今日学んだこと

分かっていることは書かない。分かっていないから書いて学ぶ。だから「今日学んだこと」なのです。

イノベーティブ・デイズ

(写真:アゲハ舞う)

《衝撃に備えよ》

破壊的イノベーション、それは技術的革新に止まらず、ビジネスモデルの革新や流通の革命により、既存のビジネスモデルが破壊されることです。

分かりやすい例としては、デジカメの台頭により、フィルム業界と写真館は市場消滅の憂き目を見ました。
そのデジカメ市場も、スマートフォンの出現により、苦境に立たされています。
このスマートフォンの衝撃は大きく、他にゲーム、カーナビ、新聞、出版業界まで少なからぬ影響が出ています。果ては、パソコン市場のあり方まで変えてしまいました。

回転寿しの出現は、従来職人に特化して不可侵領域と思われていた寿司業界に大きな影響を与えました。流通革命により、安いネタが供給できるようになり、いまや高級食の代名詞だった寿司は一皿百円が定着しました。(回転寿司のネタは同じ味の全く別種の魚だという噂もあります。)
その回転寿し店では、さらに他の外食への領域侵犯が繰り返され、「なんでもあるし、取り敢えず回転寿しに行っておくか」と他の店からも客足を奪っています。

街の電気屋や本屋を壊滅に追い込んだのは、大型店や量販店でした。品揃えと安さが売りで、多くの消費者を引きつけました。しかし、ここに来てオンラインショップの台頭により、かなりの客足を奪われています。

本当に、他山の石どころではなく、いままで好調だった業界が突然のイノベーションの出現により苦境に立たされるのです。いまや、この問題から逃れられる業界は皆無ではないでしょうか。

《たとえばIT業界》

いままで、直視を避けてきたことですが、敢えてリミッターを外して書いてみたいと思います。関係業界の方で、気を悪くされる方があれば申し訳ありません。

私たちのIT業界で起こりうる破壊的イノベーションは、どのようなことでしょうか。キーワードは、クラウド機械学習です。

クラウドは、まずコンピューターの調達を不要にします。今のようなハードディスクを積んだパソコンは不要となり、メモリとCPUのみの簡易な端末、しかも数万円程度で充分です。

あとはその端末を起動し、ネットを通して自分専用のデスクトップにアクセスするだけです。その接続先はAmazonMicrosoftのような大手ベンダーのデータセンターで、そこには膨大な数のデスクトップが集約されています。
さらに言えば、今のようなデバイス複数持ちが、一台の端末に集約されるかも知れません。つまり、デバイス自体にあまり機能が必要でなくなった結果、A4サイズの軽量なタッチ式ディスプレイがあれば充分となります。

個人使用と、ビジネスでの使用もデバイス一つで事足りて、セキュアに分割された領域を切り替えて使用します。アクセス権も全てクラウド上で制御するので、ネットワークという概念までもクラウドが飲み込みます。
その結果、事務所からパソコンやサーバーが消える時代が到来します。

このようにハードウェアが完全に我々から、大手ベンダーの手に移った結果、あとに残るのは、ソフトウェア開発だけですが、これも人手で行っている部分はどんどん削られていきます。
データセンターには、業務毎にモジュールが用意されており、後は必要なものを見繕って月額で利用するのです。もちろん、会社毎に業務フローが違うので、そこはカスタマイズが必要ですが、それを解決するのが機械学習です。

まず、ユーザーは決められた書式に、自分の会社の業務フローを入力します。あとは、クラウドにアップロードすれば、機械がそれを読み取って、業務に最適なモジュールやカスタマイズをレコメンドします。
いわゆる機械学習が実現するところのプログラミングの自動化です。

そんな未来に、私たちITベンダーに残された仕事は存在するのでしょうか。

《活路は何処に》

IT業界は、もっともイノベーションを先取りしていると思われて来ましたが、実はもっとも技術革新に飲み込まれかねない業界だったのです。

果たして、私たちはこのイノベーションの波にどう対応したら良いのでしょうか。
それには、大きく二通りあると思います。

一つは、レガシー(過去の遺産)の保守に特化することです。
これは、私たち寿命10年のオヤジエンジニアの生き残り策です。
たとえ、イノベーションにより市場の大部分が消失したとしても、やむを得ない理由により旧態然の仕組みが一部残ります。すると、それを世話をする人間も少なからず必要です。そのために私たちのような古い技術者にもマーケットの価値が生まれるのです。
しかしこれは、10年と続く需要ではないので、寿命の短い技術者の逃げ切り策でしかないのです。

もう一つは、時代と拮抗せず、利用することだと思います。
クラウドの世界では、広大なネットの空間の中にいろんなモジュールが存在します。それを自社の技術にこだわって一から作っていては、時代の流れに追従することはできません。
もはやユーザーは、誰がそれを提供したかではなく、結果的に何ができたかしか見ていないのです。
ならば、他者が提供するものでも、どんどん取り込んで、消化して自分の身とすれば良いのです。
もちろん、汎用化の流れの中で案件単価は下がるでしょうが、取り込んだ技術のバラエティの多様さが特長となるでしょう。また、その組み合わせ次第では、新たなイノベーションになるかも知れません。
要は、最後の活路は、沢山触って沢山試した人に開かれるのです。