしました。

それを見た少女は、「いいわ、私に任せて」と言うように、バックを老女の隣に置くと3人の男性たちに近づいていきました。

ー・ー

やっと食べ物を手に入れた少女は、恵まれない老女のもとに戻り、手に持った食べ物と、飲み物を差し出します。さらに、「これは明日の分」とでも言うように、残ったもう一枚の紙幣も惜しげもなく、老女に差し出します。

そして、スクールバックをまた肩にかけ、男性3人の前を横切っていきました。
老女は、その後ろ姿に手を合わせ、男性たちは恥ずかしくなって、みなうつむいてしまいました。
少女は自分の行為に対する誇らしげな表情を浮かべながら、帰路についたのです。

《蒔かぬ種は生えぬ》

「情けは人のためならず」と言います。

情けをかけるとは、困っている人に施しをすることです。
その施しは、施した相手を幸せにしますが、巡り巡って自分にも幸せをもたらします。
だから、人に情けをかけることは、決して人のためだけでない。自分が幸せになるための大切な種まきなのですよ、と言うことを教えています。

もし今、自分が恵まれているならば、それは過去の自分の良い種まきの集積です。
頭が良い、能力がある。地位、名誉に恵まれている。容姿が優れている。
それら、全て自分自身の過去の善因に対する善果です。

しかし、私たちは、ともすれば今の環境に甘んじて、持たないもの、愚かなもの、醜いものを見下げて遠ざけようとします。
ただ、その種まきは、決して明るい未来をもたらしません。
容姿に優れた女子が、他人に対して「キモい」とか言うのを聞くと、彼女の未来が案じられてなりません。

動画では、3人の男性は持てるもの、路上生活者の老女は持たざるものです。
少女は、老女を助けたいと思っても、その力がありませんでした。
しかし、自分のできる精一杯で知恵を出して、最後老女を助けたのです。
対して、持てる身でありながら、施しの心が薄い自分たちに、男性たちは恥じ入ります。

自分も、よく我身を振り返ってみなければならないと思いました。
日本に住まいし、きちんとした仕事についている私は、世界から見れば上位数パーセントに入る幸せものでしょう。

しかし、その境遇に甘んじて、他の国の恵まれない人に対する気持ちは非常に薄いと言わざるを得ません。
かたや、日本国内での自分の境遇は金もちとは程遠いので、持てる人を見ては不満ばかりを募らせています。
全くこの様で、しかも十分恵まれながら、善果が来ないと毒づいているのが自分です。そして、これが知らされると、非常に恥ずかしくなります。
動画の少女のように、持たない人を憐れみ、自分のできることの精一杯を心がけなければならないと反省させられます。

「蒔かぬ種は生えぬ、刈り取らねばならぬ一切は自分の蒔いたものばかり」

ちなみに、動画のURLは↓です。
https://www.facebook.com/nammtamillar.London/videos/407685389424071/