今日学んだこと

生きることは学ぶこと。オレの雑食日記帳。

聞き上手

(写真:ひょうきんもの)

《聞き上手な人》

皆さん、どんな人が好きですか。
今から、車でどこかに出かけようと思ったら、どんな人に助手席に座って貰いたいですか?

話の面白い人、話題の豊富な人?
でも、一番一緒にいて心地よいのは、聞き上手な人ですよね。
聞き上手な人は、こちらの話すことを辛抱強く聞いてくれます。しかし、私たちがよくやるように、せっかく話も上の空で聞いていては、相手も興が冷めます。そして、だんだん口が重くなり、最後は黙りこんでしまいます。
対して、聞き上手な人は、ちゃんと聞いているよと、アピールするように相槌を打ったり、こちらの言うことに反応していいコメントをくれます。

ネガティヴ発言や、違うかなと思ったとしても、そこで発言を止めることもなければ、すぐに意見をまとめようともしません。
ずっと相手の言うことを聞き切って、そして最後に前向きなコメントをくれます。
だから、ついつい要らないことまで話してしまいます。もし、これが聞き上手の営業マンだったら、かなり手強い相手になるかも。

よく営業の教科書的な本では、話すこと2に対して、聞くことが8の割合が良いと書いてあります。
営業マンは、自分の製品やサービスの利点を伝えるのが仕事です。しかし、正確な情報を正しく伝えたら、あと話をするばかりが仕事ではありません。お客さんの話を聞くのも大切な仕事なのです。

《聞く目的》

では、なぜ聞くことがそれほど大切なのか?
それは、自分の話を聞いてくれない人に、人は心を開かないからです。
余程、世の中の評価の高いカリスマやメンターなら、聴衆は「どんな、凄い話が聞けるんだろう」と何をさておいても耳をそばだたせます。
しかし、私たちのような普通の人間に対しては興味が湧かなくて当たり前です。そこへ強力に自己アピールをされても、相手はこちらの言葉を上の空で聞いて、ほとんど届いていません。
ですから、相手に自分の言葉を届けるためにまず聞くことが必要です。そして聞いてくれる相手に人は心を開きます。

私たちは、自分が一番大好きです。そして、人に影響を与えられたと思った時に、とても心地よい優越感に浸れます。ですから、どんどん喋りたいのですし、人の話を(特に自慢話を)聞くのが苦手です。
皮肉ですね。自慢話をしたくてたまらない自分と、自慢話を聞きたくない自分が同居してもいるのです。これを矛盾と言います。
また、それだけ、人の話をよく聞いてくれる聞き上手は皆んなに好かれるのです。

もっと言えば、聞くことの目的は、自分が相手から聞きたい、その一言を聞くことです。言い換えれば、相手の口から、その一言を自発的に引き出すことです。
営業なら、「わかった。君にまかせるよ。」
後輩の指導なら、「すいません。僕が間違っていました。以後、改めます。」
社内の根回しならば、「じゃあ、君を信じて協力するよ。」
奥さんへの説明ならば、「ごめんなさい。誤解していたわ。」

相手からその一言を聞ければ良いのなら、伝えた情報の多い少ないは問題ではありません。実際、ただ聞くに徹して、その一言を引き出した実例もあります。

《究極の悩み相談》

ある奥さんが深い悩みを抱えて、かねてから尊敬している人に相談に行きました。
その奥さんは一生懸命悩みを打ち明けるのですが、相手は「はい。それで。」「そうですか。」としか言いません。しかし、非常に親身になって聞いてくれました。
その奥さんは、すべてを吐き出してしまうと、スッキリして「有難うございます。おかげで悩みが全て解消しました。」とお礼を言いました。
対して相手の人は、「いえ、いえ、私は何も言ってはいません。皆んな貴方が自分で解決されたのですよ。」と笑ったそうです。

これは、実際に聞いた究極の悩み相談です。
相談者が勢いこんで喋ったらこうはいかなかったかも知れません。親身に聞いてもらえば、自分のことを喋りやすくなります。そして、自分の言葉を客観的に聞くことにより、冷静に自己解決を図ることができます。
やはり、人間は自分の考えに一番従いやすいですから、自分の言葉なら、自分自身に前向きな決定を促すことができますね。

なかなか未熟な自分では、この域に届きませんが、一生懸命聞くことによって、相手が気持ちよく喋れるように心がけたいと思います。そして、いつか聞き上手に近づけたら有難いのです。