今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

隘路

(写真:お〜い、母ちゃん。・・・なんだい?)

《すぐに受け入れられるものはアイディアではない》

アイディアは、現状に対する悩みがあって湧いてくるものです。

例えば、

「毎年、この時期になると決まって仕事が集中して、みんな10時、11時まで残業をしている。そして、気の張る時期が終われば、気の緩んだものから順番に体調を崩すので、業務に支障のでることひとかたでない。」

そんな悩みがあれば、それを解消しようと知恵を絞ります。
「ならば、前から仕込んでおけば、繁忙期の負担を軽減できるのではないか。」
そう思って、会議で口にすると、賛成してくれる人もいれば、反対する面々もいます。
「要は繁忙期の大変さを薄く延ばすだけのことだろ?」
「忙しい時だけ気合いを入れてやればいいんだし、そのためだけにいつもの仕事を増やすのは反対だなあ。」

しかし、これは仕方ないでしょう。そもそも皆んなが現状を良しとしているから今があるのであって、アイディアを出すことは今の状態にノーを言うことだからです。
逆に言えば皆んなが首を横に振るくらいでなければ、今を変える力はないのです。

《皆が首に横に振るとホッとする》

「三流は皆が首を縦に振ると安心し、一流は皆が首を横に振るとホッとする。」と言った人がいます。

皆が同調しやすいアイディアは、現状維持、もしくは今を少し変えて提出しただけのこと。本当に凄いブレークスルーを起こそうと言う心が、現状に負けて折れてしまっているのです。

本当のブレークスルーなら、皆んなの反応はこうです。
「ありえへん!」
そして、変革に貪欲な自分を確認するから、一流は皆んなの反応にかえって安心をするのです。

ヤマト運輸が宅急便を始めた時もそうだったでしょうね。
高速道路網の整備とともに、他社は長距離輸送に参入していきました。しかし、一人参入が遅れたヤマト運輸は収益の悪化に苦しみます。
そんな時、社長に就任した小倉氏が目をつけたのは、個人が送る小口の荷物でした。しかし、小口の荷物では、ひとつずつ運んでいてはいくらにもならず、かといってかき集めるのにも手間がかかり過ぎるので、とても運送会社の収益事業とは言えませんでした。

それを、小倉社長は面白い例えで説明します。
「いままでのトラック輸送は、マス一杯に盛った豆を運ぶようなものだった。それに対して宅配便は、一面にばら撒かれた豆を一粒ずつ拾い集めてから、マスに入れて運ぶようなものです。」
ですから、このアイディアを当初口にした時、役員は誰も賛同しなかったでしょう。
しかし、小倉社長は、小口配送はビジネスにならないと言う常識を疑っていました。そして、決して周りに同心して、アイディアを諦めようとはしませんでした。

《桶に落ちたネズミ》

桶に落ちたネズミの話があります。

ある時、一匹のネズミが桶に落ちました。そこで、側の木をかじって外に出ようと試みますが、思いのほか硬くて厚くて諦めざるを得ませんでした。
そこで、反対側の木を齧りますが、やはりダメ。そうして、あちらを齧り、こちらを齧り、ついに力尽きたネズミは明け方には冷たくなっていたと言います。

しかし、このネズミがほかの場所でなく、一箇所に集中して同じ調子で齧り続けていたらどうでしょうか。
きっと側の木に穴を開けて、外に出られたのではないでしょうか。

私たちには、先を見通す力はありません。ですから、ひとつのアイディアを突き詰めていった結果が、成功するとも、失敗するとも分かりません。
ちょうどネズミが齧っている穴を諦めて、いろいろと齧って回りたがるように、同じことを続けていくことには不安がついて回るのです。

そこで、ついついいろいろなことに手を出して、少しやっては止め、少し検討しては止めを繰り返すのですが、結局何ひとつ実を結ばないまま時間ばかりを浪費していくのではないでしょうか。

ヤマト運輸の小倉社長の場合、個人客の小口の荷物にこだわり抜きました。そして、荷物を酒屋さんに持ち込んでもらい、それを地域の集配所に集め、更に路線の集荷センターに集約することでアイディアを現実のものにしています。

隘路とは、通行に難渋する狭い道のことです。私たちは広い道を行きたがりますが、それは等しく多くのライバルがひしめく道でもあります。
狭い道は、通るのに苦労しますが、だからこそライバルのいない自由な道なのです。
あえて隘路を行ったヤマト運輸が、今宅配便ビジネスで群を抜いているように、真のブレークスルーをもたらすアイディアは、狭い道を進んでこそ実を結ぶようです。